たまの帰郷は間違いなく揉める


宣言通り2日後、グリーンはアッシュを迎えにコガネシティへと顔を出した。
別に1人でも帰れるのだが、如何せん未だ逃亡を疑われている身である。ここで逃がす訳にはいかないという雰囲気を密かに感じ取ったアッシュはやや居心地が悪いながらも、そうなるのも無理はないかと弟分を視界に入れた。
内心が知れたらまた怒られるだろうからアッシュはさり気なくグリーンから視線を外す。それが更にグリーンから疑われる要因になるとはつゆ知らず、アッシュはイーブイのボールと共に荷物を確認するとのんびり出発できる旨をグリーンに伝えた。
ちなみにイーブイはまだ寝ている為大人しくボールに収まっている。

それを見たグリーンは分かってねぇなと言わんばかりに肩を落としたが、ボールを手に持つととりあえずアッシュへと説明を始めた。

「ポケギアで話した通り、帰りはこいつで飛んで帰る」

こいつ、というところでグリーンはボールを軽く挙げて示した。中にいるのはこの前見たピジョットであろう。

「船じゃないんだな」
「元々はこいつで移動するのが多いんだよ」

この前はたまたま船に乗っただけな。まあだからお前を見つけたんだけど、とグリーンはジト目でアッシュを見やる。
まだまだ恨みは晴らせていないらしい。
まぁまぁとグリーンを宥めると、本気ではないあちらもため息をはくとボールを投げた。
中から出てきたピジョットは大きく1度羽ばたくように羽を広げるとアッシュの方を見てひと鳴きした。
どうやら帰る気になったかとかそんな事を言ったらしい。

アッシュは苦笑すると誤魔化すようにピジョットの体をひと撫でして「よろしくな」と呟いた。
するとピジョットはまだ隠してるのかとかそんなニュアンスの事を言った気がするが聞かなかった振りをしたので、向こうもただ聞いただけだったのかそのまま知らない振りをしてくれる。
一通りのやり取りを終え、アッシュがグリーンに向き直ると、「じゃあ行くとするか」と出発の合図がかかった。


「よし、じゃあマサラに戻るぜ」

ピジョットよろしく頼むぜというグリーンの言葉に対して任せろと張り切るピジョット。そしてピジョットに乗り込んだのだが、アッシュにとってはそこからが大変であった。

「寒っ!ってか目が痛い……!」

前回コガネに戻る時にも思ったのだが、風の抵抗が強い。というかもしかしたら自分はポケモンに乗るのに向いてないのではないか?
全く平常通りのグリーンの後ろで苦戦し続けるアッシュは体を縮こませひたすら耐えた。




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