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ナナミに呼ばれてグリーン宅で夕食を取った後、アッシュは逃げるようにすぐ近所の実家へと帰ろうとしたが、両脇をグリーン達に固められたせいでそれは叶わなかった。
仕方なく降参とばかりに両手を挙げたアッシュはそのままグリーンの部屋へと連行される。
部屋へ到着すると、ベッドへ置きっぱなしになっていたモンスターボールからポケモンが飛び出してきた。
「ブーイ!」
「あ、グリーンのイーブイ…」
「そー!今日は定期検診の日だったから留守番だったんだ」
夕飯前に姉さんが博士の所に行ったついでに連れてきてくれたらしい、とグリーンは相棒を抱き上げて続けた。その間、アッシュはグリーンの相棒をマジマジと観察する。
グリーンのイーブイもアッシュとアッシュのイーブイに興味津々で、グリーンの腕から軽く身を乗り出してこちらを観察していた。
しかし当の本人もとい本ポケ、アッシュのイーブイの方はというと全く興味なさそうな顔をしてあくびをしている。
せっかくの機会になんてヤツだと思わなくもなかったが、良い機会だとアッシュは自身のイーブイとグリーンの相棒を見比べて見た。
自身の手持ちのイーブイは良く言えば目がアーモンド型に近い目をしていると気づく。要するに悪く言えば目つきが悪い。
「……ブイブイブイ!!」
ちらりとだが交互に見たことで何かを察したのだろう、腕の中にいたイーブイがギリギリと歯ぎしりをしながら振り向いた。
瞬間、アッシュが慌ててそっぽを向いて誤魔化したのを見逃さなかったグリーンやレッドは腹を抱えるようにしてカラカラと笑った。
その後何だかんだ話しているとナナミが客間にある布団を取りに来なさいと声をかけて来た為、アッシュとレッドは客間から布団をグリーンの部屋へと運び込んだ。
やっと寝れるなとアッシュが布団に座り込むと、すかさず両脇を固める様に弟分達が場所取りをしてくる。
「……狭い!」
壁際へ寄る様に無理矢理入り込んだレッドの肘に押されて、アッシュは文句を付けた。
グリーンの部屋はアッシュ部屋と同じくベッドであったので、てっきり部屋主のグリーンがベッドに寝て自身とレッドが布団に雑魚寝するものだと思っていた。というかそのつもりだったのでわざわざ客間から2人で運び込んだというのに何故もう1人も入って来ているんだ。
何故かグリーンまでもが布団へと割り込んできた為、大分というかかなり狭い。グリーンとレッドは普段旅しているからか体格はしっかり出来上がっているし、アッシュも体躯はともかく背はある方なのでどう見ても無理があるだろう。
というか、グリーンに追いやられてきたアッシュが反対側に寄ったせいでレッドが殆どアッシュに潰されている。
そんな三人をピカチュウとグリーンのイーブイはまたかといった様子で呆れている。
どうやらレッドとグリーンの押し問答で慣れているらしい。
アッシュのイーブイはというと、これ以上寄らないであろうと思われるほど眉間にシワを寄せて黙り込んでいる。
それに対してピカチュウが何やら話しかけていたが、アッシュには聞こえない声量だったので何と言ったかまでは分からなかった。
「誰か一人ベッド使えばいいだろう!」
あまりの狭さに思わずアッシュが文句を飛ばしたが、その案はグリーンによってあっさりと却下された。
「いいんだよ!どうせ寝ないからな!」
「は?」
「……言いたいこと、色々ある」
どうやらこれは三人昔のように仲良く寝ようという心温まるような泣ける目的でもなんでもなく、単にアッシュへの説教と愚痴を聞かせる為のものらしかった。
「えー…」
「「えーじゃない!」」
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