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「よし、とりあえずこれで良いだろう」
イーブイは自身の首にかかった石を確認するように身震いする。
特に違和感がなかったのか、ようやく肩の力を抜いたようだった。
ウパーもソーダが飲み終わったのか、ひょいとベンチから飛び降りるとイーブイの石をしげしげと眺める。
恐らく何が起きたのかは分かっていないだろう。
現に何があったのかとイーブイに尋ねて怒られているようだ。
「まぁ、とりあえず石の産出場所は分かったからな。ショップに行くか」
「ウパー?」
「あぁ、そうだよ」
買うのか?と聞かれアッシュはウパーに頷いた。
「素人が鉱石探しするには道具も何もないからな。ヨモギさんも材料を知るとか名前を探せとは言ったけど、採ってこいとは言わなかっただろう?」
「ブーイブイ」
「まぁまぁ。無理に取ってきてダメにするよりプロが採ってきたものの方が良いだろう?」
屁理屈だと文句を言うイーブイを宥め、アッシュは肩をすくめる。
「じゃあ、早速フエンタウンに戻るとするか」
そんなわけで一行は再びフエンタウンへと戻り、石を求めてそれらしい店を探した。通りがかった爺さんに教えられた店には入ると、そこでは何とレンギョウが待ち構えていた。
「あれ?レンギョウさん」
思わずアッシュが名前を呼ぶと、レンギョウの方も足を止めこちらを振り返った。
「おぉ、アッシュ!早速頑張っとるようじゃのぉ」
ヒラヒラと手を振るレンギョウに近寄り、アッシュはマジマジと彼を見つめた。
「こんなところでどうしたんですか?」
「なに、進捗はどんなもんじゃろうと思ってな」
ずっと待っていた風でもないが、かといってアッシュがいつここに来るかなど分かるはずもない。飄々としてはいるが、なかなか侮れない爺である。
アッシュは彼に探していた2種の名前を告げた。ついでに薬草の方は入手した旨も一緒に告げる。それに対しレンギョウは楽しげに「ふむ」と唸る。
長いあごひげを触りながら、「して、石の方はどうする?」と尋ねてきたのでアッシュもすかさず返した。
「買い付けます」
「理由は?」
アッシュが先程ウパー達に説明したことを告げるとレンギョウは満足そうに頷いた。
「うむ、合格合格!それぞれ専門がある。プロを頼ってこそじゃよ」
勿論、学んだ力を試しより良いものを探すのもまたよしじゃ。その為にはまず学ばなければの。
そう言ってレンギョウは後ろ手に組んだまま店をあとにしたのだった。
レンギョウのお墨付きを貰ったアッシュは早速店で目当てのものを買い付けるとすぐ様ヨモギの元へと戻った。
「ただいま戻りました」
「おかえりなさい」
帳面とにらめっこしていたヨモギが顔を上げる。
ゴソゴソとリュックの中を漁り、課題であった2つをカウンターに並べると、ヨモギは「確認します」と言って2つの課題をじっくり見比べる。
暫くそうした後、確認が取れたらしいヨモギはニコリと笑った。
「確かに受け取りました」
その一言でようやく合っていたことが分かり、良かったとアッシュはホッと胸を撫で下ろす。
「初の課題お疲れ様でした!こちらがこの2つの資料になりますから目を通して下さいね。今日はここまでです」
次の課題をお知らせするのでまた明日来てくださいと言われ、アッシュはコクリと頷いた。
帰ろうとする時、扉の所で赤い髪の少女が入ってくるところであった。
「すみません」
ぶつかりそうになった為頭を下げ道を譲ると彼女もまた頭を下げ入っていった。
腕を抑えていたのが気になるが、まぁお客さんだろうと思いそのまま店をあとにする。
ポケモンセンターに戻ると、トコトコと前を歩いていた筈のウパーがいない。
慌てて辺りを見回すと温泉の所で立ち止まっているのが視界に入った。どうやらのれんの奥が気になるらしい。
「そこは温泉だよ」
「ウパ?」
近くに行ってそう声をかけると温泉って何?と返ってくる。
それには答えず、「荷物置いたら来ようか」とだけ返した。
とりあえず来れることが分かったらしく、ウパーはぴょんぴょん飛び跳ねながら部屋の方へと向かっていく。
早く早くとウパーがイーブイを急かす声が聞こえたが、それをやや呆れた目で見やるイーブイは急ぐでもなくトコトコとついて行ってやる。
どうやら大分ウパーのペースには慣れてきたらしい。ウパーが忙しないせいか、イーブイが落ち着いた様にすら感じるが実際のところどうなのか。最初は大反対していただけにどうなることかと心配したが、アッシュにはイーブイもウパーに構われ満更でもないように見える。
それはそれとして、割と慣れて来たのは本当であろう。
良かったと思いつつ、アッシュも2匹のあとに続いたのであった。
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