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その宿駅には、男妾が一人だけいた。男相手ではなく、女相手に体をひさぐ少年だった。わたしも含め宿駅の女達は、その少年と口をきくのを主に禁じられていた。その少年と交流があった者は一人もいないだろう。いつも手足をあざだらけにして、きつい水場仕事などをやらされているところを、幾度も見たことがある。何度か、主の部屋から少年の唸るような悲鳴を聞いたことがある。おかしな話ではないだろう。いつも、きゅっと口を窄め、暗い目をして、主への呪いの言葉を口ずさんでいた。ぞっとはしなかった。わたしたちはきっと、みんな同じ目をしていた。

 


(111016)


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