キセキ 02

 それから毎日、ハルに対しての善逸の猛アタックが始まった。
 アタックと言っても、まるでストーカーのようにゆき乃の情報を集め、後をつけ、偶然を装って話しかけるという毎日だった。
 幸いにも、ミオや炭治郎の彼女でもあるカナヲが同じクラスで、そこにハルも一緒にいる事が多かったから、善逸は炭治郎と伊之助を連れ立ってその日課をこなしていた。
 炭治郎は自分が酷いことを善逸に言ってしまったという罪悪感から、伊之助はハルの名前か食べ物をチラつかせれば大抵動いてくれる。
 今日に至っては、事前にハルにお願いをして昼食をみんなで食べるように取り計らってもらっていた。


「ハルちゃんは、どんな食べ物が好きなの?」
「ん〜美味しいものなら何でも! あ、甘い物は特に好きだよ! クレープとかタピオカとか、よくハルやカナヲとも食べに行くよ!」
「そっかぁ! 似合うだろうなぁハルちゃん! もう女の子の代表って感じだし、何も持ってなくても可愛いのに、クレープとかもう犯罪!ってくらい可愛いよね。え、でもさ。そんな可愛い子だけで食べてたら危なくない?! 変なやつ追ってこない?」
「じゃあ善逸くん一緒に来てくれる?」


 ハルの言葉に、善逸の手から食べようとしていたおにぎりがポロッと落ちた。これはもう善逸でなくても勘違いしても仕方ないと、隣でそれを見ていたミオは思った。
 善逸の事を可愛いと言っていたけど、それが恋なのかどうかはミオには分からなくて、それでも善逸を拒否することなく受け入れているハルを見守ろうと思っていたミオだった。


「おいミオ!なに紋エのことばっか見てんだ!その卵焼きくれっ!」



ムスッとした伊之助がミオに向かって口を開けて待っている。普段そんな事しない伊之助に、ミオは内心笑いながらも、両手が塞がってるからと言い張る伊之助の口に卵焼きを優しく入れた。

炭治郎は普段なら善逸のことを気にかけているけど、カナヲが用意してくれたお弁当を食べながら、これでもかと幸せそうな笑顔でカナヲを見ていた。

だから、ゆき乃が善逸の頬に着いていた米粒を取ってパクッと食べたことも、善逸が興奮のあまり気絶しそうになっていたこと、誰も知らない。


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