キセキ 03

 放課後、ダブルデートなるぬトリプルデートなるものが決行された。
 若者が集まる街へ行って好きなものを食べるだけだったけど、善逸にとってこういうデート初めてで、目に映るものすべてがキラキラしていた。
 もちろん、隣を歩くハルの姿も。
 人数が多いと一緒に行動をするのは大変で、特に自由な伊之助は自分が見たいところ食べたいところへ出向きすぐに脱線をするので、ミオが「ごめんね!」とみんなに謝りすぐに別行動となった。
 それから、炭治郎は家の手伝いがあるからとカナヲを連れて帰ってしまった。
 カナヲは炭治郎の家の手伝いもやっているそうで、実家のパン屋の看板娘にもなっている。
 そんなこんなで、気づけばハルと善逸の二人きりのデートになっていた。早くみんな散れ!と心の中で思っていた善逸にとっては、この状況は喉から手が出る程欲しかったものだ。


「あのお店見ていい?」
「うん!」


 咄嗟に繋がれた手に、ボブっと思わず鼻息が出た。
 なんで一々可愛いかなぁ! てかこれってマジで俺の事好きなの?! それ以外ないっしょ! 今日キメてやる! 絶対告ってやる!
 心に恋の炎を燃やしている善逸のことなんて気づかないハルは、手汗で繋いでいる手が湿ってきていることに少し笑いながらもその手を離さなかった。





 ハルの家の近くまで送る帰り道。
 人気のない公園に少し立ち寄った時、緊張のあまり善逸の鼻息なのか呼吸なのか、とにかくハァハァという荒い呼吸がより一層静かな住宅街には響いていた。それに気づいていたハルも何も言わずに、促されるまま公園のベンチに腰を掛けた。
 この先、善逸が何を言うのか、予測できないほど経験が浅くないハルだけど、出会った時からずっと一途な眼差しを向けてる彼が何を言うのか、内心楽しみでしかたなかった。
 ちょっと待ってて、と徐に隣を立った善逸は、公園の出口へと走っていく。まさかの放置プレイなのか、とハルの頭にはハテナが浮かんだ。
 善逸の行動が分からず、ハルは若干不貞腐れた顔をして言われるがまま待っていると、すぐにバタバタという駆け足が近づいてきて顔を上げた。さっきまでなかったものを手に持って。


「ハルちゃん! あの俺…俺と、」


 呼吸困難になりかけてる善逸に向かって、ちゃんと聞くから大丈夫だよとでも言いたげなハルが優しく彼を見守っていると、善逸は最大級の呼吸をしたかと思えば、住宅街にも響きそうな大声で叫んだ。


「俺と、結婚してください!」


 善逸の叫びと共に、ハルの前に差し出されたのは小さなブーケだった。告白であろうと覚悟していたハルだけど、まさかのプロポーズに表情が真顔に変わる。
 目を瞑り、真っ赤になってる善逸を、とても愛おしく感じた。
 それは、ハルが過去に感じたことない感覚で、こんなに胸が締め付けられるのは初めてだった。

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