骨の髄までしゃぶりつくせ



本当に、事の発端は何気ない言葉だった。

「そういえば、最近七海とはどーなの?」

医務室で同級生で同期でもある五条くんと硝子と話し合いをしていて、話の区切りがついた時に脈略もない世間話で五条くんが話を振ってきた。

「どうって、ボチボチよ。」

手元の資料に目を落としながら簡単に答える。何気なく、特に何か思って言った言葉じゃなかった。けれど、何とも勘の良い同級生はその言葉の裏の何かを感じ取ったらしく立ち上がって、長いお足で私の横にあっという間に到着すると肩を抱き抱えてくる。

「えー?なにボチボチって?ボチボチ上手く行ってないって事?」
「そんなこと言ってないでしょ」

やってしまった。自分の失敗に気付いた時にはもう遅くて、隣の彼はニヤニヤと口元を緩めて笑っている。きっと黒い目隠しの下にある瞳も、にんまりとチシャ猫みたいに弧を描いてるんだろう。

「でも不満はあるんだ?」

こんなモードになった五条くんは本当に厄介だ。いじめっ子のガキ大将みたいに、こちらが折れないと一切引かない。肩を抱いた手は力強くて全く身動きできなくて、助けを求めて目線を投げた先は此方を見ずにデスクの書類を片付けていた。

「あんまりいじめてやるなよ」
「えーん、硝子ぉ」

助け舟に乗っかろうと猫撫で声で名前を呼べば、硝子は椅子ごとくるりとこちらに体を向けてくる。綺麗な顔をしているのに、その青白い顔には目の下に薄らとクマができていて疲労を訴えかけている。そのアンバランスさが余計に彼女の儚さが増している気がした。

「セックスレスなら早めに解決した方がいいぞ」

そんなことを考えていたのに、本人から出た言葉はズバリと可愛げのなくて鋭く飛んでくる。興味なさそうな硝子は、もういいか?と言いたげな顔で私達を見ていて今にも仕事に戻ってしまいそうだった。

「セックスレス、ではないけど…」
「ホラホラ、五条さんに相談してみなよ」

言い淀んだ私の頬をウザいくらいしつこく突いてきてブスブスと刺されすぎて少しだけ痛い。もう何だか否定するのも面倒になってきて、この世の終わりくらい深く深く息を吐き出してその人差し指を払い退けた。

「…七海が、優しくて、」
「は?いきなりのノロケ?」

覚悟を決めてポツリと言葉を漏らせば、先程の笑顔が嘘のようにスンッと真顔になってしまった。きっと学生時代の五条くんだったらオゲェって顔で舌を出してくるんだろうなと頭の隅の遠いところで過った。

「違うってば、話最後まで聞きなさいよ。…夜が!紳士すぎて優しすぎるんだってば!」

ヤケクソになって叫ぶそうに暴露すると、ただでさえ私たち3人しかいない医務室はしんと静まり返る。なんでこんな事言ってるんだろう、と冷静になりかけた時に爆発するんじゃないかと思うほど大きな笑い声で五条くんが笑い始めた。

「へー!それで物足りなくて欲求不満なんだー!」

漫画だったアハハハ!!と大きな字が背景がつきそうなくらい五条くんは腹を抱えて笑ってる。顔がどんどん真っ赤になっていくのが自分でもわかって、今の隙に回された腕からすり抜けて高い位置にある彼を下から睨みつけてやった。

「いや、常日頃から不満に感じてる訳じゃないけどさ!なんか、こうね?情熱的にさ、好きーって求めてきてくれてもいいのになーって、思うんですよ!」
「いやいや、アオハルかよ!!」

言い訳してるつもりだけど、結果墓穴を掘ってしまっている気がする。わなわなと震える手を握り締めながら熱弁しても、五条くんはゲラゲラ笑っている。漸く呼吸が落ちついてきたのか、お腹を押さえヒーヒー言いながら体を起こすと折角開けた距離を一瞬で長い足の一歩で詰められた。珍しく目隠しの布を外して、綺麗な瞳の色と長い睫毛が揺れている。

「五条さんが慰めてやろうか?」
「まじ無理、結構です。」

腰に手を回されて正面から体を密着させてくるが、意図せずくっついた下半身は身長差ありすぎて私の腹にあって腰の高さの違いを見せつけられるし、ご自慢の綺麗なお顔もこんなにも近いと見上げる為に首が痛すぎる。きっと他の女の子だったらドキドキして死んじゃうっ!となるのかもしれないが、私は何度も言うがときめきなんてなくてスンッと死んだ魚の目で返した。それが面白かったのか寧ろ違ったのか、回された腕をぎゅーっと絞るように抱きつくというか締め付けられてイテテテテ!!

「そういう事ならアダルトグッズでも家に送りつけてやろうか?」
「いや、いやいやいや。大丈夫デス。」
「そんな事言って、満更じゃないくせにー」
「もういい、忘れて。あと、七海に言ったらぶっ殺すから」

流石にすり潰されそうでバシバシと五条くんの手を叩いたらやっと解放された。骨が軋んでたと思う確実に。硝子の言葉に今回は歯切れ悪く答えると、相変わらず目敏く拾った五条くんがにやにやと笑ってるからお行儀悪いが中指を立てておいた。ちょうど話の区切りがついた時に、任務で負傷した呪術師の人が医務室に入ってきたので今回の謎の会はどうにかお開きになった。


広いロビーでオートロックのボタンを解除して安定したエレベーターで上の階に上がる。今までの人生で一軒家だったり、一人暮らしも平凡な二階建てのアパートに住んでいたからまだこの感じには慣れない。玄関を開けて廊下を歩くと、少し気温が暑くなってきたせいで足裏が廊下に触れるたびにペタペタとくっついた。炊飯タイマーがセットされて赤いランプが点滅しているのを横目に、ダイニングテーブルに買ってきた食材の入ったエコバックを置いてとりあえず使わないものだけ冷蔵庫に入れ込んで夕飯を作る準備に取り掛かる。今日は蒸し鶏にするつもりだから、レンジでチンすればすぐ出来るから楽ちんだ。トッピングの為に梅干しをまた板の上でトントンと一定のリズムで叩いてすり潰していっていると、その音の中で玄関の空く音が遠くでした。

「あ、七海おかえりー」

手が汚れているので迎えには行けない分、少し大きめの声で声をかけたが返事は聞こえなかった。オートロックだから彼以外の可能性はないとは思うが、不安に思って一度手を洗ってタオルで拭きながら廊下に出るとやはり彼の靴が玄関先にいつも通り綺麗に並べられている。

「どうしたの?」

代わりに寝室の扉が空いていて、中を覗き込めばまだスーツのままの七海がベッドのシーツを剥ぎ取っている。こんな時間に洗濯とは考えられなくて首を傾げると、部屋の中央に向かっている最中がさりと足元に何かが触れた。それは乱雑に開けられたプラスチックのパッケージで、手に取ってみると中に青色の文字で防水シートと書かれた簡易的な説明書が入っていた。

「いえ、今日は激しくしようかと思ったので。」

激しくしようと思ったので。七海がさらりと返してきた言葉を頭の中で反復したけれど、意味を理解するまで時間がかかってすぐに返事が出来なかった。そんな間にもいつもの肌触りのいいシーツを元通りに敷き直してズレないように整えている。それを終えれば七海がズンズンと此方に近付いてきて、やっと意識が戻ってきた。

「え、なっなに!?どういう事!?」

あっという間に目の前にきた七海は三徹した時よりも真顔で、遅れて脳内で危険信号を送ってくるけどもう遅い。七海の手が腰に回ってきてピッタリと下半身がくっついて、身動きが取れなくなってしまった。

「本当は、貴女を丁寧に抱きたいんです。」

ゆっくりと腰を撫でてくる手に、私の体はピクリと震えてしまう。指の感触に、服越しに感じる体温に、普段から七海にグズグズに愛されている私の体は簡単にスイッチが入ってしまうので、単純すぎる自分が心配になる。

「押さえつけたら、細い腰は簡単に折れてしまいます。いくら呪術師であっても、貴女と私では体力の差もありすぎる。」

腰の骨を確認するように触れてくる指先がなんだかくすぐったい。見上げた七海の目は、熱を孕んでいるのを隠そうとしていなくて猫のようにギラギラと光っているんじゃないかと錯覚してしまいそうになる。でも、その中に欲と同じくらい怒りを感じられて、自分の言動を振り返りながら困惑して口を開こうと思ったが七海が身を屈めてきたので辞めた。

「だから、我慢してました。無理をさせないように、大切にしようかと思ってました。」

キス、されるのかと思って唇を閉じたけれど、どうやら見当違いで七海の顔は顔の隣に移動する。低い声が鼓膜を擽りズクンと体に落ちてくる感覚がするくらい、私は七海の声が好きだ。

「でもそれもいらなかったようですね。我慢してた私が馬鹿みたいだ。」

想いに耽っていたけれど、七海の言葉に色々な事が一気に結びついた。

「あ、あの、七海…」

彼は知ってるんだ。私が、あの日彼らに言ったことを。気づいた時にはもう遅くて、身を引いて七海の顔を見ようとする前に七海が離れて頬を両手で包まれるように掴まれる。大きな手は私の耳や頭部ごと覆っていてグッと上を向かされて七海の目線に合わせると顎が高い位置に持っていかなきゃいけないから、ぐっと喉奥が鳴る。もう一度見た七海は、まるで捕食者の目だった。

「黙って抱かれろ」

帰ってきてからまだ電気をつけていない寝室は、廊下から差し込む光しかない。そんな中でも七海の瞳は爛々と光を放ってるようだった。きっと気のせいなのに、珍しい荒々しい口調に私はもう逃げられる事なんて出来なかった。



「あ、ぅ…っ」
「もっと声を聞かせてください」

ぐちぐちと水音と私の押し殺した声だけが響く部屋には、いつもとトーンの変わらない七海の声がどこか不釣り合いな気がした。あれからあっという間に衣服も剥ぎ取られてベッドに押し倒されて、シーツを整えたベッドは一枚布が増えただけでも特に普段と質感などは変わらなかった。いつもは壊物を扱うように優しく撫でる指先も、確実に私が好きな場所を好きなように弄ってくる。胸を揉まれるのより、突起を痛くない位にツネられる事とか、ぷっくらと主張してきたそこを先端に少し力を入れて硬くした舌先で舐めてもらう事とか。いや、特にそれが好きって言葉にしたことはない。だとしたら、七海には全部バレていたらしい。まだ衣服を全て纏ったままの七海は、私の中を長い指で掻き乱しながら静かに見下ろしてくる。

「や、だ…!」

何だか悔しくなってきて、下唇を噛んで声を出すのを耐えながら七海を睨みつける。あの話を聞かれていたとしても、此処まできてもやはり年上の威厳というか意地というものもある。大体、本当のことを言っただけだから私だけ怒られるのはおかしい筈だ。むくむくと顔を出してきた反抗心に、彼の額の青筋がピクリと震えた。二人きりの時にだけ見せてくれる甘い表情じゃなくて、いつもの仕事中のような真顔なくせに目だけギラギラしている。それが余計に彼の今の感情を読み取れなくしていた。

「強情な人ですね。まぁ、それも今のうちですが」

フーッと深く息を吐き出して、七海は私との距離を詰めてくる。足を左右に大きく開かせられ彼の肩に担がれていたので、お陰で七海の膝に乗り上げる感じで腰が少しだけ浮く。不安定だけどガッチリと腰と足が固定されていて不思議な体位だった。再び七海の指は動きを再開して、嫌というほど私から分泌されるものの音が鳴り響く。さっきからそうだ。七海は長い指で奥を突いてくれないで、ずっと手前のざらりとした気持ちいい場所ばかり押してくる。奥は物足りないけど、刺激は十分な程で擦り上げられるたびに肩にかけている足がビクリと震える。

「な、なみ…!それやだぁ…!」

奥まで欲しいけど、少し触れるだけで確実に達してしまう気もする。でもこのままGスポットを刺激され続けるのも、何か弾けてしまいそうな感じがして不安感が胸を締めている。どうしていいかわからなくて、嫌々と首を振りながら中を乱す七海の腕を掴んだ。そうすると、片眉だけ上げてぐっと身を屈めて顔が近付いてくる。そういえば、最初の時からまだ一度もキスしていない。キスがくるのかと思って、足が折りたたまれて体制が苦しいけれど息を呑んで耐えて七海の頬に手を伸ばした。痩せた頬に触れた瞬間、ずっとそれをくれなかった指がぐっと奥を突いて、背がビクンとのけ反った。

「は…へ…?」
「あぁ、アダルトグッズも興味があるんでしたっけ?」

震える自分の足先が視界に入って、一拍遅れて自分が達してしまったのがわかった。こんな至近距離で、イキ顔を見られた。その事実がわかるとかぁっと一瞬で顔に血液が集まってくるのがわかった。七海は、ご褒美というように一度だけ触れる程度の口づけを落としてくれてゆっくりと体を離す。肩からずり落ちそうな私の足を抱え直しながら、ベッドの脇に手を伸ばしてる。ガサガサとビニールの音が聞こえるので、どうやら買ってきたのは防水マットだけではなかったらしい。
どうにか逃げ出したいけれど、何せ腰が宙に浮いているので上半身も起こせずどうにも快感に溺れた体は力が出ない。悪戦苦闘している間に七海が支度が終わったようで、もう一度体制を抱え直されてもう逃げ場は無くなってしまった。ゆっくりと七海の手元に視線を落とすと、先程熱くなった顔から血の気が引いていく感覚がして忙しなかった。

「ちょ、七海、ちょっと待っ…!」
「待ちません。誰のせいでこうなってると?優しく抱かれるのは諦めてください」

それは丸々としたピンク色の機械でコードの先には小さなリモコンがついてる。流石の私だって、使ったことはないけどどういう存在なのかってくらいは知っている。慌てて太い腕を掴んだがそんなものは彼の中では抵抗には入らずに、秘部の腫れ上がった小さな突起に添えられる。指と違った機械の感触は熱いそこにはひんやりと冷たく感じて、それで少し震えたが二人の息遣いしか聞こえない部屋にスイッチの音が響くとそれどころではなかった。

「あ、ぅ!ぁ、や、ッツ!」

ブブブッと無機質な音が響くのと同じタイミングで細かな振動が来て達したばかりの体はまるで打ち上げられた魚みたいにそれに合わせて震える。一体今の振動の強度がどれくらいかはわからないけれど、確実に今私の体を急激に高めてきて気持ちと頭がついていかない。シーツを手繰り寄せてみるけど、そんなことでは気が紛らわすことは全く出来なかった。

「貴女、ここを押し潰されるのが好きですよね。こんな玩具で気持ちよくなってるんですか?」

普段は気持ちよくなってしまうから数回されるだけで辞めてと暴れて、その刺激からはいつも逃げていた。一応これも私の中で秘密の一つだったのに。私のそこを見下ろして熱っぽく息を吐いている七海にずくずくと奥が疼いていると、それもわかってしまったのか七海が此方をチラリと見つめてくる。そしてまた視線を下ろすと秘口に指が入ってきて待ち望んだ刺激にまた体が震えた。

「ふ、ぅッ…な、なみ、ッ!ダメ…っなの!」

内側からまた手前のポイントを押し上げられて、どことなくバイブの振動が中にも伝わってくる気がする。ヤバイ。求めていた刺激なのに、そう気づいた時には私の中では何かがどんどん膨れ上がっていっていた。

「漏れ、ちゃう…!ッやだ!一回抜いてぇ…!」

じわじわと尿意が込み上げてきて、必死にその手を止めようとするけれどお構いなしにぐっと内側を押してくる。こういう時は時々あった。でも、何とも言わずに私が嫌だと言えば七海は一度動きを止めてくれていたから粗相は起きなかったが、今回はそんな素振りなんて一切ない。本格的にやばい。

「漏れても大丈夫なのでどうぞ。」

淡々と囁かれる言葉に、全部が繋がる。防水シートをわざわざ買ってきたのも、奥じゃなくて手前ばっかり押し上げてくるのも、全部わざと狙ってやってるんだ。靄がかかった頭でそれはわかっても、膨れ上がるそれは止めることは出来なくて涙を零しながらヒュッと短く息を呑んだ。

「ぁ、ぅあ…ッ!!」

耐える為にグッと力を込めるとその分下っ腹に力が入り中にいる指を締め付けてしまって、その衝撃でパチンと爆ぜた。達するのと同時にブシャッと何かが噴き出る音がして、ずっとお腹の下の部分にあった圧迫感が少しずつ少なくなっていく。余韻を感じる間小刻みに漏れ出す感覚が止められなくて、その度に足が震えてついに七海の肩にかけている左足がベッドへと力なく落ちた。

「上手に出来ましたね。」

右足もゆっくりと降ろしてくれると、身を屈めてこちらを覗き込んでくる。涙で濡れてぼやけていた視界は瞬きして一滴頬を伝っていけばやっとピントが合い七海と目があった。先ほどまでの冷たい目ではなくて、いつもみたいに溶けてしまいそうな優しい目をしているので、またそれで目尻から涙が途切れなく溢れてくる。

「ぅ、ひ…ッ…七海の、ばかぁ…!」
「これが潮吹きですよ、これから覚えていきましょうね」

大人なのに漏らしてしまった。それが恥ずかしくて情けなくて両手で顔を覆い泣きじゃくっていると、その手の指先に柔らかい感触が落ちてくる感覚がする。七海の言葉がすぐに頭に入ってこなくて、手を退けると至近距離に大好きな顔があってチュッと可愛らしい音を立てながら唇にキスを落としてくれた。
下に視線を落とせば、七海のスーツのパンツもシーツも濡れて少しだけ色が濃くなっている。今まで、潮吹きというものをした事ないからわからないけれど、確かに特有のアンモニア臭はしない気がする。呆けているその間にも七海は頬や額に今までの分を取り返すようにキスを落としてくれて、ゆっくりと髪の毛を絡ませながら撫でてくれる。その動作に褒められてるような気がして、恥ずかしかったけど彼がこんな風にしてくれるなら悪くないなと思ってしまった。そのぬくもりに身を委ねて、もっと感じるように目を閉じる。

「トばないでくださいね」

真っ暗な視界の中で、耳元の七海の声だけやけに大きく響いた。どういう事かと瞼を上げると同時に、下半身にズンっと圧を感じて足の指先が丸まった。

「アッ!や、待ってぇ…っあう!」
「ッ、クソ……力、抜いて」

いつの間にかズボンを乱雑に下ろした七海が、まだ余韻で痙攣している膣口に宛てがわれヒダを割って入ってきていた。潮なのか内から分泌された液なのかわからないが、既にドロドロのそこはいつもより滑りが良い気がした。それでも七海のものは大きいので、毎回やっぱり最初は苦しい。二度浅いところで揺らし、三度目からは少しずつ膣壁を押し上げるように奥へと侵入してくる。この瞬間が、いつも私の中が彼の形に作り替えられるようで好きだけど、今日はもう既にキャパオーバーだ。

「だめ、っも…むりぃ…!」
「無理じゃない。私はまたイッてません。」

彼の全てがやっと収まりきると、七海はフーッと長い息を吐き出す。今はその振動でさえ敏感な私の体は拾ってしまって、小さく震えているとゆっくりと臍のあたりを撫でられる。指先で臍の穴に触れ、まだご飯を食べてないせいでいつもよりか薄いお腹に手を這わしてからゆっくりと下っ腹を押される。そうする事で、中にいる熱いくらいの熱に意識が向いて奥がキュッっとした。それを見逃す事なく腰骨を両手で掴まれると、止まっていた振動が再開されてしまった。

「んっ!あ…ん、あぁ!」
「ッ、…耳元で喘ぐな」

いつも七海は最初はゆっくりと慣らすように動いてくれるから、こんなジェットコースターのような急激な快楽は知らない。気持ちのいい所ばかり突いてこられて、逃げる為に腰を浮かせると七海も少し体を起こして上から押さえつけるようにまたそこを突いてくる。結局その体制の方が体重をかけられるのでその刺激から逃げられなくて、喉を仰け反らせる事しか出来なかった。

「どこまでイケるか試してみますか?」

七海の声が鼓膜に響く。どうにか息を吸いながらそちらを見ると、七海は少し苦しそうな顔をしていて額には汗が滲んでいた。その言葉は今の私には恐怖でしかなくて、フルフルと首を振って見せる。

「や、だ…!も、怖いの…っ」

七海も怒らせてしまったのはもう嫌というほどわかった。私もあの時情熱的に求めて欲しいなとは言ったけど、これではそんな可愛げのあるものでなくて狂気的だ。許して欲しくて、力の入らない手を伸ばし彼の胸元に触れるとピクリと七海が震えた。

「私の事が好きなんでしょう?」
「う、ん…うん、好き、大好き…」

七海の目がゆっくりと細められる。機嫌を取るために何度も極力甘い声で愛を囁いて、ぎゅっとしてもらいたくて両手を広げると七海の体がゆっくりと倒れ込んできた。触れ合う体温と、私の胸が二人の間で潰れるとどちらのかもわからない鼓動のリズムが重なり合って、心地よかった。

「それなら、言う事を聞け」

でも、続いた言葉は期待を裏切るもので、耳元で囁かれた時絶望しかないのに体はじんわりと熱くなってしまった。再び始まった振動に、ベッドが軋む音が部屋に響いた。

「あぅ…!ん、ふ…んッ!」
「泣くほどいいですか?それならいくらでも抱いてあげますよ。もう我慢しないと決めたので」

溢れてくる涙を七海の熱い舌が舐め上げて全て拾ってくれる。奥を狙って突いてくる時に中を引っ掻き回すのも、子宮口に割り入ってしまうんじゃないかと不安になる程コツコツと当たるのも全部が気持ちがいい。ただ喘ぐ事しか出来ない私を見下ろしながら、七海がどこか嬉しそうに笑うからそんな顔に胸がキュンと締め付けられる。それと連動するように、上り詰めた快楽は弾けて達してしまった。

「ぐ…ッ」

膣壁が痙攣している中で七海がぶるりと震え、数回腰を打ちついてくると中に熱い感覚が広がってくる。中にいる七海自身が脈打ってるのを感じてそれにも震えていると、暫くしてゆっくりと腰を引きズルリと中から抜かれた。乱れた呼吸を整えながら下に視線を向ければ、いつの間にかつけていたゴムの先端に白い精液がたっぷり溜まっていて周りの私の液でテカテカと光っている。何だか気恥ずかしくなって、横を向いて背中を丸めるとゆっくりと息を吐き出した。

「起きろ、まだだ」
「え…?」

漸く呼吸が整い始めてドッと込み上げてくる疲労感に少し微睡んでいると、頬を軽くぺちぺちと叩かれる。意味がわからなくて顔を向けると、七海のそれは先程出したばかりなのに変わらず上を向いていてもう既に新しいゴムを装着されていた。理解すれば先に体が動いて、四つん這いになってベッドの上から逃げるべく這っていったが簡単に腰を掴まれズルズルと七海の方へ引き寄せられてしまった。

「もっと腰をあげろ。眠れるなんて思わないでください。」
「ひゃん!?」

土下座みたいなポーズをしていた私のお尻を七海が後ろからペチンと叩いて思わず声が漏れた。そんなに強い力じゃなかったけど、叩かれた場所はじわじわと熱が広がってくる。初めての感覚に困惑して、おずおずと七海を振り返ると少し驚いたように此方を見ている。暫くすると、口元を緩めて再度次は反対側のお尻を軽く叩かれた。

「あぅ…っ!」
「ほら、ちゃんと足も開いて。」

ジンジンとするそこを撫でられると、また違う感触がして敏感な肌はどこか擽ったい。もう気持ちいいのは怖いはずなのに、嫌なはずなのに、動悸はずっとドキドキと脈打っていて煩い。震える手で上半身を支えて、ゆっくりと腰を上げて四つん這いになると後ろからいい子ですねと優しく囁かれてまたジクリと熱が込み上げてきた。叩いた場所を撫でていた手が、丸みに沿って滑ると両手でお尻を掴んで両方に持ち上げられた。

「ん、ぅ…」
「溢れてきてますよ、そんなに強引なのが好きなんですか?」

割れ目が外気に触れて、濡れているそこが少し冷たく感じた。七海の言葉に背筋がぞわぞわして、指摘されたが故か膣口がひくついてるのが自分でもわかる。どうしようもなくて擦り寄せるように腰を突き上げると、後ろで七海が笑ってる気がした。

「どこに何を挿れてほしいですか?」

太腿にぺちりと七海の立ち上がった自身を押し当てられて、その熱にまた中が疼いた。四つん這いで息を荒げている私は、側から見たら発情期の犬と何ら変わらないのではないだろうか。でもそんなのもどうでもいいくらい、もう私の頭は熱に浮かされていた。お尻に添えられている七海の手に指を重ねて、自分でも左右に広げてみせる。きっと明るくない室内でも、少し色素の薄い震えた膣口も秘液が溢れているのも丸見えなんだと思う。

「ここ、に、七海の熱いやつ…入れて欲しいの…」

今世紀最大のおねだりに、息を呑む音がするだけで返事はいつまで経ってもこなかった。痺れていた頭も少しずつクリアになって、やってしまったかと後悔し始めた瞬間に七海に荒々しく腰を掴まれてそれに反応する前に再び圧迫感が襲いかかってきた。

「あ!?ん、ふ…はぅ!」
「っ、私は、いつだって貴女が愛おしいですよ。こんな風にいつも抱き潰したいし、腕の中に閉まって外に出したくない」

一度出したと思えないくらい熱い質量で、七海は奥まで責め立ててくる。支えられなくなって上半身がベッドに崩れ落ち腰だけ上げている状態になると、私の両手を後ろに持ってきて手首を引っ張るように腰を振ってくるものだから快楽から逃げることが出来なくなった。七海の言葉を頭のどこかで聞いていると、耳元に片付けられてやけに大きくリップ音が響いた。

「な、なみ…ッ七海…ぃ!」
「私の愛を沢山刻み込んであげます。」

もう随分前に達していて、でもその余韻も感じる間も無く責め立てられて頭がおかしくなってしまいそうだ。何度も名前を呼んでも、七海はどこか嬉しそうに言葉を漏らしながら背中や首筋にキスを落としていく。じゅぶじゅぶと聞いたことない水音が響いて、精子を絞り出すためにパンパンに腫れた睾丸が下生えと共に肌にぶつかり合うのも気持ちがいい。また少しだけ潮が漏れ出す感覚がして、シーツを濡らした。

「朝までで終わると思わないでください」

遠くで聞こえる声に、返事することが出来なかった。確か帰ってきたのは9時過ぎで、きっと今は日付すら跨いでないだろう。私は今まで物凄く七海に我慢させていて、優しくしてもらってたようだ。気付いた時はもう遅くて、この間の自分を恨むことしか出来なかった。


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