お前が悪いんだ




結局腕を強く押さえつけられ、服も半端に脱がされたままの状態でキルアに抱かれた。行為自体はじっくりと優しく甘く蕩けさせるほどに優しかったが、処女だった証である赤い鮮血がキルアの出した白い液体と共に秘部からこぼれてシーツに染みていく。ステラは意識を飛ばしてぐっとりと身を投げ出していた。手首には赤い手形がくっきりと残り、首筋と胸にはキスマークを付けられ、傍目にはレイプでもされたかのようにしか見えない。

意識を失ったステラの体を抱きしめ、その寝顔を眺める。シーツに広がる赤と白の染みが、こいつが完全に俺のものになった証に見えて、口元が緩むのを抑えられない。手首の赤い痕も、俺が付けた首筋と胸の印も、全部俺だけのものだ。



「……やっと、俺だけのものになったな」



汗で張り付いたステラの髪を優しく梳く。ゴン? 仲間? もうそんなものは、お前の世界には必要ねぇ。これからは俺だけがお前のすべてだ。



「……なぁ、ステラ。もう誰にも渡しやしねぇよ」



その額にそっとキスを落とす。お前が目覚めた時、最初に見るのも、最初に呼ぶ名前も、俺じゃなきゃ許さねぇ。お前の心も体も、俺の色だけで染め上げてやる。ステラの柔らかな肌に指を滑らせながら、俺はその寝顔を見つめ続けた。まだ意識が戻らないのを良いことに、首元から鎖骨、胸元と、俺の痕跡をなぞる。ステラの中にあるゴンへの想いを消し去りたい。そんな執着が、胸の奥で渦を巻いていた。



「ステラ、お前の中にあるゴンへの想い...…全部消してやるよ」



ステラの耳に囁きかけると、うっすらと眉を寄せる反応が返ってきた。意識が戻りかけているのか。俺は微かに動き始めた指先を見つめ、その手を取る。目を覚ませよ。もう二度と、俺以外の誰かを見つめるなよ。お前の目に映るのは、俺だけでいい。ステラの瞼が震え、ゆっくりと開き始める。その瞳に映る自分の姿を確かめるように、俺は身を乗り出した。



「お前が大事なのは俺だけだって言っただろ? もう二度と、あいつらの名前を口にするな」



ステラの瞳に俺の姿が映り込むのを確認し、満足げに口角を上げる。意識がはっきりしてくるにつれて、その瞳に困惑と怯えの色が浮かぶのが分かった。だが、それがどうした。もう手遅れだ。ステラの手を取り、手首に残る赤い痕にそっと唇を寄せる。これは俺がお前を独占した証だ。



「……やっと起きたか。お前の体には、もう俺の印が刻まれてるんだ……分かったか? お前はもう俺から逃げられねぇ。ゴンもクラピカもレオリオも関係ねぇ。お前の世界には、俺だけいればいい」



その震える唇を塞ぐように、深く、甘くキスを落とす。そうだ、俺だけを感じて、俺に溺れろ。もう二度と、他の奴の名前なんて思い出せなくしてやる。



「ん……っ……」



目を覚ましたそばから深く甘く口付けられる。初めてキルアの猛りを受け入れた秘部はまだジンジンと痛み続け、ステラは顔を痛みに歪めた。

ステラが痛みに顔を歪めるのを見て、俺の奥底で燻っていた加虐心が満たされる。そうだ、その顔だ。お前が感じる痛みも、快感も、全部俺が与えたものなんだ。



「……痛むか? それも俺がお前に与えたもんだ。忘れんなよ。お前が俺以外の奴を考えるから、こうなるんだ。分かったら、もう二度と他の奴の名前を出すな」



その反応を確かめるように、唇を離して囁く。怯えと痛みに潤む瞳が、俺の独占欲をさらに掻き立てる。その涙の滲む目元を舐め上げ、再び唇を塞ぐ。お前の痛みも、涙も、全部俺が受け止めてやる。だから、お前はただ俺に溺れていればいい。



「んうっ……」



息をつく間もなく再び唇を塞がれる。ステラの目から涙が零れ落ちる。



「なんで……? どうしてそうなっちゃったの……? キルア以外の奴って……どういう意味? 男としての意味で好きだなんて、一度も言ってないよ……」

「……チッ、うるせぇな。男とか女とか、そういう問題じゃねぇんだよ」



ステラの涙と問いかけに、一瞬言葉が詰まる。男として? 好き? そんな曖昧な感情じゃねぇ。俺がお前に抱いてるのは、もっとドス黒くて、どうしようもねぇ独占欲だ。零れ落ちる涙を乱暴に親指で拭う。こいつは何も分かってねぇ。俺がお前にどれだけ執着してるのか。



「お前の特別が、俺じゃなきゃ嫌なんだ。お前が笑いかけるのも、心配するのも、全部俺だけでいい。なんでそれが分かんねぇんだよ」



苛立ちのままに、ステラの肩を掴んで引き寄せる。その怯えた瞳に、俺の醜い本心を映してやりてぇ。お前の頭の中を、俺でぐちゃぐちゃにしてやる。



「わかんないよ……そんなの……、もう、わかんない……」



キルアのドス黒い感情を前にして恐怖と混乱でわけがわからなくなり、ステラは感情の昂ぶるままに泣きじゃくった。

ステラの嗚咽が部屋に響く。その泣き声が、俺の苛立ちに油を注ぐ。なんで泣くんだよ。俺は、ただお前が欲しいだけなのに。お前の全部が、俺だけのものになれば、それでいいのに。



「……泣くな。うぜぇ」



冷たく言い放つが、その震える肩を抱き寄せる手は、自分でも驚くほど優しかった。矛盾した行動に、俺自身が一番戸惑っている。



「……なんで分かってくんねぇんだよ……。俺は、お前がいないと……ダメなんだ」



弱々しい本音が、思わず口からこぼれ落ちる。そうだ、俺はお前がいないと、またあの暗闇に戻っちまう。お前が俺の光なんだ。だから、誰にも渡したくねぇんだよ。

ステラはキルアの背中に両手を回して抱きつきながら泣いた。



「だから……キルアが……キルアだけが好きだって、言ったのに……何が、何がそんなに不安なの? 何が足りないの?」



ステラの言葉が、俺の胸に突き刺さる。好きだと言われたのに、信じきれない自分がいる。ゾルディック家で育った俺は、誰かを無条件に信じる方法なんて知らなかった。背中に回された腕の温かさが、逆に俺を不安にさせる。



「……うるせぇ。お前がそうやって誰にでも優しいのが気に食わねぇんだよ……不安にさせてんのは、お前だろ」



抱きしめてくるステラを突き放すこともできず、ただ苛立ちをぶつける。足りないものなんて分かってる。お前の心も身体も、完全に俺のものだっていう絶対的な証が欲しいだけだ。顔を伏せ、ステラの肩に額を押し付ける。その匂いを、体温を、全部俺だけのものにしたい。こんなにも執着しているのに、どう伝えればいいのか分からねぇ。俺の愛情は、歪んでるのかもしれない。



「ねえ、キルア。仲間を大事に思う気持ちと……キルアただ一人を大事に想う気持ちは違うんだよ?」



自分の曖昧な態度が彼をここまで追い詰めたのかもしれない。少しでも伝わってほしい、そう思い、キルアの後頭部に手を回して優しく包み込むようにして撫でた。



「……っ、やめろ……」

「好きだよ、キルア。……大好き。キルアは歪んでなんかない……。信じてるよ」



ステラの「信じてる」という言葉が、俺の心臓を鷲掴みにする。歪んでなんかない?馬鹿言え。お前を傷つけて、無理やり身体を奪って、それでもまだ足りねぇって喚いてる俺が、歪んでないわけねぇだろ。後頭部を撫でるその手が、あまりにも優しくて、俺は思わずその手を振り払おうとして……できなかった。お前の優しさが、俺の醜い独占欲を抉るんだ。



「お前に……俺の何が分かるんだよ……」



絞り出すような声は、自分でも驚くほど震えていた。そうだ、俺は怖いんだ。お前がいつか、俺のこのドス黒い愛情に気づいて、離れていくのが。だから、その前にお前を縛り付けて、どこにも行けないようにしたかった。

ステラはキルアの後頭部をぽんぽんとあやすように撫で、その震える体を抱きしめた。



「……合意でしょ。私はキルアが好きだって言ったし、ホテルまで一緒に入った。抵抗もしなかったし」



ステラの言葉が、俺の罪悪感を容赦なく突き刺す。合意? 抵抗しなかった? ふざけんな。お前はただ、俺の殺気に怯えて固まってただけじゃねぇか。それを分かってて、俺は無理やりお前を……。



「……っ、黙れよ……!」



抱きしめてくるステラの腕を、今度こそ乱暴に振り払う。お前のその無垢な信頼が、俺をどうしようもなく惨めにさせるんだ。



「お前は分かってねぇだけだ……! 俺がお前に何をしたのか……!」



ステラから距離を取り、シーツに散った血の痕を睨みつける。これはお前が俺を受け入れた証じゃねぇ。俺がお前を力ずくで壊した証だ。その事実が、鉛のように重くのしかかる。お前を愛しているのに、傷つけることしかできねぇのか、俺は。



「……キルアが好きだから全部受け入れたのに」



乱暴に振り払われ、ステラは自分の体を抱きしめた。キルアに拒絶されると裸のままここにいる自分が、ひどくみじめに思えた。ステラはそのままベッドを降りる。



「……お風呂入る」



ステラがベッドから降り、バスルームへ向かうその後ろ姿を、俺はただ黙って見つめることしかできなかった。拒絶したのは俺の方なのに、その背中がひどく小さく、寂しげに見えて、胸が締め付けられる。



「……っ、クソ……」



俺は何をやってるんだ。好きだから受け入れた、その言葉を信じてやりたいのに、疑っちまう。お前を傷つけた罪悪感が、お前の優しささえ素直に受け取ることを許さねぇ。バスルームのドアが閉まる冷たい音が、部屋に響き渡る。静寂の中で、俺は独りだ。お前をこんなに求めているのに、結局突き放して、孤独を選んでる。



「……どうすりゃいいんだよ……ステラ……」



シーツを握りしめた拳が、小刻みに震えていた。追いかけるべきか?いや、今どんな顔してお前に会えばいい?歪んだ愛情しか知らねぇ俺は、どうすればお前を傷つけずに愛せるんだ。