「負けた? この私が? ずぅっと積み重ねてきた計画が一瞬で……そんなの……」
私は笑った。自分たちは負けたのだ。それは、死を意味する。それなのに、私たちは笑っていた。
「雨咲……さん……江ノ島……」
苗木くんが呆然としている。次々と明かされていく真実は、確実に私を黒幕側だと告げていた。それから苗木くんの顔が絶望に染まっていった。それでも苗木くんは希望を掴み取った。そして、私たちは負けた。
「超ッ! 絶望的だよぉ! あぁっ! 凄い凄いよぉ! こんな絶望初めて!」
と、私が言って。
「本当に……っ! 最低な程に最高だよぉ!」
盾子ちゃんが続ける。
「……え?」
私と盾子ちゃんの様子に圧倒されているのか、誰もが皆呆然としている。そう、響子ちゃんも。
まさか黒幕が、同級生の双子の姉妹だったなんて。まさか黒幕が、─────ずっとここまで一緒に学級裁判を乗り越えてきた─────私、雨咲マヤだったなんて。
「んぅぅぅ……! じゃあ最後のおしおき始めるよぉ!」
「超高校級の絶望が受ける、超高校級の絶望的おしおき! 超高校級の希望、それをしかと目に焼き付けやがれ!」
「何で……何でだよ! 死ぬ必要なんて……」
「あーそういうのイラナイの、同情なんてまっぴらなの。どうせならさ、私達の死なんて笑って見てよ、苗木くん」
「じゃー雨咲、これからおしおきな訳だけど。何か言い残したいことってあったりする? ほら、あれの……カメラの向こうに居る奴とかさ」
カメラの向こうにいるであろう、大嫌いで大好きな彼に向けて、私は笑ってみせた。何よりも絶望を憎み、そして愛している彼に向けて。
「……大嫌いだよ、絶望的に! 私が死んだらせいぜい悔しがれ! そして一生引きずれ!」
「うぷっ……うぷぷぷぷぷっ! やっぱり雨咲ってば最高っ#sozai960_w# じゃーなぁオマエラ! 地獄で会おうね!」
盾子ちゃんと私は笑顔でみんなに手を振った。カメラの向こう側も含めて。みんなに。
《congratulations!》
【 江ノ島さんと雨咲さんがクロにきまりました。おしおきをかいしします。】
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彼女は旅に出る。/AQUALOVERS