番外編

10話


だいぶ平気になって来て良かったとホッとしながら本の整理をしているとトントンと肩を誰かがたたくのを感じた。
ん?と振りかえるとそこには高校の制服をまとった少女が立っていた。



『…え?!もしかして、毬江??』



コクコクと頷きながら笑顔で画面に「《会いに来ちゃいました。お久しぶりです》」と表示してあるのをしめした。



『やだ嘘!!やーもう綺麗になってぇ』



口の言葉を読み取ってクスクスと笑う毬江を見てほんとに綺麗になったなと思う。私がこっちに帰ってくると教えた数少ない人物の1人だけどまさかこんなに早く会いに来てくれるとは……
毬江とは私が図書大時代に小牧が毬江に会ってみてくれないかというので二つ返事で返し会ったのがきっかけだっただろうか。



ちゃんと説明していなかったのか私が最初に小牧と毬江の前に現れた時複雑そうな顔をしていたな〜…あ、この子小牧が好きなんだなって気づいて何て可愛い子なんだってキュンキュンしたっけ。
小牧の電話がなって席を外した時おそるおそる「《小牧さんの彼女さんですか?》」って聞いてきたので違うよ小牧とは友だちで、私の彼氏はこいつと言いながら携帯で撮った篤との写真を見せた。
小牧とは反対でムスッとした顔をしてるので面白い顔でしょ?写真苦手にもほどあると思わない?と冗談まじりに言うと一瞬びっくりした顔をし、プッとふいてクスクス笑ってくれた

良かったね、そしてありがとう篤。
君のおかげだ。



『毬江…ちゃんでいいかな?
毬江ちゃんは小牧が好きなんだね』


そういうと真っ赤な顔をして俯いてしまったのでニヤニヤ見てると俯いたままそっと画面を向けてきたので画面を見る

『なになに?…"私なんか小牧さんには妹にしか見られていません"………』



顔は赤いのに寂しそうな顔をしてる毬絵を見てたまらなくギュッと抱きしめた。

『そうかな?少なくとも私はそうは思わない。例え今、妹にしか見えてなかったとしても、未来にどうなるかなんてわからないんだよ?人の気持ちは変わるの。』


もし、それでも妹にしか見えないんだったら見返すくらい綺麗になって後悔させてやればいいのよと言うとギュッと抱きしめ返してくれた。



「そうですね」




え?

『毬江…ちゃん??』



毬江ちゃんから声がしてビックリして見つめるとハッとして「《ごめんなさい。ちゃんと話せてませんでしたか?》」と心配そうに訪ねてきた。



『ううん!!!大丈夫だよ〜〜!!!』とギューっと抱きしめてキャッキャしてると襟首をグイっとひっぱられ「こら、何してるの?毬江ちゃん困ってるでしょ」と小牧が声をかけてきた。






あれもいい思い出だ。きっと。悪魔見たいだったなぁ。本人の前じゃ言えんけど。


あれから、毬江ちゃんから毬江って呼ぶようになって連絡もまめにとっていた。あれ、そういえば堂上とより連絡とってるかも…


「《どうかしましたか??》」



『え?ううん!…毬江と出会った時のこと思い出してたの』



「《出会った時……名字さん…私、今でもあの考えは変わりません》」



『毬江…でも「《でも!!》」』





「《あの言葉は忘れてません》」




そう見せニコッと笑ってくれたのでギュッと抱きしめた。






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