番外編
12話
実際にはまったく時間は経っていないだろう。しかし、私に重い鉛がのってるかのようにまったく身体は動かなくて。私には何十分も経っているかのように感じた。
「あ、名前、毬絵ちゃんが今度お茶でもしたいって…って、なにやってるの?こんなところで……!」
毬絵と別れたらしい小牧がそんなことを言いながらこっちに寄ってきたが、2人の姿が見えたのか言葉をきった。するとたっく堂上と呟きが聞こえたと共に私の手首をぐいっと引っ張って歩き出した。
『ちょっ、小牧!!』
「堂上、仕事あんまり進んでないでしょ?あっちはもう平気だからこっち手伝いにきたんだけど」
「「!!」」
「つっ続きやってきます!!」
「あ、おい!」
先程よりも顔を真っ赤にして続きをやりに向かった笠原をびっくりした表情で後ろ姿をみた堂上は続いてこちらに目を向ける。
すると眉間にグッとシワを寄せた。
『どっ堂上…??』
「……手」
手…??そこで、あ、そういえば小牧に掴まれたままだった。
「…はぁ……」
また小牧はため息をつくと掴んでいた手を離して堂上の傍に行き、耳元にそっと何かを言うと、あっちやってくると歩いていってしまった。
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