番外編
19話
『まったく…なんであんな心配性というか過保護というか……』
「とかいいつつ名字嬉しいんでしょ?」
2件目にも到着し飲み会が再開してから私が零すと小牧に言われぎくっとわかりやすく肩を揺らしてしまった。そっと隣を見るとニコニコしてビールを飲んでいた。
ちなみに私はとりあえずお茶とチューハイを両装備。
『……嬉しい…の……かな?
ほら、今までずっと離れてたじゃない?だから…かな……電話やメールしてたしその時も心配はしてくれてたんだけど……やっぱ目の前にして言われると照れるっていうかさ』
向こうに行くことが決まっても図書隊を辞める気がなかった私はその名に従ったし、篤も反対しなかったが恋人らしいことを世間の人たちよりも私たちはしてないだろう。
いい年した大人が何言ってるんだって感じだけどと、笑うと小牧はいいんじゃない?と言った。
「せっかく近くにいるんだから、そういう思いしたってさ。時と場は考えてほしいけどね」
やたらめったらイチャイチャされちゃこっちも大変だからさ。
いや!!やたらめったらイチャイチャなんてしないから!!!!!
そんな会話をしていて、ふと思い出す。
『あ、そうだ。小牧』
「ん?」
『毬絵ちゃんに本紹介したいって言ってたでしょ?私的に何冊かピックアップしてみたんだけど…どれか良さそうなのあるかな…??』
「ほんとに?助かるよ」
俺も何冊か目を通したんだけど男と女じゃやっぱ選ぶもの違うかなって思って、といいながら私が出した本をパラパラ見ていた。
やっぱフライドポテトうまし!!
もぐもぐしてると「あ、これ」と声が聞こえた。
『ん?なに??』
「"ネムノキに降る雨"……」
『…オススメしたことあった?それともあんまよくなかった?』
「あ、いや、そうじゃなくて俺もこれいいなって思ってたやつだったから」
『ふーん…へー』
なに……とジト目で見てくるのでべっつにーとニヤニヤしながら返す。
この本のお話は聴覚障害を持つ主人公が恋をし結ばれるという恋愛小説。
毬絵はやっぱり気にしてるみたいだったから背中を押すわけじゃないけど楽しい温かい気持ちで読んでほしい…そういう気持ちで選んだ本だった。
それを小牧も選んでた。毬絵、やっぱりあなたが気にするほど彼は…………
「じゃあ、これやっぱすすめてみようかな」
『うん!そうしてみて!!』
小牧、と呼びかけると本を見ていた小牧はん?とこちらを向く。
『毬絵を……お願いね』
「!!……うん」
真っ直ぐ目を見てそう言うと驚いた顔をしながら真剣に頷いてくれた。それが嬉しくて、私の大事な妹みたいなもんだから泣かしたら許さないからと言うとそれは勘弁したいねと笑った。
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