番外編

24話



久々に外に連れていかれると小牧の姿があった。
よかった、衰弱はしてるみたいだけど生きてた。
虚ろな目で私を見つけると目を見開く。
なに、私そんな酷いのかな、笑顔を見せるがもっと顔色が悪くなってしまった。


「これから良化特務機関本部に移送する」




車の中はしんとしていて喋ることも許されないし、お互い喋る気力も残ってない。
ただただ、外の風景が変わるのを見るだけ。



……篤…


こんな時に浮かぶ顔は、笠原でも柴崎でも手塚でも隊長達でもなく恋人の顔だった。
……私死ぬかな。
それでもいい。だって毬江は、あの本を読んで特別な本だって…楽しめた大好きな本って…言ってくれたから。
でも心残りが本当にないのかと言われれば嘘になる。

最後にもう1度名前…呼んで欲しかったな



キィィィイイ


と、急ブレーキを踏んだ音が聞こえる。

……なに?




耳をすませていると隊長の「小牧と名字を返してもらう」という声が聞こえる。


…ということは、さっきの急ブレーキは隊長…??
まったく……本当にめちゃくちゃだな……関東図書基地の特殊部隊は、。


小牧と頷き合うと最後の力を振り絞って周りに座ってた良化隊を退け、外に出る。



フラフラながら、一歩一歩。


小牧!という篤の声が聞こえる。あんたがいながらなんて無茶な作戦に出てんのよ…

一気に力が抜けて地面に倒れそうになるところで「名前!!!」と呼ぶ声が聞こえ、抱きしめられる。


『……あ…つし?』

「悪い、遅くなった」

『…幻…見始めたのかな…いよいよ私死んだ?』

「…ど阿呆…馬鹿なこと言うな。死んだら腕ひしぎ1分だからな」

それは嫌だ生きてる。生きてます。











『だから大丈夫!立てるよ!!』

「嘘つけ、黙っておぶられてろ」




「〈取り調べを受けている隊員さんたちは光をくれた人達です!…この本の女の子は好きな人と結ばれます。同情も蔑みもなく、1人の女の子として〉」



テレビの向こうで毬江は…戦ってくれていたんだ。自分の口で戦ってくれた。私たちの為に。
涙が出そうになりギュッと篤に掴まり、背中に顔を当てると黙ってそのままでいさせてくれた。






タクシーが止まり、そこから毬江が出てきて小牧と互いに近づき抱き合う。何か、言ったあとに私にも気づくとこっちにかけよってくれる。

私も篤から降りると、ギュッと抱きしめてくれた。

「ありがとう。私の為に…ごめんなさい」

『謝らないで。私は、誰よりも貴女の幸せを願っているのよ?』


だから、笑った顔…見せて?
と毬江の顔に両手をあて、弱い力で顔を挙げさせると涙を目に浮かべながら微笑んでくれた。
視界の端に微笑んでる小牧の姿もうつる。

あぁ、よかった


しかし、その視界は徐々にぼやけていく。

あれ……?



意識が途切れる前に聞えたのはみんなが私の名を呼ぶ声だった。




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