番外編

2話


「あー…一体どんな人なんだろう」



「うるさい笠原。真面目に巡回しろ」


堂上に叱られたあの後、この日は笠原、手塚は巡回だったため、図書館内を回っていた。


「わかってるってー
でもさ、手塚も気にならない??
どんな人がくるのか」



そう言われると否定できないのか黙ってしまうと何処からか子どもの泣き声が聞こえてきた

「!笠原」


「何かあったのかな…多分こっち!」



2人が声がする方に向かうとそこには、自分たちと同じくらいか少し年上くらいの女性と、その女性に抱きついている男の子がいた



『大丈夫、大丈夫よ〜』



「えっと…どうかなさいましたか?」


笠原は女性に声をかけると、その女性は少し眉毛を下げて微笑みながら言った。

『この子、迷子みたいで…声をかけたら緊張の糸がほどけたみたいで泣きだしちゃって』


そういいながらも男の子の頭を撫で、背中を落ち着かせるようにポンポンとリズムよくたたく。

子どもの扱い慣れてるのかな…?

「そういう事なら、あとは俺たちがかわりますよ
カウンターで聞いてみます」



『ありがとうございます
ほら、ここにいるお兄さんとお姉さんがお母さん見つけてくれるって』


「一緒に行ってみようか
お母さんもきっと探してると思うし」



すると男の子は腕に力をいれて先程よりもギュッと女性に抱きつき、イヤイヤと首を横に降っている



「いや?…どうしよう…困ったな」



「どうしようって…この子に納得してもらうしかないだろ…この方に迷惑かけるわけにいかないし」



無理強いするのは避けたいが、いくらなんでも利用者に迷惑かけるわけにはいかない。困り果てていると『あの…』と、ずっと黙っていた女性が口を開く



『もしよろしければ、私もカウンターのほうに行きますよ?』



「そんなっ…ご迷惑じゃ…」


『いえ、時間はありますので大丈夫ですよ?』


「じゃあ、お言葉に甘えてもよろしいですか?」


手塚も男の子がはなすのを待つより、ついてきてもらった方が得策と考えたのか、その一言で決まった。





女性が男の子を抱え、カウンターに向かう。
「北海道からいらしたんですか??」



『はい、朝来たんですけど時間があったので図書館に行ってみようかなって思って』



「へぇ…どうしてこっちに?」



「おいっ、それはプライベートに踏み込みすぎだろ!」


「え!?あ、すみません…」



『ふふっ大丈夫ですよ
仕事でこっちに。もともとこっちに住んでたんですけど、向こうが勤務先に決まってそっちに行ってたんです。けど、移動で戻ってくることになって』



「そうなんですかぁ」




カウンターの方に行くと、笠原・手塚と同期の柴崎が利用者だろうか女性と話していた。
その姿に話が終わってから声をかけようとしていると『ねぇねぇ、もしかしてあそこにいるのお母さんかな?』

その言葉を聞いて顔を上げだ男の子は指を指す方向に目線を向けると涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔のまま満面の笑顔になる

「お母さん!!!!!!」


その声にお母さんと呼ばれた女性は振り向き、かけてくる男の子を抱きとめる

「もう!どこいってたの!!?」


「ごめんなさぁぁぁぁい」


「本当にすみませんでした
ご迷惑おかけして」


起こりながらも本当に心配していたのだろう。ホッと息をつくと笠原たちに頭をさげた

「いえ!私達はここに連れてきただけですから!!
この子を見つけたのはこの方ですから!!」

数歩後ろにいた女性のほうに目線を向けると、女性は頭を下げた


「そうでしたか!
本当にご迷惑おかけしました」


『いやいや!
…お母さん見つかってよかったね』


男の子の目線に合わせるように腰を曲げると笑顔でいいながら『あっ』とカバンの中に手を入れ何かを探しているとはいっと男の子に手を向けた。

「?飴??」



『うん!私が話しかけるまでは泣くのを我慢してお母さん探して、反省もしていたからご褒美かな!
でも、もう勝手にはぐれちゃだめだよ?』


「うん!ありがとう!!!」


笑顔でうなずく男の子に母親もお礼をいいながら去っていった。





「本当にありがとうございました!!」



『いえいえ!何もしてませんから!早くお母さん見つかって良かったです』


「ほんとうで〈笠原・手塚!もう交代だぞ。何かあったのか?〉あ、堂上教官!実はですね」



交代の時間になっても戻って来なかった2人を心配したのか連絡を入れた堂上に報告しようと女性のほうを笠原が見ると女性は焦ったように


『では!私はこれで!!!』


「え!?あの名前だけでもっ」


突然帰ろうとする女性に名前だけでも聞いておこうと手塚が手を伸ばし聞くが『名乗る程のものではございませんから!』と何処のヒーローだという感じのセリフをはき、早足に図書館を去っていった。


「どうした?」


「プッ…手塚はなんでそんな体制なの?」


なかなか話さないのに不信に思ったのか、上官である堂上、小牧が来た。


「いや、迷子の子がいて利用者の女性が連れてきてくれたんですけど…」


「今しがた急に去っていってしまって…」



と、2人が報告するとその方の名前は聞いたのかと堂上が尋ねるも女性が残したセリフを言う笠原に小牧が上戸に落ちる


「何それwwwwwww
かっこよすぎwwwwwwwwwwwww」



「はぁぁ…わかった。戻るぞ」










『あー…危なかった
あの感じじゃ下手したらこっちに来てたからね
バレちゃ玄田隊長との作戦がパーになっちゃう

しかし…彼女たちが例の……抑えられるかなぁ…』






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