あふれそうな気持ち

ヒトツキからニダンギルに進化してからしばらく経ちました。
ようやくナマエも2対の剣が並ぶ様子に慣れてきたころ、もっと遠くで鍛錬すべきだという母の言葉に従い、旅へ出ることになりました。

手持ちも増えてすっかり立派なトレーナーへと育ったナマエの姿を見て母は感動を覚えたのでしょう。
旅立ちの日には手に持ったハンカチがぐっしょりと濡れしきるまで泣いていました。

手にしたピカピカのトレーナーカードをひとしきり眺めたナマエは、立ち寄ったポケモンセンターで仲間たちの入ったボールを受け取るとジョーイさんに頭を下げて用意された部屋へ移動しました。

手にしたボールの中から1つを選んで宙に放ると、相棒が姿を現しました。
ギンギン、と音とも鳴き声とも取れるような音を立てるとナマエが腰掛ける
ベットへフヨフヨと近寄ってきます。

旅に出て毎日見慣れないものばかりの中、姿形こそ変われどずっとそばにいる安心感を与えてくれる存在であるこの子は、手持ちの中でもやはり格別な存在でした。

近づいてきた刀身をひと撫でして2本の身体をまとめて抱きしめると、ギュウギュウと身体を押し付けるような感覚がありました。

「明日はミアレシティに入るよ。
ヒトツキは初めてだよね?
私もすっごく久しぶりだから道に迷っちゃうかも!」

ニコニコと話すナマエの姿にヒトツキも楽しい気持ちになってきます。

ナマエの話を聞いていると、明日は人間たちの言う、とかい、という場所に行くようです。
人もポケモンも多く生活するというその場所はどうやら気疲れしそうだ、と実は人(ポケモン?)付き合いがあまり得意ではないヒトツキは思いました。

幸い、仲間内には付き合いの上手い奴もいるし、明日はそいつにナマエの隣を任せて自分はボールの中でゆっくりしてしまおうとこっそり考えていたところ、

「私ね、ヒトツキと一緒にいろんな場所に行けてとっても楽しいんだ!
明日もいろんなモノが見れるといいね!」

とヒトツキの大好きな笑顔で言われてしまいました。
やはり、明日もナマエの隣はヒトツキのものになりそうです。