7.背中を預ける
ゴッドイーター生活二日目。
まだ慣れないベッドの中で、枕に顔をうずめる。
「ふわっ……。朝、か。眠い……」
少し硬めのマットレスに手をついて起き上がる。髪に手を伸ばすと、寝癖がぴょんぴょんとはねているのがわかった。
「……今日は確か、第一部隊の人と任務、だったかな」
鏡に向かい、櫛で寝癖と格闘する。
一通りの身支度を整え、両頬をぱちんっと手で叩いて気合いを入れれば、準備万端。
「さて、行きますか!」
* * *
今回の任務場所は嘆きの平原。
巨大な竜巻が発生し続ける平原で、上空には重たい雲が覆っている。
平原の中央には隕石が落ちたかのようにえぐり取られた箇所がある場所。
ヘリから降り立つと、遠距離型神機・スナイパーを携えた黒髪ボブの女性が待機していた。
確かこの人は、リンドウさんとの初任務の前に親し気に話しかけてきた人だ。
「この前の新人さんね?」
「はい。レイン・アーヴェルクラインです。今日はよろしくお願いします」
「私の名前は橘 サクヤ、よろしくね」
大人の余裕の微笑みにつられて私も笑顔になってしまう。
サクヤさんは私の肩を叩いて笑った。
「あまり緊張していないみたいね。良い事だわ。肩の力を抜かないと、いざという時体が動かないからね」
「あはは、リンドウさんも同じこと言ってましたよ」
思わず私の初陣の時のリンドウさんの言葉を思い出す。本当にこの人達はいい人だ。
「あら、リンドウが? 似てきちゃったのかしら」
少し恥ずかしがるサクヤさんがすっごく可愛い。
笑いあっていると、どこからかアラガミの声が聞こえてきた。すかさずサクヤさんの笑みが真剣な表情に変わる。
「さっそくブリーフィングを始めるわよ。今回の任務はキミが前線で陽動、私が後方からバックアップします。遠距離型の神機使いとペアを組む場合、これが基本戦術だからよく覚えておいて。くれぐれも先行しすぎないように。後方支援の射程内で行動すること、OK?」
「はい!」
「素直でよろしい! 頼りにしてるわ。さあ、始めるわよ」
高台から地面に降り立ち、神機を構えて駆ける。
「見つけた!」
「あれがコクーンメイデンよ!」
地面に張り付いた砲台型のアラガミが、私達に気がついたようにこちらを向いた。また、あの耳鳴りがする。
「はああっ!」
攻撃される前に神機で斬り刻む。
血が噴き出て呻くコクーンメイデンが、体を震えさせた。
(何かくる!?)
すぐさまコクーンメイデンから離れると、体内から針が出てきた。
「あっぶな!」
「レイン、大丈夫!?」
気づかなければ針に串刺しにされる所だった。サクヤさんに無事を伝えると、応えるようにスナイパーのレーザーがコクーンメイデンを貫く。
「さあ、お返しだよ!」
神機を捕食形態に変形させ、コクーンメイデンを喰らう。
倒れたコクーンメイデンを確認し、二体目に向かって走る。
バーストモードで二体目のコクーンメイデンを斬り伏せた。
「お疲れ様、レイン。良い動きだったわ、凄く戦いやすかった」
「こちらこそ援護射撃ありがとうございました。背中を預けられるって、良いですね!」
「これから毎日背中を助けてあげるわよ、よろしくね」
頼れるお姉さんができたようで、少しくすぐったい。
二人で笑い合いあいながらアナグラへと帰還した。
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