12.第ニ部隊



 リンドウさんとサクヤさんと一緒に、無事任務を終えた私はエントランスで大きく背伸びをして息をついた。

 始めて対峙したアラガミはグボロ・グボロ。
 魚に似たアラガミで大きな姿からは想像できないほど、突進攻撃が速かった。

「サクヤさん、後でバレットについて教えてもらえますか? 私、銃はまだまだで下手で」

「良いわよ。でも貴女が思うほど下手じゃないと思うけど」

「そうですか? 私、剣ならわりと自信あるんですけどねー」

「そうね、もっと実戦を経験すればあのソーマにも肩を並べられるかもしれないわね。なにか訓練受けてたの?」

「……まあ、いろいろと」

「……そう。じゃあ私はシャワー浴びてくるから、その後に私の部屋にきてね」

 私が言葉を濁すと、サクヤさんが察したように話を戻す。

「はい、ありがとうございます!」

 サクヤさんの気づかいがとても優しい。手を振って別れると、向かいから走ってきたピンク色の髪の少女とぶつかった。

「うわっ!」

「きゃあっ!」

 尻もちをついたのは見知った顔の台場カノンちゃん。アナグラに始めてきた時に挨拶した子で、それ以来メールなどで仲良くしている。

「大丈夫? カノンちゃん」

「は、はいっ。レインさんは大丈夫でしたか!?」

「私は大丈夫だよ。あれ、これから任務?」

「そうなんです。第二部隊の皆さんと任務でーー」

「カノン、どうかしたのか?」

 カノンちゃんの後ろから銀髪の青年が声をかけてきた。この人も第二部隊の人なのだろうか、真面目そうな顔つきをしている。

「あ、ブレンダンさん!」

「……隣のは新人か? あの新型の」 

「はい。レインさんっていうんですよ」

「第一部隊のレイン・アーヴェルクラインです。よろしくお願いします」

「俺は第二部隊のブレンダン・バーデルだ。よろしく頼む」

 握手を求められ手を出す。
 ギュッと握りしめると、受付から何やら男の人の声がした。

「ヒバリちゃ〜ん! この後任務が終わったらデートしようぜ!」

 黒髪に赤のジャケットを着た人が受付のヒバリちゃんに猛烈アタックしている。

「あはは……あの、タツミさん、任務はコンゴウ討伐でいいですか?」

「おう! なんでもどんとこい!!」

 ヒバリちゃんが呆れている……。
 ブレンダンさんを見ると溜息をついて「いつものことだ」と頭を振った。

「……タツミさん、ブレンダンさんとカノンさんがお待ちですよ」

「お、そうか。ん? 見慣れない顔がいるな」

「第一部隊に配属されたばかりのレインさんです」

「ああ、あの新型か!」

 タツミと呼ばれていた男の人が私に気づいてこちらに歩いてくる。

「よ、俺は第二部隊の大森タツミ。よろしく!」

「レイン・アーヴェルクラインです。よろしくお願いします」

 人の良い笑みで握手され肩を叩かれる。ヒバリちゃんと目を合わすと苦笑いしていた。

「もしも任務が一緒になったらよろしくな、評判良いって聞くし頼んだぜ」

「はい、頑張ります」

 笑顔で応えると、カノンちゃんが残念そうに呟いた。

「私は早くレインさんと任務に行きたいです……」

「や、それはレインが可哀想だろ」

「ああ……そうだな」

 タツミさんとブレンダンさんが引きつった笑みを浮かべてカノンちゃんを見ている。

「? どうかしたんですか、二人とも」

「あー、まあカノンは気にするな。さっさと任務行くぞー」

「今日はコンゴウか。いつも通り気を抜かずに行こう」

「??」

 ブレンダンさんがカノンちゃんを連れて受付から離れていく。と、タツミさんが私に近づいて耳打ちした。

「アイツはアナグラで一番の誤射率を誇るからな、あと性格も変わるぜ。もしも一緒になったら気をつけろよ」

 最後に背中を叩いてタツミさんは二人の後を追う。

 誤射?
 またまたそんな警戒するほどの誤射って。

 私は全然分かっていなかった。
 神機を持ったカノンちゃんがとんでもなく凄い性格になることに……。

 数日後、一緒に任務に行った私は見事にカノンちゃんに誤射されまくったのだった……。


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