第4話   語られる力

「…は?」
「だから忍術じゃない。」
「忍術じゃないって…。」
アスマは由良の言葉が理解出来なかった。
「この術に名前はありません。
ただ媒体となっているのは忍術ではなく、霊能力です。」
「霊力を使って私が作り上げた人形は意思が宿り、
動く人形となります。
本来はそれだけで戦闘も可能な人形となりますが、
佐保姫には綿に少しずつ水を含ませるように、
チャクラを溜めています。」
そうすることで忍術にも対応できる人形となりました。

由良の話にアスマだけではなく、イノシカチョウの3人も言葉が出なかった。
「…由良、その人形は、意思が宿ってる、
って言ったな?」
アスマが恐る恐る尋ねた。
「はい。」
「それはつまり、俺にかけられた術を破ったのも、
敵を倒したのも、その人形の意思だというのか?」
「先生にかかった術を破ったのは、私の指示ですが、
敵を倒したのはこの子の意思です。」
「それってどういうことなのよ?」
「この子は主人である私が敵意を向けられた場合、
その相手に襲い掛かるんです。」
私が襲われたから敵を倒した、それだけです。
話を聞いてアスマは何かを考えるように、黙り込んでしまった。
その様子に由良はつぶやくように言った。
「忍術じゃないこの術はそんなに脅威ですか?」
イノシカチョウの3人は由良の言葉に驚いた。
「この話を信じるか信じないかは、聞き手の自由です。
何を信じるかは人それぞれ違いますから。
でもこの術が忍術じゃないことなんて、
何の問題もないはずですよね。」
その人一代限りの術なんてこの世に沢山ありますから。
「あ、いや…それも危惧することだがな…。」
アスマは言葉に迷っていた。どう言えばいいのか…。
「それともこの術を教えてくれた師に興味がありますか?」
由良の言葉に慌てだしたアスマを見て、
話を聞いていたチームメイトたちは顔を見合わせた。
「それってどういうことなの?」
「忍術ではない術を使う私や師がどんな立場にいるのかで、
里にどんな影響をもたらすのかが変わってくるから。」
「……よくわかんないんだけど…。」
チョウジはお菓子を食べながら呟いた。
「要するに忍術とは全く別の術を持つ由良の師匠が
里に対して敵意を持った場合に備えて、
その由良の師匠の情報を知っておく必要があるってことっすか?」




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