第4話 語られる力
「ここから1キロ先のごみ置き場、500メートル先の公園の遊具の中、2キロ先の演習場の木の上。」
「由良?」
「後方2キロ先の屋根の上、3キロ先の病院の屋上…。」
目を閉じてあちこちの場所を言い終えると、由良は一同と目を合わせた。
「今、あげたところにネコの鳴き声がする。」
「…………あの、由良?」
アスマは静かに手を挙げると、由良は首を傾げた。
「お前、ネコの声って…どういうことだ?」
「……どういうって…ネコの声を聞きました。」
「お前、何キロも先にいるネコの声が聞こえるのか?」
「昔から耳が良いんです。その気になれば、心音だって聞き分けられます。」
あっけらかんと言う由良にアスマはそうかと頷くしかなかった。
「そういえば前の任務で音がどうとか言ってたな?」
アスマが呆然としていると、シカマルが由良に前日の里外任務でのことを尋ねた。
「あれは心音を聞き分けた。」
「心音?」いのが訝しげに首を傾げた。
「どんな生き物にも心臓がある。だから心音を辿れば居場所は掴める。」
由良の言葉にシカマルはなるほどと頷き、再度疑問を投げかけた。
「じゃ、あの時の分身を見分けたのは?」
「分身とか影分身の術は、そこにあるのは表面だけ。中の心臓まで再現できない。」
「だから、分身には心臓の音は聴こえないってことか。」
シカマルの解釈に由良は頷いた。
アスマが呆然としている横で、いのとチョウジは由良にすごい!と感嘆の声をあげた。
「それじゃ、さっき由良が言ってた場所にネコがいるってことね?」
「でも、どの場所にマダム・しじみのネコがいるの?」お菓子をばくばく食べながらチョウジが尋ねると、由良は分からないと答えた。
「対象の声や心音を聞けば聞き分けができるけど、私はマダム・しじみのネコの鳴き声も心音も聞いたことがない。」
「ネコのいる場所をしらみつぶしに探すしかねぇってことか、めんどくせーな〜。」
「でも、ネコの居場所が分かるだけでも大分楽よ〜、ここは手分けして探しましょ!」
そうして、10班のネコ探しが開始されたのだった。
結局、由良が言った演習場の木の上で昼寝をしていたマダム・しじみのネコ、トラは捕まり、マダム・しじみに届けられた。
その後、何か食べに行こうといういのの提案で入った甘栗甘でそれぞれ思い思いの注文をし、甘味に舌鼓を打っていた。