第1話 運命共同体と下忍選抜試験

演習場の側にある森の中に隠れたシカマルは
木の間からアスマの様子を窺っていた。
(ったく、めんどくせー試験だぜ。)
腰に堂々と鈴をつけているとはいえ、相手は上忍だ。
アカデミーを卒業したばかりの自分たちには分が悪すぎる。
物陰から隙を見て術をかけようかと思ったが、相手に隙が無い。
(こりゃ、無理だ。)
シカマルは溜息をつき、座り込んで手を逆さの円の形に合わせ目を閉じた。
しばらくそうしていたが、キッと目を開けた。
そして立ち上がり辺りを見回し森の中を走り始めた。


由良は迷っていた。
この試験が自分1人では合格はできない。
それはよくわかっている。
だが、どうやって彼らと協力すればいいのか、
由良にはそれがわからなかった。
だからと言ってこのまま何もせずにアカデミーに戻るのは嫌だ。
(……どうしよう…)
そうやって迷っている内に時間はどんどん過ぎていく。
ここでこうしていても仕方がない。
そう考え立ち上がると後ろから声が聞こえた。
(……?)
何の声かと首を傾げたが、どうやら言い争いをしているらしい。
とりあえず行ってみようと佐保姫を抱え
由良は声の方に向かって歩き出した。


いのの心は大荒れだった。
大好きなサスケくんと班が別の班になってしまった不満が
まだ消化できていない上に、
何を考えているかわからない由良が一緒なのだ。
いのにとって由良は苦手な存在だった。
アカデミーで由良が馬鹿にされていることは知っていた。
いのはそんな周囲に嫌悪を抱いていたが、
それ以上に由良に対しても良く思っていなかった。
自分を馬鹿にしてくる連中を相手にしない由良の態度には嫌悪を抱かない。
だが、自分と仲良くしようとするアカデミー生に対しても由良は無視していた。
そんな由良の態度をいのは不快感を持っていた。
そして、シカマルからの言葉にいのの心はさらに荒れていくのだった。




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