第2話 仲間として繋ぐモノ

「よし、任務終了だ。お疲れさん。」
アスマの言葉に猪鹿蝶の3人は、はぁ〜と溜息をつき座り込んだ。
一方、由良は涼しい顔をして立っていた。
そんな子供たちの様子にアスマは笑っていた。
「あぁ、そうだ。せっかくだから焼肉でも食べに行くか。」
アスマの言葉にチョウジが目を輝かせた。
「先生!本当?!」
「あぁ、まだ下忍になったお祝いもしてなかったしな。」
そう言うアスマにいのとチョウジは大喜び。
シカマルもめんどくせーとつぶやいていたが、
まんざらでもなさそうだった。
一方由良はそんな4人の様子をじっと見つめていた。
アスマは表情を変えずにいる由良と目を合わせ、
頭をポンポンと撫でた。
「な、由良も行こう。」
アスマは笑って自分を誘っているが、
どうしてそんなことをするのか、由良には分らなかった。
だが、行けば何か分かるかもしれない。
そう考えてコクと頷いた。



5人は里の焼肉店『焼肉Q』に入り、注文をしていた。
注文したメニューが届くと、大食いのチョウジは
ガツガツと見事な食べっぷりを見せていた。
いのとシカマルはその様子に溜息をつきつつも
笑顔で肉を頬張っていた。
そんな3人にアスマは笑みを見せていたが、
自分の隣に座る由良の様子に首を傾げた。
「どうした?由良?」
由良は嬉々として食べている3人の様子をただ見ていた。
「お前も食わないとチョウジに全部食べられるぞ。」
そう声をかけられた由良はようやく箸に手を伸ばした。
シカマルとチョウジは由良の様子を
食べながら不思議そうに見ていただけだったが、いのは違った。
「先生の好意を素直に受け取れない根暗ちゃんには
わかんない味なんじゃない〜?」
「こら、いの!」
アスマはいのの言葉を窘めたが、いのはお構いなしだった。
これまでのうっ憤が爆発寸前だったのだ。
だが、由良はそんないのに見向きもせずに肉に手を付けていた。
その態度にいのはもう我慢がならなかった。
「あんた!いい加減にしなさいよ!!
そのすかした態度が気に入らないのよ!!!」
いのはそう声を荒げて由良に掴みかかった。
「いの!やめろ!!」アスマは慌てていのを止めに入った。
だが、いのは荒げた声を止めなかった。
「他人が嫌いだか何だか知らないけどね!
同じチームにいるんだからっ!!
もう少し歩み寄るくらいしなさいよ!!!
人のことを無視ばっかりしてんじゃないわよ!!!」
いのは自分の態度も良くないことがよく分かっていた。
だがいのが一番許せないのは
人の悪意だけではなく好意をも
無視してしまう由良の態度が一番許せなかったのだ。
いのの言葉を聞いて、由良の手は止まった。
そしてまっすぐいのの目を見つめた。

「………私、嫌いだなんて言った覚えはない。」

それだけ言うと箸を置いて立ち上がり、
アスマに向かって一礼をして店を出ていった。
残された4人は由良の行動に驚き呆然としていた。



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