程なくして
人間界から祭具が盗まれたと聞いた

もちろん天界は大慌て
祭りが無くなり信仰が集まらなければ神も無事では済まないからだ

祭具を盗んだ人物は、晴明だった

天界は今三つの勢力に分かれている
昼子派、反昼子派、そして様子見の三つだ

現在は昼子派が優勢のようだがどうなるかはまだ分からないだろう

下界に降りた神も多くいた
私は様子見という立場に徹し
晴明の無事を祈る事にした


しかし晴明は私の思いを余所に
祭具を盗み出した後、帝に取り入りある一族を皆殺しにしたらしい

彼の業は一体どこまで深くなるのだろうか

大江ノ山の時もひどかったが今回の騒動の方が騒がしく思った
自ら下界に降りる神の多さがそれを物語る

あの仮面、そしてその仮面を作った晴明の父
そして晴明の母が大きく関わっているようだった


数少ない顔見知りの神に聞いた所
晴明の父は祭りで三界を繋げようとし他の神の怒りに触れ
祭具は人間界に渡ったらしい

三界を繋ぐ等、無茶を言ったものだ
しかし意外にも晴明の父を支持する女神は多かった
皆あの祭りが忘れられないらしい

同様に、晴明の母を支持するものも多かった
どちらも理解が出来ないのは私が双方と面識がないからだろうか


少しずつだが
話しが見えてきた

晴明の父・母、そして晴明の生い立ちを理解してきた頃には晴明が盗み出した祭具はすでにいくつか奪還され
少しずつ人間界の祭りは復活していた

天界の勢力も変わってはきたが未だ昼子派が優勢だ

天界はとある一族を使い祭具の奪還を謀っているらしいがそれでも神なのだろうか

どうやらその一族には呪いがかけられ、それを餌に動いているらしいが


時折黒蠅に会っては様子を聞いた

私に出来る事は何だろうか