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(ん?)


職員室前に何やら困った様子の生徒がいる

見てみぬふりをしても良かったのだが
彼は確か最近転校してきた子だ

おそらくまだ学校に慣れていないであろう
仮にも私は生徒会長だ

優しくしてあげても不自然ではないだろうし
きっとその方が私にとって都合の良い結果になると思った


「君、どうかしたの?」

「え?あの、部活の説明を受けたかったんですが…
担任が不在で」

「入部受付開始したもんね
私で良かったら説明しようか?
一応どの部が募集中なのか把握してるから」


入部状況などのデータは随時生徒会に届く
よかった、この相談内容なら私が対応して間違いはない


「ありがとうございます、助かります」

「まずはバスケ部…」


現在募集を行っている部活と活動場所、活動日伝え一度見学をすすめた

やはり転校生というのは地元の人間とは違う雰囲気を覚える
首を振る度揺れる銀髪は猫っ毛なのか柔らかそうで
先ほどまでのふわふわした印象と違い真っ直ぐに目を見て話を聞く彼の姿は少しミステリアスに感じた


「と、まぁこんな感じかな
学校には慣れた?
君二年生の鳴上君だよね?」

「よく知ってますね」

「小さな学校だから、転校生位把握出来るよ」


仮にも、生徒会長だしね
特にこういう事は把握にしておくに越した事はない


「本当に助かりました」

「自分に合った部活が見つかると良いね
きっと充実した学生生活を送れるよ」

「あの」

「ん?」


まだ何か用があるのだろうか


「また、話しかけても良いですか?」


目線を外し
気のせいか少しばかり顔を赤らめ
絞り出すかのような声で
そんな些細な質問に問われた


「えぇ、何時でも」


生徒の声に耳を傾けるのは生徒会長の仕事だ


私はそんな
軽い返事のつもりだった