利吉

「おや、利吉さんじゃないですか」

「やぁ、なまえさんこんにちは」

「少し久しぶりですね
相変わらず若いのによく働く」

「いえ、お陰で結婚はまだかと行く先々の依頼主に心配される始末ですよ」

「まだ若いのに大変な事で
しかし利吉さん程の方なら選り取り見取りでしょう」

「それがこの通り多忙な身でして
身を固めた所で家に居られる時間が少ないものですから結婚となるとなかなか…」

「おや意外
よく女は港、男は船と言うでしょう
夫を待つのも妻の勤めかと思いますがね
夫が帰りたくなるような家にするのが妻
そうなれば夫も早く帰られるよう仕事に励む、結局は妻のあり方次第ではないでしょうかねぇ」

「なまえさんみたいな方ばかりなら、私も違ったのでしょうね」

「まだ若いんだから、焦らなくても良いでしょう
ははは、本来焦るべきなのは私だ」

「…本当、相手が曲者でなければ」

「ん?何か言いました?」

「いえ、そういえばお土産があるんです
良かったらいかがですか?」

「良いんですか?
いや〜顔も良いし仕事も出来る、おまけに気遣いまで出来るのだから利吉さんの所にはきっと良い嫁が来ますよ」


(出来ればそれは、貴方が良いと言えれば良いのに)