(がっつり痕残しやがって…)
私の首もとにはくっきりとキスマーク
ストールで隠せない事もないが面接には向かないだろう
これが消えるまで面接はお預け…
まさか氷室君までもが私の就活を邪魔するとは
(お風呂で揉んでおこ…)
少しでも早くそれを消す為
お風呂掃除もかねて早めにシャワーを浴びた
まさか大きな子供が二人もいたとは…
もう面接も行けないし昼間っからビールでも飲んでやろうか
昼間から酒なんて背徳行為もたまには良いかもしれない
二人の前ではすっぴんを晒しはしてもやはりどこか気を張っている所はあって
氷室君も大学に向かいこの部屋には今私だけ
その開放感を味わえるうちに味わっておこうと肩にタオルだけかけて
全裸でリビングに向かった
「へ…紫原君?!」
そこにはまさかの紫原君
ばっちり目があった
ばっちり見られた
慌てて浴室に身を隠したがもう遅い気もする
「あーみーちゃったー」
「なんで?!大学は?!」
「午後休講になったから一回帰ってきたんだけどー
これってラッキー?○○ちん細いねー
今日からおかず分けてあげるねー」
「あーもう!忘れろ!忘れなさい!!」
「無理だしー」
やっぱり油断すべきでは無かった
紫原君の子供のような反応には少し安心したが仮にも年頃の男子に…
私が今まで気を使ってきた事が無駄になるのではと頭を抱えた
「ねー○○ちんさ、ずっとうちにいなって
室ちんもきっと良いって言うよ」
リビングから響く紫原君の声
氷室君から何か聞いたのだろうか
それともリビングテーブルに出しっぱなしだった面接の案内でも見たのか
髪は濡れたままだが急いで着替え
リビングに向かい、紫原君を見上げる
「ダメだってば
君ね、私は君らと違って色々社会的責任とか伴う年齢なの
こんなのおかしいんだって」
良い年した大人が本当に、情けない
そしてこの状況はさっさと脱出出来ずにいる自分の不甲斐なさにも泣きそうになった
「でも楽しいなら良いじゃん」
「良くない!生きていくのはお金がかかるし
結婚もしたいし…」
「え、○○ちん結婚したいの?」
「そりゃね」
相手もいないがそりゃ結婚位したい
ついでに子供もほしい
私だって人並みの家庭を作りたいのだ
「○○ちんが他の男のものになるのなんかやだしー」
「私は君のお母さんじゃないんだぞ…」
何だか疲れた
紫原君も話すのにあきたのかお菓子を食べ始めたし
私も諦めて冷蔵庫のビールに手を伸ばした