07

「お、紫原!と、みょうじ?」

「福井くーん、約束通り部活見に来たよー」

「つかわざわざ着いてこなくて良くない?」

「きちんと部活に出るか見届けないとさ」


渋る紫原君と訪れた体育館ではバスケの練習の真っ最中で
紫色がアクセントとなったユニフォームを着た福井君が出迎えてくれた

私の横にいる紫原君は相変わらずふくれっ面だ
よほど私が着いてきたのが気に入らないらしい

練習風景を覗きたかったのもあるが何より高校生の紫原君は私に対する警戒心がむき出しで
お菓子をあげるからと言って素直に言うことをきくか疑わしかった

だからここまで着いてきたのだ

しかしこの世界にはまいう棒のジンギスカン味は本来存在していないようで
意外にも彼は渋々ではあったが部活に出る事を了承した

彼との本来の出会いと良い、まいう棒とは縁をつなげるものなのだろうか


「アツシが女連れなんて珍しいな」


響いたのは
また聞き慣れた声

そう言って私たちの所に駆け寄ってきたのは
紫原君と同じように、やはり少し幼い氷室君だった


「えぇ、ちょっと色々あって」


高校二年生でこの色気か、モテない訳ないよなぁと言うのが氷室君の全身を一瞥しての感想だった


「アツシを部活に連れて来れるなんて凄いな
いっそマネージャーになって欲しいよ」

「それマネージャーという名の紫原世話係りだろ?」


そう笑う福井君と氷室君を見て
なるほどマネージャーか
この二人の傍にいられてそれがマネージャーなんて
なんて心躍る状況だろうか


「はぁ?!俺がやだよ、こいつお節介で俺が嫌いなタイプだし!」


それを遮り
私のテンションを一気に下げたのは
相変わらず不機嫌なままの紫原君の大きな声だった



―――――――――



「…ねぇ紫原君、私の事嫌い?」

「何言ってんのー?大好きに決まってんじゃん」


その日の夢はそこまでで
目覚めた私は紫原君の部屋に直行し
年甲斐もなく甘え

珍しく彼に慰めて貰う事となった