08

「…っ、○○ちん、辛くない?」

「はぁ…あ、大丈夫…っ」


こんな行為は紫原君とも氷室君ともどちらともする
頻度はおそらく同じくらい

たまには三人で、となる事もあるが体力のある二人を同時に相手にするのは辛いものがあるのでそちらの頻度は少ない

その巨躯に相応しい程の大きさを持つ紫原君のそれは最初こそ苦労したが
今ではきちんと慣らしさえすれば問題なく行為を行える
慣れと言うのは恐ろしいものだ

緩くなったりしてない?と氷室君に一度真剣に相談した事があるが
変わらず俺を締め付けてくるから心配しないで、と慰められ話を持ちかけたこっちが恥ずかしくなってしまった


「○○ちん…こっち向いて」


紫原君は噛み癖があるのか
味わうように私の体の至る所を舐め、かじる事がよくあった

けれど彼のその必死な姿は可愛くて
見え隠れする私への執着に胸が熱くなるのを覚える

だと言うのに


「あんた、また来たの?」

(可愛くねぇ…)


どうして夢の中の紫原君とはこんなに差があるのか

私は紫原君との行為の後そのまま彼に抱かれ眠りについた
筈だったがまた気付けば夢の中

察するに今は放課後
私はまた紫原君を部活に連れだそうとしてるのだろうか


「紫原君なんでそんなに練習嫌いなの?」


この反抗的な紫原君をどうやって手懐けたものか
思案を巡らせ、とりあえずはサボりたい理由を聞いてみる事にした


「つーか、バスケ自体が欠陥スポーツじゃん
結局チビには勝ち目ねーし、どんなに努力したって才能ある奴にはかなわねーし」


それは誰を指してるのだろう
しかし私は彼の言う分は少しわかる

恐らくだが私の思考回路は氷室君より紫原君に近いものがあると感じた事があったがこれで確信出来た


「で、君は自分に才能があると思うの?」

「人よりバスケのゴールに近いのはそれだけで才能じゃん」

「私君より背の高いバスケ選手が身近にいるんだ」

「は?」


まぁ、それは君の事なんだけど


「君に会った時背小さいって言ったのはね、その人と比べちゃってさ
その人は君より背が高くて、君よりは真面目
どっちが勝つかな?」


三年間で彼は少し大人になったのだろう
今でも不真面目な方だとは思うがまさか昔の方が不真面目だったとは

しかし大学生の彼と高校生の彼は身長にも差があり、三年分の経験の差がある
きっと勝つのは私のよく知る紫原君だろう


「あんた、本当超うぜぇ
ひねりつぶすよ?」

「それは勘弁願いたいなぁ」


私の言葉に彼の返事はなかったが
彼の大きな体は体育館に続く廊下に向かった
とりあえずは成功らしい


(…しかし余計嫌われた気がする)


せっかくなら
私はもう少し楽しい夢を見たい