08
僕達は同じ顔をしているのに、身体は違う形をしている場所があった。君はあまり気にしていなかったけれど、僕は嫌で仕方がなかった。自分の身体を見るだけで、僕と君が別物であることを思い知らされているようで、そんな僕の身体が嫌いだった。
「…最近多いね」
「…ごめん」
「いや、怒ってはないよ。服は洗えばいいんだし。身体は平気なの?」
ある時期から、僕の身体は朝勃ちをするようになった。日によっては夢精していることもあり、今日がその日だった。しかし、君は服や身体が汚されていても一度も怒ったりせず、僕の体調を心配してくれた。
「僕は、平気だけど…なまえは?」
「わたし?」
「だって、生理きてたでしょ?」
彼女の身体には、生理が来るようになった。初潮の時は服どころかベッドまで血が広がり、死んでしまうのではないかと思って二人で泣いたのを覚えている。怠さや痛みを訴えることも多いので、生理の時は特に出来る限り近くにいて、身の回りのことを手伝うようにしていた。
「もしかして、私が生理だとリオが夢精しちゃうのかな?」
「そうなのかな?」
「私のここがしんどくなると、リオのここもしんどいのかも」
「形は違うのに?」
「違うけど、身体の他のところは大体一緒でしょ?」
この頃は、寝ている間に君の身体に擦り付けて射精していたなんて、想像もしていなかった。
◇
意識が朦朧としている。炎に意識が遮断されているのだろうか、或いは炎で思考が溶けてしまったのだろうか。何も考えられなかった。
今の僕に分かるのは、目の前に彼女がいることと、彼女の身体に触れていること。この匂いもこの感触も、現実だということ。そして、もっと彼女に触れたいということ。
指で少し触れれば、シャツのボタンもブラのワイヤーも簡単に外れてしまった。数年ぶりに見る彼女の身体は、あの時と同じ色のまま、胸は少し大きくなったような気がする。
「……っん…!」
両手で、その両胸を鷲掴む。自分の手のひらいっぱいに、弾力のある感触が伝わる。少し動かすだけで、指の間から溢れてしまいそうだ。そして次第に、手のひらの真ん中のあたりが硬くなったことが伝わる。手を離して見てみれば、ピンク色の乳首が主張をしはじめていた。
「…っひ…ぁ…!」
僕はそれを口に含んで、彼女の味を覚えるように、何度も舐めて、吸って、優しく噛んだ。その度に彼女の身体が震えるのが、とても可愛いと思った。
柔らかい肌に頬擦りをしていると、彼女のいい匂いがして、心地良くて溶け合ってしまうかのようだった。このまま一つになれたらいいのに。あの時のように、今度こそ、二人で同じ気持ちになりたい。
「……や…」
そう思った。思ってしまった。
「…っや、めて…」
微かに聞こえた彼女の声で、僕の意識は急に現実へと引き戻されて、我に返る。
「…っやめて、ください…」
顔を上げると、自分が何をしていたのかを理解した。着ていたはずのシャツのボタンは全て外され、スカートも取り払われ、彼女の白い肌の殆どが曝け出されていた。ブラはたくし上げられ、胸は執拗に弄られたのか、乳首とその周りが濡れていた。辛うじて身につけていた下着には僕の指が引っかかっていて、その指を少し動かすだけで全てを僕に見せてしまいそうな状況だった。
「…………」
恐れていたことが、起きてしまった。
僕は、こんな事態を絶対に起こしたくないから、彼女に近づいてはいけなかったのに。触れてはいけなかったのに。
僕は、彼女を襲ってしまった。動けない彼女の服を剥ぎ取って、触ってしまった。気付くのが遅ければ、きっとそれ以上のことまでしていただろう。
視界がぼやけてくる。これは意識が遠のいているのではなく、涙が溢れてきたからだ。
「…っすまない、僕は、僕は…」
謝罪をする。それでもきっと足りない。こんなことをした僕を許すはずがない。
細い腕で胸を隠して、顔を背けて泣いている彼女の様子にまで興奮してしまう僕は、なんて最低なのだろう。
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