赤兎 - 春風
青天霹靂

「アリ?もしかして##NAME1##、知り合い?」


そんな様子を見て神威が、##NAME1##と沖田を交互に見て言った。


「………」

しかし##NAME1##は、下唇を強く噛んだまま黙って横を向いている。神威は諦めた様子で、沖田の方へと向き直って尋ねた。


「ね、そこのお侍サン。君、##NAME1##と知り合いなのかい?」


沖田は、##NAME1##を穴の開く程見つめていた。ここにあるその姿が、まるで信じられないとでも言うように。


「……俺の、妹、でさァ……」
「「「!!?」」」


その場にいた全員は瞠目した。勿論、阿伏兎とてその中の一人だった。何せ、第七師団内においては天涯孤独だと思われている##NAME1##に家族がいただなんて、初耳でしかないのだ。
しかし神威だけは、いつものその完璧な笑顔を崩さずにいた。


「…ふーん、アンタが##NAME1##のお兄ちゃん、かぁ……」
「………」


その間も、##NAME1##は依然として横を向いていた。


「……##NAME1##、コレ、お前が…やったのか…?」
「………」


沖田の問い掛けるその声に##NAME1##は少しだけ首を動かすと、##NAME1##は光の灯らない瞳で死体を見つめたままコクリと頷いた。それを見た沖田は覚悟を決めて、震える声で##NAME1##に言った。


「……真選組に投降しなせェ。殺人容疑で逮捕でィ」


しかし、##NAME1##はやはり死体を見つめたまま動こうとしない。
とうとう痺れを切らした隊士等が、無理矢理連れて行こうと##NAME1##の手首を掴もうとした。

しかし─……


「──俺の##NAME1##に手出すな。いくら##NAME1##のお兄ちゃんの命令でも、殺しちゃうぞ?……夜兎の男が二人、君たちが束になっても敵う相手じゃないと思うけどなぁ」


それは神威によって阻止された。


その顔からは笑顔が消え、全身から殺気が滲み出ている。神威は##NAME1##の腰に手を回して、その蒼い瞳は隊士達を鋭く見据えていた。阿伏兎も、神威の背後で傘を持つ手に力を込めている。

その場に、緊張した沈黙が訪れた。その重苦しい沈黙を破ったのは、##NAME1##であった。


「……前言撤回しやがれ、俺はアンタのものじゃないだろ。そしてこの手を放せ!」
「えーヤダ。##NAME1##、いい加減子作りしよーよー」
「そうなったら私は自害するからな。切腹して死んでやるからな」
「接吻?俺に?」
「切腹だ!」


すると##NAME1##と神威は、喧嘩(とも言う##NAME1##の一方的攻撃)を始めた。


ガラン!

「大体、お前はなんで俺にばっかりセクハラして来るんだよ!年中発情期かよ!」


ボカッ!

「だって##NAME1##の体がエロいからだよ。俺は何も悪くないよ、だってこれはあくまでも生理現象だしね」


ガラガラ─……

「んな女が好きなら、地球のどこぞの女でも抱いてろよ!吉原にでも行って来い!」


ガッシャアン!!

「俺は##NAME1##じゃなきゃ意味がないの!」


先程に無表情に人を殺していた##NAME1##とは思えない程、##NAME1##は感情を剥き出しにして神威との喧嘩を繰り広げた。神威からも殺気はなくなっていて、その顔には楽しげな笑みが戻っている。
その人間離れした動きを、沖田を始めとする真選組は唖然として見ていた。

結局、阿伏兎が止めに入って喧嘩は収まったが、いつものことながら、阿伏兎は二人から散々な攻撃の弊害を食らわされて、一人溜息を吐いたのであった。


**********


「…あれが、##NAME1##なのか……?」
「お、沖田、隊長…」


沖田は、その瞳に薄く涙の幕を張っている。普段の傍若無人な姿からは決して想像も出来ない光景だ。それに山崎は焦って、しかし何も気の利いた言葉も思い浮かばず、見守った。


「……##NAME1##は、人を殺したりする奴じゃねェ。まず第一、彼奴はそんな力もなかった。なのに……」


──こんな人間離れした動き、俺の頭の中にいる##NAME1##は出来ない。だが、現実の##NAME1##は、今夜この兎の男と対等に対峙している。


暴れる##NAME1##の姿を眺めていた沖田の脳内は、酷い混乱状態に達した。

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春風