赤兎 - 春風
流血淋漓

四人は、薄暗く目立たない路地裏に入った。
何しろこの四人、この色街の華やかな雰囲気とは反対に、全員が黒いマントを羽織っているせいでどうしても周囲から浮いてしまう。その上、顔も体も厳つい阿伏兎と云業、顔に包帯を巻いた神威。更に、便宜上性別がバレないようにと顔に何とも不気味な能面を被り、色々工夫して男の体に見えるように工夫を凝らしたものの相変わらず華奢で小柄な体躯のままの##NAME1##の四人。
これこそ最大級のミスマッチ、目立つのは当然のことだった。

すると神威が、##NAME1##に先程から気になっていたことを、とうとう口にした。


「…ねぇ、##NAME1##」
「あ?」
「何でそんな能面なんて被ってるの?」
「何でって、性別バレるから」
「そうじゃなくって!………何でそのチョイスなんだい?」
「仕方ねーだろ、他になかったんだよ。…何だ、趣味だとでも思ったのか、馬鹿」
「そっか、なら良かった」

それを聞いた神威は笑顔になった。しかしそれとは反対に、##NAME1##は不機嫌そうに頬を膨らませた。


「阿伏兎、まずはどうするんだい?」
「…って団長、普通そこはアンタが決めるもんだろ」
「どーせ計画立ててあるんだろ?勿体ぶってないで、いいからさっさと話しなよ」

半ば強引に神威に圧され阿伏兎は口を開いた。


「日輪太夫って吉原一の花魁がいてだな、そいつを鳳仙がえらく好いているらしい」
「…ふーん」
「何だ、鳳仙は女好きだったんだな。もっと戦闘狂の野郎だと良かったのに、つまんねーな」
「………」

神威、##NAME1##、云業と、三人の反応はそれぞれだった。そして阿伏兎は続けた。


「その日輪って花魁には、血は繋がってるのかは分からねーが、晴太って名のガキがいるらしい。その晴太が、ここ最近吉原に出没している。…それも、日輪の周りにうろちょろとな」
「………ふーん、なるほどね。その子どもを捕まえて、鳳仙の旦那との駆け引きに使えってことかな?」
「あぁ。団長、駆け引きは、アンタに自らやって貰うぜ」
「いいよ」
「くれぐれも暴走すんなよ、後始末が大変なのは俺なんだからな」
「はいはい、分かったよ」


そこまで話すと、四人は路地裏から出ようと歩き出した。
すると##NAME1##が急に止まって、言った。


「…あ、そうだ。俺、途中ちょっとだけ抜けるからな」
「は?」

やはり真っ先に反応したのは神威だった。歩くのを止め、振り返って##NAME1##を問い詰める。


「何で?理由は?」
「は?そんな理由なんて、何だっていいだろ」
「良くないよ!」
「んな心配すんな。ちょっとやっておきたいことがあるだけだからよ」
「でも──」
「とにかくだ。今からはまず、日輪の子どもとかいう晴太ってガキを探さねェと話が進まねーってことだろ」


##NAME1##は、無理矢理神威との言い合いを途切って阿伏兎に言った。


「そーゆーこった」
「って訳だ、さっさと行くぞ」


##NAME1##は神威から逃げるように、神威の目を避けながら、足早に歩き出した。##NAME1##を先頭に、阿伏兎、云業と続く。


「………」

神威は無言のまま、最後尾についた。しかし神威は、何か真剣に考え込んでいる表情のままであった。

- 2 / 8 -
春風