赤兎 - 春風
流血淋漓

第七師団一行は、##NAME1##に続いて素早く配管に向かった。


「ちょっと間近で見たいものがあるんだ」

その途中で神威は、そう言って抜けてしまった。配管の中に辿り着いた##NAME1##ら三人は、小さい穴から上にいる五人の様子を伺った。

##NAME1##は、目を向けて阿伏兎に行動を起こすように目配せして促す。無言で頷いた阿伏兎は、瞬時に##NAME1##の前から姿を消し、数秒後にはその姿は配管の上にあった。
すると案の定、突如姿を現した阿伏兎に、五人は警戒した目を向けた。


「オイ…過分な心遣い痛み入るがね。どうやら…」


──そりゃ、ビビるよな。


##NAME1##は内心、晴太ら五人が、夜兎特有の、しかも戦場を潜って来た夜兎のオーラに戸惑う様子を見て、同情に似た感情を抱く。


「もう手遅れらしいぜ」
「「「!!」」」
「夜兎!?」

──最近、俺も夜兎に間違えられるんだよな。


「………」
「……どうかしたか?」
「いや、何でもねー。気にするな、云業」


##NAME1##が物思いに耽っている最中にも、阿伏兎は威圧をしながら五人ににじり寄っていた。


「ガキをよこせ。そのガキを、こちらによこせ」


ドン


そして唐突に、阿伏兎が晴太に向かって突進した。

しかし―………


シュババッ

──それに、月詠がクナイで応戦する。


ガンキンガン


それを阿伏兎が、いとも簡単に傘を開いて攻撃を防いでみせた。


「…あの女が百華頭領月詠か…」

##NAME1##は興味深げに、阿伏兎と月詠の戦いを眺めた。その横に待機している云業は、相変わらず無言だった。


フッ ドォウ


一瞬、月詠が阿伏兎のスピードを上回る速度で、阿伏兎の上を宙返りで飛び、その首目掛けてクナイを投げつける。

しかし─……


ピキッ


──阿伏兎はクナイを口にくわえて攻撃を留めていた。クナイには、阿伏兎自身の挟む力が強いせいか、クナイの耐久性が弱いのか、ひびが入っている。


「なっ」


月詠の表情は、驚きを隠せていなかった。何せ、阿伏兎の口には余裕の笑みさえ浮かんでいるのだ。


「…やっぱり弱い」

##NAME1##がポツリと呟いた。


「所詮、ただの地球の女か」

##NAME1##は自身で言葉をそう完結させ、小さく息を吐いたのだった。

- 5 / 8 -
春風