赤兎 - 春風
流血淋漓

その後―……


神威は一人、吉原の通りを歩いていた。
「鳳仙のとこに先行っとく」と神威に告げられた阿伏兎は、戸惑いながらも「お、おぅ」と返したのだった。


――あームカつく。


平静を装ってはいるものの、神威は内心穏やかではない。


――##NAME1##、あのガキの何がいいんだよ。挙句の果てに胸まで揉ませたりなんてして…。


そして神威は、また深い溜め息を吐いた。
要は、##NAME1##の晴太に対する態度への嫉妬である。


シュルシュル

パサッ


神威はむしゃくしゃした気持ちを振り払うように、顔に巻いていた包帯を取った。現れたのは、いつもの貼り付けられた笑顔である。

多くの遊女が頬を染めて振り返って、それを見つめていた。


──##NAME1##があんな顔して俺のこと見てくれたらいいのにな…。


この笑顔の下にある、こんな神威の密かな願望である煩悩など、誰もが知る由もなかった。



- 続 -

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春風