赤兎 - 春風
煩悩具足

すると、##NAME1##の表情がガラリと変わった。


「よし晴太、今から私が言うことを良く聞け。今から一騒ぎが起きる。お前なら、その間に脱け出せる」
「……そ、そんなこと、オイラに言っちゃっていいの?」
「あぁ、構わない。ま、死なないように精々頑張りな」


その途端であった。


ドガン!!!

建物全体を震わす大きな爆発音がした。そして直ぐに、人の騒ぎ叫ぶ声が聞こえて来た。


「ホ、ホントだ……」
「ほら行け、振り返るな」
「あ、ありがとう、お姉ちゃん!オイラ頑張るよ!」


晴太は少し名残惜しそうな目線を##NAME1##に向けて、しかしすぐに襖を開け放ち廊下を走っていった。

晴太のいなくなった部屋で、##NAME1##は暫く一人で黄昏ていた。


「優しい、か……」


──私は、優しくていいのか?春雨第七団団長補佐ともあろう私が?こんな心を持っていていいのか?


「……分からねェ……」


結局、答えてくれる人もいなかった。かと言って、##NAME1##が答えを出せた訳でもなく、その答えは保留にされたのだった。

- 4 / 7 -
春風