赤兎 - 春風
四六時中

「##NAME1##〜!任務お疲れ様♪ 」

眉間に皺を寄せた##NAME1##と呼ばれたその女は、一見華奢に見えるその白い手にグッと思い切り力を込めて握り拳を作った。


──コイツという奴は、任務人に押し付けて一人でサボりやがって…!


ドガッ!

すると突然、風を切る音と共に、何の前動作もなく女の拳が男の顔に向かって飛んだ。一発のみではあるものの、まるで人間離れした目にも止まらない程の速度である。
しかし、男はその向けられた拳を片手で難なく受け止めてみせた。そしてその女に殴られ掛けたにも拘らず、男は女の手を自身の大きな手で包み込み、自分の方へ引き寄せてその耳元で甘く囁いたのであった。


「##NAME1##、これじゃまだ俺は潰せないよ。もっと力入れなきゃ駄目だね、これじゃ俺に到底勝てやしないさ。それとも、俺のことが好きだから手加減しちゃっているのかい?あーもう、可愛いなぁ」

男はニコニコと笑いながらそう言った。
しかし、女はその男の言葉に眉間の皺を余計に深くした。


「黙れ、思い込みもそこまで行くと甚だしいぞ。お疲れ様って言うぐらいなら自分で行け。そして永久に戻って来んな、このバ神威!」
「だって、今回の任務って雑魚ばっかりだったから行く気がしなかったんだ。##NAME1##も、楽しくもないのに無理して行かなくったって良かったんだよ?」
「フン、私はお前と違ってとても真面目な団員だからな。全く、お前という奴は…」


すると神威と呼ばれた男は、##NAME1##と呼ばれた女の言うことなど右から左へと聞き流し、あろうことかその##NAME1##の胸に違和感を感じさせない自然な動作でそっと手を寄せた。


「そう言えばさ、ねぇ##NAME1##。最近気になってたんだけどさ…またおっぱい大きくなった?」
「……。って、ッ、貴様!!何勝手に揉んでんだ!!」

数秒遅れて自分の置かれている状況に気が付いた##NAME1##は、慌ててその神威の手を振り払うなり瞬時に数メートルの距離を取って、臨戦態勢へと入り事の元凶睨み付ける。しかし神威はニコニコとその笑みを湛えたまま、##NAME1##の後を追い始めた。当然##NAME1##は全速力で彼から逃げる。
神威は執拗に##NAME1##を追い回しながら、相も変わらずニコニコ顔で##NAME1##へと要求をするのであった。


「ねぇ##NAME1##」
「あ?」
「今日は俺さ、##NAME1##の胸に顔引っ付けて寝たいなァ。最近ちょっと癒しが足りないんだよね〜。ダメ?」
「ダメに決まってんだろクソ野郎、私はお前と同じ部屋で寝るなんて絶対に嫌だ!死んでも嫌だ!」


すると##NAME1##はとうとう堪忍袋の我慢の限界が来たのか、逃げる脚を止めてザザッと停止させるなり、神威に向かって怒号の攻撃を繰り出す。だが神威も、負けず劣らずそれに応戦した。


「あーあー。まァた始まった……」

そんなやり取りを眺めながら、阿伏兎は一人しみじみと重たい溜め息を吐くのであった。


──頼むから、もう少し穏やかにならんモンかね。

こんな超人的な遣り取りが四六時中行われるのが、ここ、春雨第七師団であるのだ。


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春風