赤兎 - 春風
青天霹靂

一時間後─……


「……あーもう、いねーなァ…」


##NAME1##は薄暗い路地裏にて、某攘夷浪士等にゆっくりと迫っていた。その整った綺麗な顔の眉間には、またもや皺が寄せられている。


「少しは期待していたはいたんだが……本当、弱い奴ばっかりじゃねーか」


##NAME1##は、二人を壁に追い詰めていた。##NAME1##の手は赤く染まり、刀先からは血が垂れて地面に染みを作っている。周囲にはやはり、その血の持ち主であったのであろう死体が無造作に転がっている。

更に##NAME1##は、ただならぬ殺気を纏っていた。
情けないことに浪士二人は、その殺気にやられて完全に腰を抜かしており、すっかり怯えた様子で##NAME1##を見ていた。


「たっ、頼む!い、命だけは!命だけは勘弁してくれ!」
「わ、我々には、まだやらなくてはならないことがたくさん残っているんだ!」

するとその言葉を聞いた##NAME1##は、可笑しそうに片頬を歪めてクツクツと喉の奥で笑った。


「やらなくちゃいけねーことだァ?ハッ、笑わせるなよ。貴様らみたいな心も体も力も軟弱な人間に、やれることなんか鷹が知れているだろうに。精々そこら辺のゴミ屑でも拾ってな」
「なっ、何を!?」
「都合が良すぎんだよ。この後に及んでまで言い逃れする気か?それに…私の姿を見ておいて野放しにしておくなんて、さすがに組織として許されていないんでね」


──弱い癖に粋がる下らない奴らだ。全く、関わるんじゃなかった。


事態は、僅か五分前に遡る。

- 3 / 8 -
春風