黒髪のウィーズリー成長記 - 春風
新しい友人

ランは、学校のふくろう二羽にそれぞれ手紙を持たせ届けて貰うことにして、二羽を見送った。それからランとセドリックは、ふくろう小屋で暫く話をした。ランはセドリックに、温和で思慮深く、寡黙な印象を抱いた。
話題は、二人の共通の趣味であるクィディッチに移った。

「実は、僕はシーカーを務めているよ」
「まぁ!それ本当なの!」
「いや…そんなに驚くことじゃないよ」
興奮気味のランに、セドリックは困ったように少し笑った。

「シーカーって、素晴らしいわ…。あなたはきっと素晴らしい乗り手なのね」
「そんなことないさ。君のあのお兄さんには負けるよ」
「えっと…ごめんなさい。兄がたくさんいて…どの兄のことかしら」
「ああ、ごめんね。ホグワーツを卒業した、チャーリー・ウィーズリーのことさ」
「!!」

大好きな兄の名前が出て、ランは嬉しくなり、肩に乗ったままのワシミミズクを撫で回した。触れられることは嫌いではないのか、ワシミミズクはされるがままにしていた。

「私も、チャーリーに箒の乗り方を教えてもらったの!」
「そうなんだね!だから、彼がドラゴンキーパーになったと聞いた時は驚いたなぁ…。彼はてっきり、クィディッチの選手になるとばかり思っていたよ」
「私もびっくりしたの。でも、お兄ちゃんが決めたことだから、反対はしないことにしたわ」

──あの時の衝撃は、今でも良く覚えている。
ウィーズリー家の次男であるチャーリーは、卒業するまでグリフィンドールでシーカー兼キャプテンを務めていた。ドラゴンキーパーの仕事をしていなければ、今頃イギリスのナショナルチームでプレイしていただろうにと、ランでさえ思う。けれど、大好きな兄が決めたことだ。家族は皆、最初はモリーを筆頭に大反対していたが、ランだけは最初からチャーリーの肩を持った。彼は今、ルーマニアのドラゴン保護地に赴任して、ドラゴンの研究に勤しんでいる。


「チャーリーの秘蔵っ子ってことは、君も箒が上手そうだね」
「…どうかしら。来年の試合を楽しみにしておいて」

オーディションに合格することがまるで決まっているとでも言うのようなランの自信満々な様子に、セドリックは声を上げて笑った。

*****
「…ところで、その肩のふくろうは君の子かい?」
「ええ、さっきプレゼントとして頂いたの」
「そうなんだね。もう名前は決まっているの?」
「いいえ、まだ名前を決めれていなくって…」

ランのユーラシアワシミミズクを見たセドリックが首を傾げると、ランは右肩のワシミミズクの嘴の下を、人差し指の爪で掬うように撫でる。セドリックは少し躊躇った後、ランに目線で確認を取ると、そっとワシミミズクの頭に右手を置いて、ゆっくりと撫で始めた。大きな温かい掌に、ワシミミズクは嬉しそうにホッホッと鳴いた。
するとランは良いことを思い付いたとでもいうように、セドリックに詰め寄って言った。

「そうだ、セドリック。この子の名前、あなたが考えてくれない?」
「まさか!君、本気かい?責任重大じゃないか」
「…駄目かしら」

友達になった良い記念にもなると思ったランであったが、セドリックは嫌だったかと少しだけ肩を落とす。そんなランを見たセドリックが、慌てたように否定した。

「いや、違うんだ!乗り気じゃないわけじゃないよ!でも…初めて会った僕なんかが決めていいのかい?」
「もちろん。だって、友達だもの」

悪戯っぽく笑ったランの顔を見て目を丸くしたセドリックであったが、直ぐに顔を綻ばせて、嬉しそうに爽やかに笑った。


「じゃあ、少し考えさせてくれるかい?だから──また君と、こうやって話してもいいかな」

こちらをじっと見つめてそう言ったセドリックに、ランは少しどきりとしたが、静かに微笑んだ。

「…ええ、もちろんよ」

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春風