黒髪のウィーズリー成長記 - 春風
新しい友人

「ママー!ランから手紙が届いたわ!!」
「あら!!本当!!」

隠れ穴のキッチンにて昼食の支度をしていたモリーの背中に、階段を猛スピードで駆け下りてきたジニーが手紙片手に思いっきり飛び付いた。
モリーは支度をしていた手を止めて、自分宛ての手紙を手に、ゆっくりと椅子に腰掛けた。ジニーも自分宛ての手紙を、カーペットに寝転がりながら読んでいた。二人とも、嬉しそうな笑顔である。

親愛なる父さんと母さんへ


父さん、母さん、お元気ですか?私は元気です。でも、やっぱり母さんの料理が恋しくなってきちゃうわ。

もしかしたら、もう兄さん達から聞いたかもしれないけど、私、レイブンクローに組分けされたの。やっぱり二人はグリフィンドールが良かった?ごめんなさい。
でも、レイブンクローはとても興味深い寮なの。私、ここでなら楽しく過ごせる気がするわ。

ロンはもうふくろう便を送ったかしら?ロンはグリフィンドールに組分けされて、ハリーや他の友達ととても仲良く過ごしているみたいだから、心配しないでね。でも、何だかスリザリンと仲が良くないみたい。大きな喧嘩なんかしないといいんだけど…。

授業はとっても楽しいわ。私、変身術と呪文学、あと魔法薬学が最高だと思うの!どの授業も頑張りたいけれど、魔法史だけはずっと苦手だろうと思うわ。母さん達の時代もビンズ先生だった?もしもそうだったなら、是非コツを教えて欲しいわ──時間を有効活用できるコツをね。

友達もできたの。はっきりとした性格のパドマと、優しいアマンダよ。私達、きっと良い三人組になると思うわ。

たくさんのことを学んで、立派な魔女になれるように、私頑張るわ。また手紙を送るわね。大好きよ。

ラン・ウィーズリー

P.S.フレッドとジョージは私とパーシーが見張っておくから、安心してね。


ランらしい真面目でユーモアのある手紙に、モリーはフフッと微笑んだ。

「いいなぁ…私も早くホグワーツに行きたいわ」
カーペットに寝転がりながら、ジニーは拗ねたように言った。

「来年になれば行けるわ。きっともうすぐよ」

モリーはその小さな頭を撫でながら、幸せそうに微笑んだ。

*****

コンコン
「!」

ホットチョコレートを飲んで一息を付いていたルーピンが、窓を叩く小さな音に気が付いて外を見やると、立派なワシミミズクがそこにいて、黒曜石のような瞳でルーピンの方を見据えていた。
窓を開けると、バサバサと大きく羽ばたいて部屋へと入って来た。

「ああ、ありがとう」
体格や羽模様が立派で、何ともプライドが高そうなシベリアワシミミズクが、ホーッと大きな太い声で鳴く。
ルーピンが早速手紙を開封しようとするが、ワシミミズクはルーピンの指を激しく突こうとする。きっと、長旅でお腹が空いたのであろう。クラッカーを砕いてテーブルに置いてやると、ワシミミズクはそれを突き始めた。
再び開封しようと封筒を手に取るが、またワシミミズクが邪魔をした。どうやら喉が渇いたらしい。ルーピンは苦笑して、大きめの器に水を入れて差し出した。ワシミミズクは大急ぎでそれを飲み始めた。

漸く開いたそこには、長い羊皮紙が数度に渡って折り畳まれていて、彼は思わず微笑んだ。

親愛なるリーマス・ルーピン様


こんにちは。お変わりありませんか?お元気であることをお祈りしております。

まず──立派なワシミミズクをありがとう!あの子、本当に可愛いわ!でも、私がふくろうを両親に強請ねだっていないことが、良く分かったわね…。まだ名前を付けられていなくって、これから友達と一緒に考えることにしているの。大切に育てて、またリーマスの元に手紙を届けてもらうわね。

レイブンクローの寮って、とても面白いわ。寮に入る為に謎解きをしないといけないなんて、皆は文句を言っているけれど、私はとても楽しいのよ。談話室から見える景色も最高なの。
レイブンクローに組分けされたこと、とても嬉しかったけれど、同時に私、本当に不安だったの。でも、あなたのお陰で、父さんと母さんに堂々と胸を張って伝えることができたわ。本当にありがとう。

ホグワーツの授業、本当に興味深いものばかりなのね!特に、変身術と呪文学、あと魔法薬学が最高だったわ!
でも、いくつか期待外れな授業はあったけれど…。魔法史の授業、リーマスの時代はどの先生だった?ビンズ先生の子守唄でなければいいんだけれど。まさか違うわよね?
闇の魔術に対する防衛術も、全然楽しくないのよ。あなたの話の方が数万倍も──いえ、やっぱり比べるのが失礼なくらいに、あなたの方がダントツで面白いわ。

それはそうと、私、初めて会ったあの日から、あなたの顔色が良くなかったことが今でも度々気になっているの。ちゃんとお食事と睡眠は取っている?あんまり無理しちゃ駄目よ。お身体に気を付けて過ごしてね。

ラン・ウィーズリー

P.S.あなたの誕生日はいつ?知っておかないとお返しのプレゼントが送れないわ。


「本当に、目敏いな…」

あの日は、ルーピンにとっては何よりも天敵である、満月の数日前であった。苦くて仕方ない脱狼薬を飲んでいる期間は驚くほどに体調が悪く、顔色が悪いのはルーピンからしてみればいつものことであった。

──ランに知られて、彼女に避けられたくない。

随分と年下ながらも聡明な友人に、彼は安らぎを貰っていた。出会いは偶然ではあったが、今ではとても大切で貴重な友人だ。
だからこそ、秘密を明かすことなど、決してできやしない。

ルーピンは手紙を大切そうに丁寧に折り畳み、早速ランへの返信を書くために、羊皮紙と羽根ペンを取り出したのであった。──ビンズ先生の子守唄に対する対策を、ホグワーツの先輩としてランに助言してあげよう。

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春風