黒髪のウィーズリー成長記 - 春風
新しい友人

レイブンクローの談話室の掲示に、新入生がわらわらと集っていた。一年生にしては背の高いランは、前に行かずにそれを見ることができた。

──飛行訓練は火曜日に始まります。レイブンクローとハッフルパフの合同授業です──

「ああ、ラン…!飛行訓練が始まっちゃうわ…!」

人混みの中から、絶望的な表情をしたアマンダがランに駆け寄って来た。同じくパドマも、人をかき分けて何とかランの方へと出て来た。アマンダは運動全般が大の苦手らしく、箒に乗ることすら恐ろしくてできないらしい。

「…アマンダ。そんなに怖がっていると、箒が言うことを聞かないわよ?」
「仕方ないでしょ…!苦手なのは苦手なのよ…!」

自身の二の腕をさすりながら恐怖に打ち震えるアマンダに、ランとパドマは顔を見合わせてクスクスと笑った。それを見たアマンダは割と本気に怒ってみせたが、二人は笑うことを止められずに、アマンダに引き連れられて図書館へと連れて来られたのであった。
──せめて飛行に関する本を読んでおきたいらしい。何とも真面目なレイブンクロー生らしいと、ランは他人事のように思った。

アマンダとパドマが飛行訓練に関する本を探しに行ってしまった為に手持ち無沙汰になったランは、図書館の中を見て回ることにした。
すると、共用のテーブルで──栗色の髪がフサフサした女の子が、分厚い本を読み耽っている。その背中に見覚えがあったランは、声を掛けた。


「ハーマイオニー、久し振り」

バッと髪を勢い良く靡かせ振り返ったハーマイオニーは、ランを見てビックリしたように瞠目した。

「まぁ、ラン!」
「!!」

驚きのあまり大きな声を出したランに、次はランが瞠目した。ハーマイオニーに詰め寄り、唇に右手人差し指を当てて囁くように言う。

「シーッ!フレッドとジョージ曰く、司書のマダム・ピンスは図書室の環境を乱すことに関して、東洋の鬼人のようだって言っていたわ」
「…!!」

パッと口に両手を当てたハーマイオニーは、キョロキョロと辺りを見渡した。
どうやら、周囲の生徒は特に気にしておらず、丁度良いことにマダム・ピンスも席を外していた。
二人は、話をする為に図書館の外へと出た。


「ラン、久し振りね!」
「ええ、久し振り。会えて良かった、図書館にはよくいるの?」
「ええ、授業の予習や復習をするのにちょうどいいもの」
ハーマイオニーはそう言うと、少し寂しそうに笑った。人の気分の風向きに機敏なランは、それが少し気になったが、今は時ではないと考えて口を噤んだ。
すると、ハーマイオニーが少し照れ臭そうに言った。

「…私、組分け帽子がグリフィンドールかレイブンクローかで迷っていたの」
「そうなのね。私も組分け帽子が悩んでいたわ」
「同じなのね!嬉しいわ」
「フフ、私も」
嬉しそうなハーマイオニーに、ランも笑った。

「レイブンクローは、もう飛行訓練は終わった?」
「ううん、明日にあるよ。ハーマイオニーは?」
「私たちは木曜日なの。私、飛行訓練が本当に不安で…」
「…あんまり怖がらないことが大切だと思うよ。ハーマイオニーなら大丈夫」

不安そうなハーマイオニーは、せめて本を読んで飛行のテクニックを学ぼうと、図書館にいたらしい。借りたという“クィディッチ今昔”という本を勧めてくれたが、ランは丁重に断っておいた。

「ハーマイオニーがレイブンクローなら、私たち一緒の寮になれたわ」
「それを言うなら、ランがグリフィンドールに入っていれば、同じ寮になれたわよ?」

少しは気が紛れただろうか。ランはそんなことを頭の片隅で考えながら、ハーマイオニーと笑顔で分かれたのであった。

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春風