黒髪のウィーズリー成長記 - 春風
クリスマス

「お、やっと来た!」
「ラン〜!こっち来いよ!」

クリスマスの朝食。レイブンクロー寮生の内、このホグワーツへ残っているのはランのみであった。
聞き慣れたユニゾンが呼んだグリフィンドールのテーブルを見ると、フレッドとジョージがぶんぶんとこちらに手を振っている。ランは何の躊躇いもなく、その二人へ笑顔で駆け寄った。

「ラン、メリークリスマス!」
「メリークリスマス」
兄弟達やハリーに素晴らしい笑顔で迎えられて、ランの笑みも自然と深まる。

素晴らしいのは笑顔だけでなく、大広間に並んだご馳走も豪勢であった。丸々太った七面鳥のローストが百羽、山盛りののローストポテト、グリルポテト、大皿のチポラータ・ソーセージ、深皿いっぱいのバター煮の豆、銀の器に入ったコッテリとした肉汁とクランベリーソース。普段よりも数段豪華で、屋敷しもべ妖精たちの気合いの入りようが伺えた。

テーブルには豪華な食事の他に魔法のクラッカーか沢山置かれており、ランがハリーと一緒に紐を引っ張ると、それは大砲のような音を立てて爆発し、青い煙がモクモクと周り中に立ち込めると共に、中から海軍少将の帽子と生きた二十日鼠が数匹飛び出してきた。
上座のテーブルでは、ダンブルドアが自分の三角帽子と花飾りの付いた婦人用の帽子とを交換して被り、クラッカーに入っていたジョークの紙をフリットウィックが読み上げるのを聞いて、愉快そうにクスクスと笑っていた。

七面鳥の次はブランデーでフランベしたプディングが出て来た。パーシーの取った一切れにシックル銀貨が入っていたので、危うく彼の歯が折れるところであった。ハグリッドはハリーとランが見ている間に何杯もワインをおかわりして、みるみる顔が赤くなり、終いにはマグゴナガルの頬にキスをした。マグゴナガルは三角帽子が横にズレるのも構わず頬を赤らめてクスクスと笑ったので、ハリーとランは驚いて顔を見合わせて可笑しそうに笑った。


クラッカーの中に入っていたジョークの紙をハリーとランがクスクスと笑いながら読みあっていると、向かいの席に先程までパーシーを揶揄っていたフレッドとジョージがやってきたので、四人でいくつかのクラッカーを同時に次々と爆発させる。辺りは一気に煙たくなり、そこにいた全員がゲホゲホと噎せ返った。

「こりゃ俺は使えないな。ラン、やるよ」
ランと一緒に引っ張ったクラッカーから出てきた物を見たフレッドが、何かを放ってこちらに寄越す。
左手でランが掴んだそれは、青いビーズでできたブレスレットであった。シンプルな作りではあるが、所々小さな透明の鉱石が混ざっている。おまけの割には中々凝った作りをしている。

「いいの?ありがとう」
「お前もそれ付けて少しは女っぽくしろよ?」
「せっかく見た目がいいんだから、化粧やお洒落の一つくらいすればいいのに」
「…そーゆうの、私には向いていないのよ」
ランはブレスレットをポケットにしまいながら唇を尖らせた。クラッカーから出てくるおまけは沢山のものがあった。破裂しない光る風船、自分でできる疣作りのキット、新品のチェスセットなどがある。既にランのポケットには、先程ハリーと引っ張ったクラッカーから出てきた勝手にシャッフルする魔法のトランプも入っている。ハリーがもう自分はトランプを持っているからと譲ってくれたのだ。

「あれ?二十日鼠はどこに行ったのかな?」
「もう逃げたのよ。…きっと、ミセス・ノリスの餌食なるに違いないわ」

ハリーとランは何とも言えない顔をしてお互いに見合わせて、揃ってゴブレットのジュースを煽ったのであった。

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春風