君の鼓動と僕の鼓動 - 春風



「あーあ、退屈」


七時限目の土方先生の古典の授業。授業はどれも退屈だとは思うんだけど、やっぱりこの人のは断トツで一番に退屈なんだよね。
長い溜め息を吐くと案の定、一君が顔をしかめてこちらを向いた。


「…総司、静かにしろ」
「だって、こんな簡単な活用形なんて分かるじゃない。一君だって分かるでしょ?」


昔から僕は、特別努力をしている訳じゃないのに、周りよりずば抜けて頭が良くて。偏差値の高い進学校であるこの薄桜鬼学園を受験したのも、周りに強く勧められたから。
まぁ剣道部が割かし強いって聞いて、受験を決心したんだけど。

勉強は少しだけ真面目にして、でも余裕で入学出来た。でも、毎日が勉強、勉強、部活、また勉強で、もう毎日が退屈過ぎて嫌気が差す。言い訳じゃないけど、僕が女の子に溺れたのは勿論元からの容姿が原因っていうのが勿論あるんだけど、毎日が退屈ってのも関わってるはずだよ。


すると、七時限目の終わりのチャイムが鳴り響き、土方先生が教室を後にした。僕は嬉しくなって体を伸ばしたけど、あぁ、忘れてたのに、この後の予定を思い出しちゃった。


「あーそうだ、今から会議なんだった。あーあ、僕本気で嫌なんだけど。一君、交代しない?」
「………委員長会議に委員長が出席しないでどうする。それにアンタはこの前も俺に代理で出席させただろう」
「だって、僕こーゆー地味なの向いてないんだもん」
「………」


一君はそれっきり黙ってしまう。
暫くすると土方先生が戻って来て、ホームルームが始まった。すると、あの涼しい切れ長の目がこっちを見て来た。


「総司、お前会議だからな。今度こそ逃げるなよ」
「はいはい、言われなくったって分かってますってば」
「お前この前サボっただろーが」
「あれ、そうでしたっけ?」


土方先生を適当にあしらい、号令を掛けて教室を出た。そして、渋々ながらも会議室に向かった。


この後に蘭ちゃんと会えるなんて、この時は考えてもなかったけど。まぁとにかく、この時ばかりは、会議をサボらなかった自分を褒めたいって思っちゃった。

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春風