君の鼓動と僕の鼓動 - 春風



「ありがとう、千鶴ちゃん」


僕は、千鶴ちゃんにお礼を言って廊下を歩き出した。手にはシリコンケースに入ったスマートフォンがあって、その中にはついさっき登録したばかりの新しいアドレスが入っている。

そう、言わずもがな蘭ちゃんのだ。


僕は勇気を出して、蘭ちゃんにメールをすることに決めた。十分くらい悩みに悩んで考えて、あまり押し付け過ぎないようにと考えた文面。


「返信、あるかな…」


From:沖田総司
To:蘭ちゃん
Sub:(no title)
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突然ごめんね。おはよう、沖田総司です。アドレスは無理を言って千鶴ちゃんに教えて貰ったんだ、だから彼女を責めてあげないでね。

ちょっと聞きたいことがあって…。今日は学校、社長出勤するんだってね。千鶴ちゃんから聞いたよ。

今日も部活に来ない?またどうしても蘭ちゃんと打ち合いがしたいんだ。良い返事、待ってるから。

沖田

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そう打って、送信ボタンをタップした。我ながら勝手だと思うけど、こうでもしなきゃ蘭ちゃんと関係なんて持てやしない。


今回は、自分から初めて本気で女の子に惚れたんだ。追われる恋じゃなくて、追う恋。当たって砕けたくはないけど、でも本気で頑張りたいんだよね。


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「社長出勤デー、ね…。言ったからには……」


重い体を起こして、机の上にあるスマートフォンを掴む。そして送信ボックスを開いて、さっき千鶴に送ったメールを見て自分自身を嘲笑してみせた。


「………下がれよ、熱…」


今日の朝起きて、妙に重く感じた頭。そして測ると、案の定私は38.2度の熱があった。


「…頭、痛い………」


すると、私の手の中で不意に震え出したスマホ。見ると登録されていないアドレスからのEメールで、私の顔は歪む。つい最近、余りの迷惑メールの多さにアドレス変更をしたばかりなのにと思い、内容を読まずに消去しようと開いた不審なメール。


しかし。


「……!?」


サブメニュー画面を開いた時にぼんやりと目に入った見知った名前に、私の手は硬直した。


「…………沖田、総司…?」


そう。
予想外なことに、メールは、沖田総司からだった。

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春風