君の鼓動と僕の鼓動 - 春風



「ハァー………」
「………」


深い溜め息を吐くと、横から鋭い咎めるような視線を向けてくる一君。

彼が言いたいことは手に取るように分かる。授業中なんだから携帯をいじるな、それに溜め息を吐くな気が散る、なんて。


でもお生憎、真面目に授業を受けてる一君には悪いけど、僕は今授業なんかどうだって良いんだ。


「一君。今僕は、蘭ちゃんからの返信を待ってるんだ」
「なっ!?」
「だからお願い、ちょっとぐらい許して」


一君は、この時点で僕の口から蘭ちゃんの名前が出てくるとは思っていなかったのか、凄いびっくりして動揺を隠せずにいる。


すると、待ち焦がれていたメールが届いた。
送り主は、蘭ちゃん。僕は幾分か緊張しながら、受信ボックスを開いた。


From:蘭ちゃん
To:沖田総司
Sub:(no title)
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お誘いありがとう。

でも今日は、この前借りたままだった胴着だけ返しに行く。

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メールの文面を読み終えた途端、僕の気持ちはガクンと一気に落ち込んでしまった。


「………あーあ、残念だなぁ…」
「………断られたのか」
「うん……あーあ、部活嫌だなぁ…」
「…総司」
「分かってるって、行くよ」


一気に行く気が失せた部活、でも行かないと隣にいる一君が煩いんだよね。まぁでも、蘭ちゃんが来てくれるだけで充分だと思わないと。

けど、やっぱり落ち込んでしまう妙に素直な僕の心には、本当に嫌気が差すよ。
すると、再び震動する携帯。


「………?」


すると、また送り主は蘭ちゃんで、僕の心臓には再び震えが走った。


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P.S.打ち合い、私も楽しかった。でも今日は、申し訳ないけど体調が悪いの。また今度、良ければ誘って。

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「………一君」
「…何だ」
「………僕、今なら嬉し過ぎて死ねるかもしれない」
「………」


蘭ちゃんからの思いがけない優しい文面に、僕の心はほんわりと温かくなった。

どうやら蘭ちゃんと剣を交えて、彼女は僕に少し好意を抱いてくれたみたい。嬉しくて嬉しくて仕方がなくて、眠くて苦痛でしかなかった授業にも一気にやる気が沸いてきた。


「………」


この時の僕は余りにも浮かれ過ぎていて、隣の一君の視線には気が付かなかったんだ。




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春風