独り占め
※最後の方にEdenのメンバーが出ています
朝目が覚めると視界がグラグラして、意識は朦朧としていた。すぐ落ち着くだろうと思い、しばらくの間ベッドに座っているとベッドが動くのを感じて「大丈夫?」と心地良い声が聞こえる。
「うん……大丈夫」
そう言い放つが、いつもとは違う様子の私に彼は心配している。真剣な顔をしていて、何か悩んでいる様子だった。
しばらく考え込んだ後、彼が私の肩に手を置き半ば強引に倒した。視界が天井へと変わり、彼の顔がそこにあった。
「ダメだよ。お仕事あるから」
「……この状態で行かせることはできない」
「でも」
「少し、休んで」
彼との体格差では彼に抵抗することはできない。
「う、じゃあ膝枕じゃなくてもいいでしょう? ちゃんと休むから」
「いつも君がしてくれるから。たまには私にも、こうさせて」
優しく額にキスを落とされ、柔らかく微笑む彼に逆らえず私は静かに甘えた。彼の温もりを感じながら意識を手放した。
優しく頭を撫でる感覚が心地良い。ふわふわと覚醒し切れない頭で気持ち良いなと思っていると、パチリと目が覚めた。
「今、何時!?」
ガバッと起き上がり、咄嗟に時計を見る。
「じゅ、11時……」
「おはよう」
慌てる私とは反対に落ち着いた様子の彼に驚く。
「おはよう。じゃなくて、お仕事は? 遅刻だよ、どうしよう」
「……落ち着いて、事情は茨には言っておいたから。後から出社しても良いって、言ってた」
「本当? ……ごめんね、迷惑かけて」
申し訳なさそうに彼に謝るとニコリと笑って頭を優しく撫でてくれた。
「大丈夫。具合はどう?」
「大分楽になったかな。ずっと側にいてくれたの?」
「うん。……気持ちよさそうに眠る君を、ずっと見ていたかったから」
彼は微笑みながら「可愛かった」と言うが、心配をかけたんだろうなと思い申し訳なくなる。
「心配かけたよね、側にいてくれてありがとう」
「……気にしないで。私も、少し楽しかったから」
「?」
「ふふ、君を。君だけを、独り占めできた」
***
「閣下、今どこですか?」
「……家だよ」
「まだ出ていないんですか?」
「彼女が具合悪いみたいで、私が見ているんだ。でも熱はないみたいだから」
「大丈夫ですか? 自分も行きま──」
「大丈夫、また後で」
ブツッ
「は……?」
プルルルルル
「……何?」
「いや、何じゃなく。ハァ……いえ何でもありません!
事務所に来るのは、彼女の体調が落ち着き次第でよろしいので! それを伝えてください。それだけです! それでは──」
「うん」
ブツッ
「……」
「茨、どうしたの?」
「機嫌悪いっすねぇ」
「いえいえ、そんなことはありませんよ! 彼女が体調を崩したらしく、今日は閣下も遅れて来ることになりました」
「えぇ! 心配。ぼくもお見舞いに行きたいね!」
「おひいさん、空気読んでくださいよ」
「行きましょうか殿下!」
「えぇ、どうして!? 二人は彼女が心配じゃないの? ちょっと!」