・GE、GEB、GE2のネタバレひどいです



変わらずレグルス視点。
お兄ちゃん視点も混ぜるよ。




ロミオは結局死にます。ただ、ジュリウスが雨に打たれながらたった一人でロミオを見送るという展開を回避しただけでも救われたかなぁと思うので。
ブラッドの面々は、最後にそれぞれ言葉を交わせたでしょうし。

ロミオのお葬式の後もお兄ちゃんは帰ってこない。フライアにもいないし極東支部のどこにもいない。博士に聞いても知らないらしい。
もしかしたらもう行ってしまったのではというコウタに、落ち込むと同時に少しの不満。せめて自分には何か言っていけよと思うレグルス。

「彼は俺の命の恩人だ。…ロミオの分も、礼を言いたかった」
「…そう、ですね」
「──聞いてくれ、副隊長」

告げられるジュリウスの離脱。多少のショックは受けるけれど、確固たる目的のため意思を曲げそうにないジュリウスにレグルスもそれを受け入れる。もちろん黒蛛病のあざなんて気付くわけがない、ジュリウスが気付かせてくれるわけがない。
極東支部に移動になったのと合わせてズルズルと隊長に昇格。隊長の仕事の大変さを痛感しつつ、ジュリウスもやっていたのだからとレグルスも気合い入れる。

通信はちょっとそっけなさ過ぎだなあ、ともやもや。
ずっと前に友人から似たような態度をとられた経験があるので、レグルスは「……もしかしてジュリウスも何か隠してるんじゃないか」と勘ぐる。それが正解やレグルス。

マルドゥーク討伐はガチ。最初っから全力でいく。仇をとれたのに、どうも釈然としないのはレグルスもみんなと一緒で。寂しいわけではないのだけど、こう…自分でもよく分からずに終わる。

このもやもやした感情を言葉にする方法を、あいつなら知っているんだろうかと思い悩む。本人がいれば早い話なのに、とりあえず誰かに話したくて元第一部隊の面々とお話しする。

「リーダーの話、ですか?」
「…ええ。彼は、どのような人なのかと」
「そっか、データベース見たのか。気になるよなぁあんな書き方されてたら」
「実際はデータベースみたいな完璧人間にゃほど遠いがな」
「そうそう!」

苦笑する三人から、思い出し笑いを溢しつつ聞かされたお兄ちゃんの話。自分以外から見た彼という人間は自分が知る彼によく似ていて、思わず口を滑らせてしまう。

「隊の誰かが危なくなったら、なりふり構わず飛び出していっちゃってさあ」
「ちょっと年上だからって子供扱いしてくるんです。私達を守りたいっていう気持ちからくる行動だとは分かるんですけど、」
「…アリサさん頭撫でられてるんですね」
「そうなんです!こう、くしゃっと……、なんで分かったんですか!?」

思わず笑って、彼と自分はちょっとした知り合いなのだと告げる。実際はちょっとどころではないけれど。

サツキさんから「フライアにいる黒蛛病患者と接触できない」と言われ、何かあるんじゃと不信感を抱く。
以下極東支部に来たフラン視点。






オペレーターをヒバリさんとバトンタッチして、エントランスからラボラトリまで降りてきた私は自販機で飲み物を買い一息ついた。
竹田ヒバリ──オペレーターの先輩にあたる彼女からは、学ぶことがたくさんある。こちらにきてからというものの、勉強の毎日だ。
お互いにしか分からない仕事の悩みも分かち合う事ができて、日々がとても充実している。何よりこの極東支部には、フライアには無い人のぬくもりがあちこちにあって。
ふうと息を溢した。疲れはあるけれど、日々戦い続ける彼らのためなら労力など惜しくはない。
少し休憩したら、ヒバリさんのサポートに行こう。そう思った時だった。サカキ支部長の研究室の扉が開いたのだ。

白い白衣を身に付けた青年が、一人立っていた。極東支部の科学者、それとも医者か──そんな考えに辿り着く前に、赤い腕輪が私の目をひきつけた。神機使いだったのか。納得しつつも、私は少しだけ彼に訝しい視線を投げ掛けた。
ここでオペレーターを初めて数日経つが、目の前の神機使いは見たことがなかった。自慢ではないが、物覚えはいい方だ。一度も見たことがないなんて──そう思った時、彼はため息を吐きながら、黒い前髪をかき上げた。重いため息よりも、腕に巻かれた真っ白い包帯が目についた。
なるほど、怪我人か──ならば私が見たことがなくてもおかしくないのかもしれない。そう思って目を伏せた時、ガタンと音がしてびくりと肩を震わせる。
慌てて立ち上がった。研究室の扉の前で、今しがたまで立っていた青年が倒れていたのだ。

「大丈夫で、」
「来るな!!」

駆け寄ろうとした体がぎくりと固まる。鋭く、強い拒絶だった。
私が動けない間に、その青年はよろけながらも起き上がった。荒い息をつく顔色は悪く、明らかに体調が良くない事を素人目にも伺わせる。
私がまごついている間に青年は壁に手をつきながらこちらを見た。美しいアッシュグレーの瞳を訝しげに細目ながら、彼は私をじっと見つめた。

「あんた、誰だ?」
「私はフラン=フランソワ=フランチェスカ・ド・ブルゴーニュ。先日から極東支部にオペレーターとして配属されました」
「え?フラン=フランソ…え?」
「フランで結構です」

混乱している彼の腕を引っ張り上げると、彼はじっと私を見ながらああ、と息を漏らした。

「新しい子か。知らないはずだわ」
「それはお互い様です。…見たところ、体調が優れないようですね」

壁に背中を預けながら浅い呼吸を繰り返している青年を見上げる。疲労からくる体調不良かと思っていたが、もっと深刻なものなのでは──そんな気さえした。

「貴方も神機使いであるなら、体調管理はきちんとすべきでは?」
「はは、耳が痛いよ」
「病室に行くべきだと暗に申し上げているのですが」
「大丈夫だいじょーぶ。俺、これでも医者だから」

へらりと笑みを溢した青年にほんの少し目を見開いた。レグルス隊長とあまり年齢が変わらないように見えるのに。
しかし私は仕事柄、取り乱すといった事が少ない。すぐに平静を取り戻し、ため息さえついてみせた。

「ならば、医者の不養生ということですね」
「…フランちゃんって博識だね。それ、極東のことわざだぜ?」
「以前勤めていた勤務先に、極東出身の方がいらしたので」
「へー、そうなんだ。じゃあここには転勤できたの?」
「…はい。転属願いが通ったものですから」

立ち話もなんだと、自販機の前にあるベンチに二人で腰かける。彼が意図せず触れた話題は、今はまだあまり掘り返してほしくないものだった。
しかし彼は、私の事を知らないようだった。療養していたからかもしれない──そう思って、思わず口を開いてしまった。

「以前は、フェンリル極地化技術開発局所属のブラッド専属オペレーターとしてフライアに勤めていました」
「…、へえ。転属願いって事は、自分からあそこを出たんだ」
「はい」

ほんの少し間があった気がするけれど、特に態度の変化は無かった。私の言葉をまっているらしく、微笑んだまま私を見つめている。
彼の穏やかな眼差しに見覚えがある気がして、でも思い出せなくて。もどかしさを隠して、私は少し俯いた。

「ブラッドの連中が嫌になったのか?」
「えっ」
「それか、フライアの幹部の誰かか…いやだって、抜けるって事はそういう事じゃねえの?」
「…ご存知ないのですか?」

私は、ジュリウスが神機兵の開発のためブラッドを抜けた事、それに伴いフライア所属のゴッドイーター達は各支部へ、ブラッドは極東支部へ移籍になった事、現在はジュリウスに代わりレグルス隊長が指揮をとっている事を説明した。
最近になって、フライア内部が不穏な空気を滲ませている事も。

「ジュリウスと、その…ラケル博士とレア博士か。彼らは今どうしてるんだ?」
「…申し訳ありません、分からないのです。私も、言ってみればフライアから逃げ出したようなものなので」
「そうか…」

汗を滲ませているものの、彼の表情は厳しく引き締まった。ぴりっとした空気が漂った気がして、私はふるりと身を震わせる。まるで静電気か何かに触れたようだった。

「──話してくれて、ありがとうな」

立ち上がって裾を払った彼は、ふっと微笑んだ。先程の空気を微塵を感じさせない、へらりとした笑みに、思わず拍子抜けしてしまう。ついさっき倒れてしまっていた人物ととても同じとは思えない程にしっかりとした足取りで、彼はサカキ博士の研究室へと戻って行った。
本当は病室で診察を受けて欲しかったのだけれど、表情はマシになっていたので、大丈夫なのかもしれない。
腕時計を見ると、時間が経ってしまっていた。ヒバリさんのサポートを抜きにしても、そろそろラウンジに戻るべきだろう。飲みかけだったカフェオレを飲み干してゴミ箱に捨てようと立ち上がって、自販機の横に設置してあるごみ箱へと放り込もうとした。

「あら?」

とある事に気が付いて、私は缶を持ったまま自販機を見上げた。先程までほんのりと光が灯っていたはずの自販機は、機械のタービンが回る音も聞こえていない。

「…壊れちゃったのかしら?」




長くなっちゃったけど終了。
自販機が壊れたのは、おこになったお兄ちゃんが無意識に魔力を放出しちゃったせいです。弁償しなきゃね、お兄ちゃん!ちなみに極東出身の方はナナちゃんの事です。
ともかく、フランから話を聞いたお兄ちゃんは、今まで普通だと思っていたブラッドが普通じゃないという事に気付いたので、自身がやっていた事に更にエンジン入れるようになります。これは後ほど記述。
ていうかレグルス隊長ってえ?まさか…えーとまさかねえ???って思って久々にデータベースにアクセスしてブラッド隊長調べたら「レグルス・ベケット」出てきてまじかよおおおおマーリンの髭!となって床ドンします。どんまい。

レグルスは、任務中に助けた遭難者であるレア博士に話を聞き、ジュリウスがやっていた事がどうもおかしいという事に確信を抱く。そして、ほんの少し疑念を抱いていたラケル博士が元凶だという事にも。
とりあえずジュリウスに話を聞かなければ黒蛛病患者も解放できないしそもそも話にならないという事で、サカキ博士に相談。極東支部のみんなにも協力してもらうという事になる。
以下レグルス視点。




「ふむ。それじゃ、ブラッドが神機兵やジュリウスの注意を引きつけ、その間にユノ君やサツキ君達が黒蛛病患者達の救出にあたる…そういう事だね?」
「はい」
「なるほど、話は分かった。しかし…ユノ君達は一般人だ。彼女達を今のフライアに連れて行く事は危険だと思わないのかね?」
「危険は十分承知の上です」

はっきりと意思を伝えたユノにサカキ博士は微笑み返した。彼女の表情から、言い出した事は曲げないという事を感じたのかもしれない。
正直反対してくれる事を期待していたので、僕は小さくため息を吐いた。非戦闘員を連れて行く事はあまり賛成できない。下手をうてば二次被害だってありえる。
それにあそこにいるのは大半が黒蛛病患者なのだから、彼女だって感染してしまうかもしれない。それを考えると、「じゃあ行きましょう」とは言えないのだ。

「(でも、支部長が許可を出したのなら仕方がないか)」

どこかへ通信インフラを繋いだ支部長を尻目に、ジュリウス救出に意気込んでいる面々(主にコウタ隊長とナナ)を眺めた。

「というわけで、君も行くべきじゃないのかな。…あれ?聞いてるかい?」

不審な顔をして立ち上がったサカキ博士は、大量のコードが散らばっている床を縫って、部屋の左奥にあった大きな赤い扉をノックした。どうやらあの中にいた人と通信を行っていたらしい。
見たところ防音扉だと思うのだけど、ノック程度で中に聞こえるのだろうか。というか、そもそも聞こえないから通信で連絡をとっていたのではないだろうか。
重々しい扉を開けて中を覗いた支部長から目を離した瞬間、その支部長が鋭い声をあげたものだから、僕を含め研究室に集まっていた面々は飛び上がった。

「ケニー君!!」

その場にいた全員が、支部長が入っていた赤い扉の方を見た。
まず目に飛び込んできたのは、部屋中に散乱している白い紙だ。支部長が走って入ったせいで、何枚かが部屋からこちらに飛び出している。
簡易な机の上にはいくつもの分厚いファイルとパソコンが一台。真っ白い部屋の中に、誰かが倒れていた。白衣と包帯のせいで、その人物までもが真っ白い。驚いている僕を押しのけて、コウタ隊長が部屋の中へと飛び込んだ。

「ケニー、しっかりしろ!!」
「コウタ君、来ては駄目だ!感染してしまう!!」

ドンという音がしてコウタ隊長が転げ出てきた。その顏は真っ青で、呆然と部屋の中を見つめている。僕は部屋の中に倒れている人物を注視して、目を見開いた。真っ白い顏に脂汗を滲ませて、荒く息をついている人物に見覚えがありすぎたから。

「ケニー、」
「博士」

小さな僕の呟きは、コウタ隊長の震える声にかき消された。

「感染、て。どういう事ですか」




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