アラバスタから脱出し、海軍を引き離したメリー号は海を漂っていた。
あの騒動が嘘のように今は静かで、穏やかだった。
「もう追ってこねェな…海軍のやつら…」
「「「んー…」」」
「つき離したんだろ?」
「「「んー……」」」
海鳥の声、海の音を聞きながら海軍の船がない事を見渡して確認するゾロは生返事しか聞こえない後ろにため息をつきながら振り返る。
後ろを振り返ればゾロとアスカ以外がだらけていた。
「…あのな…何だよ、その気のねェ返事は…」
「仕方ないよ、ビビと別れちゃったからね……寂しいんでしょ?」
「「「さみし―――…」」」
ゾロの呆れような声にアスカがフォローを上げた。
そのアスカのフォローにだらけていたルフィ達の瞳からドバっと涙が流れ、声をそろえアスカに頷く。
「…めそめそすんな!そんなに別れたくなきゃ力づくで連れてくりゃよかったんだ。」
「
うわあ、野蛮人…」
「
最低…」
「
マリモ」
「
三刀流」
「待てルフィ、三刀流は悪口じゃねェぞ。」
「
四刀流…」
「増えてどうすんだよ!!…いいかナットウあるだろ?ナットウにお前腐ってるとか言ってもよ…」
「わかったよ、好きなだけ泣いてろ」
「…やっと島を出たみたいね…ご苦労様」
「あぁ…」
ゾロは海賊として正しいことを言っているが、人としては言っていない。
ルフィ達の幼稚な悪口に一々苛立つことはなく、幼稚な悪口に呆れながらゾロは背後からの人物に釣られて返事をする。
ゾロとしては自分と同じく泣き崩れていないアスカへの返答だったのだが、しかしよく聞けばアスカとは似て非なる女性の声で、一瞬だけゾロの動きが止まる。
「「「!!!??」」」
一瞬ゾロだけでなくルフィ達全員が止まった。
振り返るとそこには船の中から美女が出てきたのだ。
アスカはその美女に見覚えがあった。
自分のそばに来た美女はクロコダイルの隣にいた…クロコダイルの相棒でもあった、ニコ・ロビンだった。
先ほどまでの敵の姿にナミもウソップも慌てだし、ゾロは刀へ手を伸ばす。
面識のないチョッパーは突然現れた人間に驚いたが、面識がないためナミ達のように慌てふためくことはない。
サンジは敵味方の前に美女の姿に目をハートにしていた。
アスカは警戒しているがとりあえず様子見なのか睨むようにロビンを見るだけ。
ルフィは美女の姿に思い出したような声を零すも慌てることはなく至って冷静だった。
「そういう物騒なもの私に向けないで…って前にも言ったわよね?」
「あっ」
「うわ!手!?」
ロビンは武器を構えていたゾロとナミの体から手を生やし叩き落す。
それを見てロビンが何らかの能力者だということが発覚する。
敵船に一人いるというのにロビンはずっとこの船に乗り下の部屋で本を読み、更にはシャワーを浴びたりとしていたらしい。
今着ている服もナミの物で、それを聞いてアスカは『この人図太いな〜』とのんきなことを思っていた。
どうやらルフィが警戒もしないためアスカも警戒を解いたらしい。
「モンキー・D・ルフィ」
ナミが声を上げて怒鳴る中、ナミを無視しロビンは勝手に折り畳み式のイスを取り出してルフィの名を呼んだ。
ルフィは名前を呼ばれ返事を返し、その返しを聞きながらロビンはイスを適当な場所に置き折り畳んでいた椅子を広げる。
「あなた、私に何をしたか…忘れていないわよね?」
「?」
「な…ナニって…おいルフィてめェ!キレーなお姉さんにナニしやがったんだ!?」
美女関係ならばサンジは仲間(男限定)であろうと容赦はない。
サンジに激しく揺さぶられながらルフィはロビンの言葉に考えるが全くもって見覚えがない。
「おいお前!嘘つくな!!おれはなんもしてねェぞ!」
「いいえ。耐え難い仕打ちを受けました。……責任、とってね?」
広げた椅子に座るロビンにウソップが拡声器で出ていけやら海軍を呼ぶぞやら警告されているが、当然周りは無視である。
それでも彼はめげない。
ウソップの拡声器をBGMにルフィは心当たりない事を言われ首をかしげ、そんなルフィにロビンは目を細め見つめる。
「意味わかんねェ奴だな…どうしろっていうんだよ」
「――私を仲間にして。」
「「「は!!?」」」
美女の言葉に、みんな驚愕した。
109 / 293
← | top | back | →
しおりを挟む