(110 / 293) ラビットガール (110)

結局あの後、ルフィがすんなりと仲間に受けれいたせいでついさっき戦ったばかりの敵を乗せて航海する羽目になった。
取り調べは主にウソップがし、取り調べセットのような机とイス、そしてライトに座りながらロビンは質問に答えていた。


「8歳で"考古学者" そして"賞金首"に」

「考古学者!?」

「そういう家系なの…――その後20年ずっと政府から姿を隠して生きてきた。子供が一人で海に出て生きて行けるわけもなく…色んな"悪党"に付き従う事で身を守ったわ。お陰で裏で動くのは得意よ?お役に立てるはず」

「ほほう…自身満々だな…何が得意だ?」

暗 殺

「〜〜〜ッルフィ!!取り調べの結果危険すぎる女だと判明!!」


一先ず軽い生い立ちを答え、ウソップの何が得意なのかという問いににっこりと微笑んで答える。
そんなロビンににウソップは顔を青くして船長であるルフィに振り返るが、ルフィはチョッパーと共にロビンの能力で手懐けられていた。
ロビンの能力はハナハナの実の能力者らしく、その能力は体の一部を花のように咲かせることができるらしい。
アスカは実際見たことはなく、今チョッパーとルフィが遊んでいるのを見てなるほどと思った。


「軽くあしらわれちゃって情けない…どうかしてるわ!今の今まで犯罪会社の副社長やってたその女はクロコダイルのパートナーよ!?ルフィの目はごまかせても私はダマされない…妙なマネしたら私がたたき出すからね!!」

「フフ……ええ、肝に銘じておくわ…ああ、そういえばクロコダイルの宝石少し持ってきちゃった」

「いやん!大好きよお姉様っ!!」

「「おいおいおいおい」」

「流石ナミ」


ナミもロビンが敵だというのは知っており、当然警戒していた。
ただルフィが仲間に入れてもいいと言ってしまったために従っているだけで、本当は大反対である。
しかしロビンが思い出したように宝石が入った袋を取り出したのと同時にナミは目を輝かせてロビンに引っ付く。
それにゾロとウソップが突っ込みを入れ、通常運転のナミにアスカは納得していた。
ナミの裏切り(?)は予想していたようなしていないような…とにかくナミも頼りにならず、ゾロもウソップも頭を悩ませる。
そんな二人とアスカの前をサンジが踊りながらロビンのもとへと向かっていくのが見えた。


「ああ恋よ…漂う恋よ…僕はただ漆黒にこげた体をその流れに横たえる流木…雷という名のあなたの美貌に打たれ激流へとくずれ落ちる僕は流木……おやつです」

「まぁ、ありがとう」

「あれは当然ああだしな…」

「ああ、あれはもう最初っからナシの方向で。」


ゾロとウソップは最初からサンジに期待しておらず、敵でも女と見れば見境のないサンジに呆れたように見つめる。
因みにアスカは傍観しているだけで警戒もなれ合いもしていないため、最初から除外されていた。


「おれ達が砦ってわけだ」

「まったく世話のやける一味だぜ!」

「ウソップー!!」

「ア!?」


アスカの目には二人の背後には『ドン』と効果音がでかでかと出ていたように見えた。
それだけならかっこいいと褒めれるのに、ウソップがルフィに呼ばれ振り返ればあっという間にウソップも敵側へ落ちてしまった。
振り返った先にはロビンの能力でチョッパーの真似をしているルフィがおり、それでもすぐに寝返るウソップにゾロが、そして傍観をしていたアスカが呆れてしまう。
二人がその変わり身の早さに呆れているとロビンが階段を上がりながら近くに居たアスカに話しかけてくる。


「…いいわね、いつもこんなに賑やか?」

「そうだね…いつもあんな馬鹿なことばっかりやってるよ。」

「そう」


船長であるルフィが認めて受け入れたからアスカもそれに従う…それだけである。
だからロビンに聞かれたアスカは答えた。
その答えには呆れているように見えるもどこか楽し気だった。
肩をすくめるアスカの言葉にロビンもつられたように楽し気な笑みを浮かべた。


(何企んでやがる…)


二人の会話を聞きながらただ一人だけ…ゾロだけがロビンを警戒していた。
そのゾロの目線なんて気づいているであろうロビンだが慣れているように気にもせず、ナミに声をかける。


「航海士さん、ところで"記録"は大丈夫?」

「西北西にまっすぐ!平気よロビン姉さん!」

「…お前…絶対宝石貰ったろ……」

「ナミ次の島は雪が降るかなァ?」

「あんたまだ雪見たいの?」

「いーじゃん!なァ、アスカ!アスカも雪みたいよな!!!」

「え?私は別に…」

「!!!」

「み、見たいなァー…」

「だよなーー!!!」


ロビンの問いにナミは目を輝かせていた。
それは一目で宝石を貰ったのだと分かり、身の変わりようにある意味感服してしまう。
ルフィはフーシャ村でも中々雪が見れなかったからか、『寝込んでいて見れなかったよな!』とアスカに話を振るがアスカはコボル山で散々見てきたため興味もなく断る。
アスカに断られたルフィはショックな顔をし、そんな幼馴染の顔にアスカは思わず頷いて見たいと言ってしまうも嬉しそうな顔の幼馴染にまあいいかと諦めた。


「アラバスタからの"記録"をたどると確か次は"秋島"よ」

「秋かァ!秋も好きだなー!!」


そんな会話を聞き、ロビンが記憶を辿って次の島の情報をルフィに与えた。
冬も好きだが秋も好きなルフィは喜ぶ。
すると何か小さい物がコツ、コツと振ってきてアスカは顔を上げる。



「え…」



雨かと思い顔を上げたアスカの目には…空からメリー号より遥かに大型の船が逆さになり落ちてくるところだった。
ドンッ、と音をさせ海面に叩きつけられた船は粉々になり、その衝撃でメリー号は荒れた波に大きく揺らされる。


「うううわああああああ!!」

「―――あっ!」

「アスカちゃんっ!」

「捕まれ!船にしがみつけ!!」


その衝撃に波が大きく揺れ、船も揺らされ二階の手すりに居たアスカは投げ飛ばされてしまい、床に叩きつけられる前にサンジに助けられた。
揺れは大きく更に続き、抱きつく形でサンジにしがみ付いて振動が収まるまで待つ。


「ルフィ!船を守れ!もうもたねェぞ!!」

「よし!…ん?ウソップ?」

「案ずる事なかれこうやって落ちついて目を閉じて――…そしてゆっくり瞼を上げると…ほーーらそこには静かな朝…」


ウソップは現実逃避するが目の前に人骨が迫っていた。


「ギャ〜〜〜〜〜〜…ぁあああ!!!人骨〜〜!!!」

「バカ投げないでよ!こっちに!!」

「また落ちて来るぞ〜〜〜!!!」

「人骨〜〜〜〜っ!!」







波も落ち着き、安定し静まった頃、周りは船の破片が浮いていた。
やっと大きな揺れが少しずつ小さくなって落ち着きを取り戻し、いつもの海の静けさに戻り、一同はホッと安堵する。


「何で…空から船が降って来るんだ…!?」

「大丈夫だったか?アスカちゃん!」

「うん。ありがとう、サンジ」

「アスカちゃんが無事だったらよかった!しかし、奇怪な…」

「空にゃ何にもねェぞ…」

「あ!!」

「どうしたナミさん!?」


揺れの中、降ろすことも降りることも出来ずずっとサンジに抱きかかえられていたアスカは心配するサンジに俺を言いながらサンジから降りる。
アスカに怪我がない事やナミやロビンにも怪我がない事を確認し、サンジはここでようやく本当の意味で安堵する。
サンジに降ろされているとナミが声を上げ、記録指針を見て顔を青くしていた。
体を震わせ記録指針を見つめるばかりのナミにアスカは首を傾げながら近寄る。


「ナミ?どうしたの?」

「どうしよう…アスカ…!!"記録指針"が…壊れちゃった!上を向いて動かない…!!」

「え!?記録指針が壊れた!?それ大丈夫なの!?」


海に関して、そして航海に関して、アスカは素人である。
だからナミの言葉を信じてしまい記録指針が壊れたと言われ慌てた。
ナミも初めての事だからか、慌てふためき涙目だったのだが、そんなナミにロビンが歩み寄りながら否定した。


「違うわ…より強い磁力をもつ島によって新しい"記録"にかきかえられたの…!」


ロビンの言葉にその場に居る全員がロビンへ顔を向ける。
航海に関してで言えばロビンは素人だが、海に関してはロビンの方が先輩なのだ。
ロビンの方を見れば、ロビンは空を見上げていた。


「…指針が上を向いているなら"空島"に"記録"を奪われたという事…!!」

「空島…?」


アスカはロビンと同じく空を見上げる。
そこには大空が広がっていた。

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