男…モンブラン・クリケットを看病していた最中、見覚えのあるサル顔が慌てて家へ入ってきた。
その男たちはナミとサンジの逆鱗に触れた男達で、見事なサル顔をしていた。
「おめェら!ここで何してんだ!!」
「おやっさんに何をしたァ!!!」
「なんだお前ら…今このおっさんを看病してんだからどっか行けよ」
侵入者に怒鳴り散らす男たちだったが、丁度水を変えるために桶を持っていた素直に言うルフィにサル似の男達は涙を流しルフィの言うことを信じた。
その際慌ててたため、ウソップと共に脱出しようとしたチョッパーとナミの3人がこけてしてしまう。
そして何故か一瞬にして仲を深めたルフィは男達…マシラとジョウジョウと話しこんでいた。
「何であいつらものすごいうち解けてんだ?」
「通じるモンがあるんだろ」
クリケットの容態が落ち着いたということもあり、もう後はチョッパーがいれば安心だとして、それぞれ好きに過ごしていた。
ルフィ、マシラ、ジョウジョウが外でわいわいと楽し気に話し込んでいるのを見て、ドアの脇に座っているゾロとウソップがすでに仲良くなっているのを見て、ルフィのすぐに打ち解けれる正確に多少呆れてしまう。
すると、ふとゾロとウソップは気配を感じ、扉の方へ目をやる。
そこには…アスカが扉の隙間から顔を出してルフィ達を見ているのが見えた。
ドアの隙間から見えるアスカの顔に二人は驚きの声を零す。
「うお!?おま…アスカ!何してんだ?」
「びっくりしたァ!」
気配もなく覗き込むアスカにゾロとウソップは驚いて扉から少し離れた。
そんな2人にアスカはしー!と口に人差し指を立て、睨むように見た。
「2人にばれちゃうでしょ!シー!」
「だから何してんだよ、お前は…」
「だって、ナミが向こうに混ざるの許してくれないんだもん…見てるだけならいいって言ってたから…」
「だからってその方法はないだろ…ストーカーみたいだぞ?」
「いいなぁ〜あのサル顔…いい…」
「聞いてねぇし!」
早速ゾロとウソップを無視してアスカは珍しく無表情以外の表情を浮かべ、マシラとジョウジョウを見ていた。
「サル顔が好きなのか?」
「違う!動物顔だから好きなの!見て!あの完璧なサル顔!!あの力強そうな身体!そして何よりあの男を心配して慕うあの心優しさ!!完・璧・よ!!」
「「…………」」
基本アスカはロビンに並ぶほど感情を露わにすることは珍しい。
たまにルフィの姉の事や、ルフィとの喧嘩などでは年相応の反応を見せるが、それ以外は無反応ではないが反応は薄いのだ。
そんなアスカが目をこれでもかとキラキラさせマシラとジョウジョウを見ているではないか。
アスカ本人曰くサル顔が好きだとかではないらしく、動物顔に弱いのだという。
それは恋愛的な意味合いではなく、ただの憧れだと言っていたが…ゾロは『ふーん』と興味なさげに頷き男たちを見る。
すると扉を挟んだ隣にいたウソップが近づきポンとゾロの肩を叩く。
それはデジャブを感じさせ、嫌な予感がするがゾロはウソップを見る。
「……なんだよ」
「そう落ち込むなって、ゾロ!自分が動物顔じゃないのはお前のせいでもないし親のせいでもないんだからさ!!まあお前はあえて動物で例えると肉食系だよ!!」
「……まだその設定続いてんのかよ…」
振り向いたウソップの顔は同情めいた笑みで、その瞳は生暖かった。
どうやらアラバスタでのアスカに片思い設定がまだ続いているようで、ゾロは苛立つよりも呆れてしまう。
そんな二人のやり取りをアスカは気にもせず憧れの男性像を目の前に目をキラキラとさせ見とれていた。
そして男が目覚め、空島へのルートを教えてもらい、途中まで案内してもらうことになった。
その夜はサンジの手料理で何故か宴会が始まり、酒が飲めないアスカとルフィ、チョッパー、ウソップ以外は酒を飲んで盛り上がっており。
酒が飲めなくてもルフィ達は大いに盛り上がってた。
アスカも憧れの男性と話そうとするもナミとサンジが阻むのだ。
仕方なしに酒の匂いで火照った体を隅で1人で飲んで避難していたロビンの隣に座り冷ますことにした。
話はやはり空島や黄金の事や夢の事で盛り上がっていたのだが……クリケット達は一つだいな事を忘れていた。
その道案内は"ある鳥の習性"が必要不可欠だという。
しかしその鳥を捕まえなければならないのを忘れてしまい、すっかり酔いが醒めたクリケットの言葉によってルフィ達は森へ入りその鳥を捕まえることになった。
「真っ暗!!」
その鳥がいる森はクリケットの家のすぐそばの森にいるらしく、アスカ達はチーム分けし森にいる鳥を探しに別れた。
しかし月の光があるとはいえ辺りは薄暗かった。
「えっと…なんだっけ、あの鳥の名前…」
「サウスバードよ」
「ああ、そうそう…そんな名前…」
森にいる鳥…"サウスバード"という鳥を探すためアスカはゾロ、ロビンと同じチームで森に入る。
チーム分けはクジだったため、謎なくらい迷子の才能があるゾロと同じチームだと分かりアスカはゾロを目の前に肩をこれでもかと落とした。
しかしいつまでも落ち込んではいられないと名前を忘れたアスカはゾロとロビンに鳥の名前を問うと、しっかりしているロビンが答えてくれた。
すでに森に入ってしばらくたっており、アスカがロビンに教えてくれた名前に頷いていたら…何処からか悲鳴が上がった。
悲鳴からしてサンジとナミらしかった。
アスカ達は森に響く悲鳴に顔を上げる。
「悲鳴が聞こえるわね…」
「放っとけ」
「ナミ達にはサンジが居るから平気でしょ」
アスカの言葉を聞いてロビンはあの女に滅法弱いサンジが果たしてウソップも守るのかを疑問に思いながらも、ロビンもロビンで深く物事を考えないタイプなのか『それもそうね』と言って納得する。
そうこうしている間にも何度目かになる巨大なムカデをゾロが仕留め終えていた。
「ムカデか…いやにデケェな…」
「いちいち討ち取っちゃうのはよくないわ、可哀想よ」
「おれに挑んできたコイツが悪ィ。おれに意見するな」
ロビンは数えるのが億劫になるほどに襲い掛かってくるこの森の虫たちを一匹残らず倒すゾロに注意をする。
しかしゾロはロビンの言葉にゾロはフン、と鼻を鳴らし、ロビンを睨む。
「大体…いいか、まだシッポを出さねェ様だがおれはまだお前を信用しちゃいねェんだ、それを忘れるな。」
「…だけど……」
「何だよ」
「そっちは今来た道よ」
「…………」
ルフィが認め仲間になったと言ってもゾロは敵であったロビンを認めてはいなかった。
船長が船に乗るのを承諾したから仕方なくというスタンスを崩さず隠しもしないゾロにロビンは気にもしておらず、アスカは目でゾロとロビンの会話を追っているだけでゾロを責めることも賛同することもなかった。
ゾロはそう言い切りロビンに背を向けたのだが…やはりゾロの方向音痴の才能によってゾロは来た道を戻ろうとした。
それがわざとでもカッコつけでもないからたまに本気で心配になる。
「そっちね…そこのぬかるみに気を付けて」
一瞬の沈黙に、鳥の声が破った。
『ジョ〜』と変な鳴き声はまさにアスカ達が探していた『サウスバード』で、ロビンはこの空気をもろともせず先に進む。
注意をしてやりながら先に進むロビンにアスカも『うん』と返事をしながら言われた通りぬかるみに気を付け、ゾロは間違いを指摘され若干恥ずかしそうにしながらも先に進んだロビンとアスカを追いかけるように歩き出す。
その際ぬかるみに足を取られてしまいアスカがついに吹き出したのは他の仲間には内緒である。
ロビンはぶっと吹き出しながらも笑うんを我慢し肩を揺らすアスカとそんなアスカに食って掛かるゾロの珍しい光景を見つめながら、楽しそうに微笑んだ。
それから鳥を求め森を彷徨うが、ルフィ達を嘲笑うように虫達が邪魔し続け、仕方なくルフィ達は集まった。
どうやら鳥を確認できたのはルフィ、チョッパーのチームらしく、サンジ・ナミ・ウソップのチームも鳥は見ていないが巨大な虫に襲われて散々だったらしい。
鳥を発見できず襲い掛かってくる虫を追い払っていたロビン・ゾロ・アスカだけが息を切さず服も汚していなかった。
「駄目だ…姿すら一羽も確認できなかった」
「おれ達は見たんだけどよ、虫だらけで鳥どころじゃねェんだよ」
チョッパーは走ってばっかりだったためにダウンしてアスカに頭を撫でられていた。
チョッパーと一緒に居たはずのルフィは当然のように息を1つも荒くしていなかった。
「まいったな…8人も居てゼロだと!?しっかりしろ!お前ら!」
「てめェもだろ!」
「私もうこれ以上走れないわよ!」
森は広く、そのサウスバードは頭もいいらしく、チョッパー曰く森の虫が襲い掛かってくるのはその捕まえようとしているサウスバードが命令しているからだという。
森に入って結構経っているのに中々捕まらない鳥に一同どうするか話し合っていると…頭上からサウスバードの鳴き声がし、全員が上を見上げると人を馬鹿にしたような顔をする鳥が一羽居た。
「あ!」
「あ。」
チョッパーとルフィ以外は初見のサウスバードにみんな顔を上げる。
何か鳴いていたが、人間であるアスカ達が分かるわけがなく…全員自然と言葉が分かるチョッパーを見る。
チョッパーは言葉は理解しているが、それを言おうか迷っていた。
しかしじっと見てくる仲間にチョッパーは重い口を開いた。
「『お前らなんかに捕まるかバーーーカ』って…」
チョッパーが翻訳したのは憎まれ口だった。
そのチョッパーを介した言葉に主に血の気の多いルフィ達はむっとさせる。
「何を!?わざわざそれを言いに出てきやがったのか!!」
「撃ち落としてやる!!」
「ジョ〜〜〜〜!」
「『やれるものならやってみろアーーーホ』って…」
「「なに〜〜〜!!!?」」
「ジョ?…ジョ〜〜〜〜!!!」
「え?」
サウスバードの通訳役になっているチョッパーの言葉にウソップとルフィは怒り散らし、続けられた馬鹿にした言葉をチョッパーが更に通訳する。
それを繰り返しているとサウスバードが何故かアスカを見て目をハートにして鳴きだし、どうしてか、あれほど馬鹿にしていた人間の…アスカの胸に自ら飛び込んだ。
咄嗟にサウスバードを抱くアスカだったが、訳が分からず首をかしげる。
「ジョ〜〜〜〜〜っ!」
「何を言ってるの?チョッパー」
「えっと……」
すりすりとアスカにすり寄るサウスバードにアスカは怪訝とさせ、チョッパーを見る。
アスカに問われチョッパーは先ほどよりも言いにくそうにしながらもチラリとアスカではなく、可愛い可愛い妹のようなアスカに抱きついてきた鳥に怒り、ウソップとゾロに止められているサンジとナミを横目で見る。
「チョッパー?何だよ?」
「アスカが好きだって…言ってる…」
「「「……………」」」
点、点、点と続き…
「「「
なにいいいいいいいいいいいいい!!!!?」」」
森全体に、5人の声が響いた。
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