ルフィ達は無事、怪我一つ負わせずサウスバードを捕まえることに成功した。
そう、成功したのだ。
成功…したのは、いいのだが…
「認めないわよ!私はこんなエロアホォ鳥に空島を案内させるなんて認めないからね!!!!」
「でもナミ…」
「おれもだぜ!アスカちゃんにもしものことがありゃァおれは…おれはッ!!」
「だけどサンジ…」
「なんでもいいからとっとと行くぞ」
「何でもいいとは何よ!!バカゾロ!!!」
「そうだ!!てめェアスカちゃんに何かあったら切腹しろよ!!切腹!!!」
「そうよ!!あんたアスカが傷物にされたら切腹しなさいよね!!」
「いやなんでそうなるんだよ…」
アラバスタ再来にてアスカはサウスバードに一目惚れされてしまい、例のごとく過保護組が猛反対していた。
アスカはサンジとナミに怒鳴られるように駄々を捏ねられ、サウスバードを抱きながら困ったように眉を下げて二人を見る。
割って入ったゾロにも二人は怒りの矛先を変え、理不尽な事を言われたゾロは慣れたように突っ込んだ。
結局、時間もないということで反対者を無視しそのサウスバードに案内させる事になり、クリケット達のところに戻ることにした。
しかし…
サウスバードをお土産に戻ってみると、クリケット達が血だらけに倒れていた。
倒れている三人を見てルフィ達は鳥を捕まえた喜びが驚愕に変わり、慌てて三人に駆け寄る。
「ひし形のおっさん!!」
「マシラ!」
「ショウジョウ!!」
そこは酷い有様だった。
争った形跡があり、恐らく三人の血なのだろう…血痕もあちこちに散らばっていた。
更にはアスカ達が乗ってきたメリー号も無残にも壊されてしまっており、アスカ達はその光景に唖然としていた。
「おっさん!何があったんだよ!!?」
「すま…ん…ほんとに…すまん…おれ達がついていながら情けねェ…!!だがよ…まだ時間はある……!!日が昇る前にちゃんと…船を強化してよ…」
「待てっておっさん!!とにかく何かあったか話せよ!!」
「…いや……いいんだ…気にするな、もう何でもねェ…それよりお前ら…」
血だらけのクリケットに駆け寄ると遠目で見た時より酷い傷を負っているのが分かった。
怪我を負っているのはクリケットだけではなくジョウジョウとマシラも同じく重傷で、マシラを診ているチョッパーにルフィはクリケットを診てもらうよう呼びかける。
しかし…
「ルフィ…!!き、金塊が奪られてる…!!!」
「「「…!!」」」
何かあったか聞くルフィを押しのけ話を続けようとするクリケットだったが、家を調べていたナミが慌てたようすで戻ってきた。
ナミの言葉に全員の雰囲気が凍った気がした。
しかし、金塊が奪われたというのに、クリケットは気にもしていない風を装い話を続けようとする。
話を無理矢理進めようとするクリケットにウソップが声を上げた。
「"そんなのは"って何だよ!!おやっさん10年も体イカレるまで海に潜り続けてやっと見つけた黄金じゃねェか!!」
「黙れ……いいんだ…これァ、おれ達の問題だ……聞け…猿山連合軍総出でかかりゃあ、あんな船の修繕・強化なんざわけはねェ…朝までには間に合わせる…お前らの出向に支障は出さねェ…いいかお前らは必ず…!!おれ達が空へ送ってやる!!!」
「おやっさん…!」
クリケットは襲撃を受けた事よりも、ルフィ達を優先していた。
大怪我して息も絶え絶えなのに、ルフィ達を想ってくれていた。
だからウソップはこれ以上言えなかった。
「おいルフィ…」
「?」
ルフィも口を挟まず怪我を負っても自分たちを空島へ連れて行こうとするクリケットを見ていたが、ゾロに声をかけられクリケットからゾロへ振り返り、ゾロが指さす方へ見る。
そこには木には、円の中の笑顔に斜めの線が描かれているマークを見つけ、そのマークを見たナミも『あ!』と声を上げた。
「それ…!!ベラミーのマーク…!!」
ナミがマークに気付きウソップ達もマークに気付いた。
アスカは何気なくそのマークを見たのだが…一瞬、懐かしさが芽生える。
また絵本を見たときと同じ感情にアスカは首を傾げ、マークの前に歩み寄りじっとマークを見ていた。
そんなアスカを挟みながらゾロとルフィが何か話しているのをナミは見つけ、嫌な予感をよぎらせる。
『手伝おうか』『いいよ、1人で』という会話から乗り込む気満々なのは確かで、ナミは出向まであと3時間しかないと理由を付けて止めようとした。
ロビンに海岸に沿って行けばいいのかと聞くルフィにナミ同様乗り込みに行こうとしているのに気づいたクリケットは引き止めようとする。
しかし起き上がろうとするクリケットの前にゾロが『止めたきゃこれ使えよ』と刀を差し出した。
流石に体がボロボロの今の状態でルフィに勝てるとは思っていないクリケットはその刀を取ることはなかった。
「朝までには戻る!!」
そう言ってルフィは町へと向かった。
アスカはそんなルフィに気付かずただただマークを見つめるだけだった。
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