(120 / 293) ラビットガール (120)

金塊を返し、クリケットに見送られ、ジョウジョウ達に案内されながらルフィ達は空島へ向けて海を進んでいた。


「いいか、午前7時だ!!現場付近に到達するのがおそらく午前11時頃…」


目的地へ向かう最中のジョウジョウが説明するもルフィはサウスバードで遊んで話を聞いていなかった。


「ルフィ!ジョウジョウさんの話し聞け!」

「アスカ!見ろよ!!こいつどんなに首動かしても同じ方向しか向かないんだぜ!!」

「あ、ほんとだ」


アスカからしたらものすごく好みのジョウジョウの説明を全く聞かない幼馴染に腹が立ち、笑っているルフィに注意するように声をかける。
だが、ルフィはアスカの怒りなどなんのそので、どんなに方向を変えても南しか向かないサウスバードを見せてみれば、そのサウスバードの習性にアスカもジョウジョウを忘れ興味深そうにルフィの隣で見ていた。


「いやー、変わった鳥もいるんだな」

「本当に南しか向かねェんだコイツ!コンパスみたいで面白ェ〜!!」

「ジョージョーー!!!」

「何て言ったんだ?」

「『南じゃない方を向いて困らせてやる』って」


チョッパーを介してのサウスバードの言葉にルフィとウソップはおおはしゃぎする。
サウスバードは宣言通り北を向くが、南を向かないと落ち着かないのかすぐに首を南の方へ向けてしまう。
大口をたたきながらも結局南に向いてしまうサウスバードにルフィ・ウソップ・チョッパーは大爆笑。
それに大激怒するサウスバードにジョウジョウはハラハラするばかりで、アスカも最初こそ北を向うが東に向こうが南に顔を向けるサウスバードに面白がってはいたが、ここまで大笑いされているのを見ると流石に可哀想になり、大笑いし腹を抱える三人からサウスバードを奪い抱きかかえる。


「もう、そんな意地悪ばかりやってると案内してくれないよ?」

「ジョ〜〜〜〜!」


はしゃぐ3人にアスカは呆れた目線を送っていると、サウスバードは助けてくれたアスカの胸にぐりぐりとすり寄り悲しげに鳴いた。
だがその顔はニタリといやらしい顔をしており、当然…


「てめェ…アスカちゃんになにしてんだ?…あ゙?」

「ジ、ジョ…!!?」

「サンジ?」


過保護組には丸わかりだった。
アスカは気づいていないようで、自分の胸にすり寄る鳥の頭を鷲掴みにし凄むサンジを不思議そうな顔で見つめていた。
サンジはアスカの胸元から鷲掴みしたまま持ち上げ顔を近づける。
サウスバードはヤクザ並みのサンジの凄みに冷や汗をかきまくっていた。


「てめェ…アスカちゃんがどーーしても!!そう!本当は嫌だけどサンジのために私我慢するから!!ってセクハラしまくるお前に案内してもらいたいってアスカちゃんがどーーーしても言うから許してやってるって言うのに…今その女神のような心の広さを持ち慈悲深いアスカちゃんに…てめェ…なにしようとしてたんだ?あぁ??」

「サンジ、私そんなこと言ってない」

「ジ、ジョー…!!ジョー!」

「アスカちゅわ〜〜ん!!今日は鳥肉のソテーだよ〜!!」

「ジョ!?ジョー!ジョーー!!!」

「サンジ!?駄目だ!そいつは駄目だぞ!!?」

「空島が行けなくなっちまう!止めてくれ〜〜〜!!!」


サンジの中で勝手に付け加えられ、アスカは否定をしたが、都合のいい耳を持っているサンジは聞く耳持たずサウスバードを掴んだまま厨房へ向かおうとする。
せっかく空島に行けるチャンスがなくなるとウソップとルフィは慌ててサンジを引き留めようとする。
だが妹のように可愛いアスカに無体をしたサウスバードをサンジ的には生かしたくはないためサンジも必死、そしてルフィ達も必死だった。
どちらも引くことのない(アスカ達からしたら)無駄な争いにアスカはため息をつきサンジを引き留める。
女性ならばどんな場面であろうと決して聞き逃さない耳を持っているサンジはアスカに呼ばれぐるんとアスカに振り返る。


「その子食べたら空島に行けなくなるからだーめ。」


そういってアスカは腕を広げる。
今、サンジ視点のアスカは輝いて見えており、アスカに見入られているサンジの手が緩んだ隙にサウスバードは再びアスカの胸に飛び込んだ。


「ジョ〜〜〜〜〜〜っ!!!」

「あぁ!なんて慈悲深いんだ!!アスカちゃん〜〜!」


慈悲でもなんでもなく、本当に空島に行けなくなるから止めたのに…フィルターのかかっているサンジの目ではアスカは女神として映っているらしい。
慣れたとはいえエースやガープ以外でこうもお姫様扱いされるのは中々こそばゆいものがあった。
目をハートにさせメロメロ状態のサンジにため息をついて元の場所へと戻しサウスバードの頭を優しく撫でる。


「モテモテで大変だな」

「起きてたんだ」


サウスバードから離れると眠っていると思っていたゾロが目を開け、アスカに茶々を入れてきた。
ゾロが『まぁな』、と呟いた時、周りが騒ぎ始める。


「園長!マズイっす!!」

「どうしたぁ!!」

「南西より!"夜"が来てます!"積帝雲"です!!」


その方向を見ると黒く不気味な空が広がっていた。
その騒ぎにナミ達は慌てだす。


「何だ!何だァ!?」

「予想より早く"積帝雲"が現れたって!!まだ海流の位置も分かってないのに!!」


ジョウジョウやマシラが慌てだし波も空も荒れ始める。
自然相手なので仕方ないとはいえ…予定が早まると焦りも積もってしまう。
波も少しずつ大きくなりはじめ、気づけば立っている事が困難なほどの大波となる。


「航海士さんっ!!」

「え!?」

「"記録指針"はどう?」

「…!、ずっとあの雲を指してる!!」


ナミは海に投げ出されないように目の前の物にしがみ付いてると、ロビンに言われ記憶指針とその先に目をやる。
すると、針は積乱雲に向かって指しているのに気付く。


「風の向きもバッチリ!"積乱雲"は渦潮の中心に向かっているわ!!」

「おいなんだ!渦潮って!?そんなもんどこにあるんだ!!」

「どうやら今回当たりの様だぞ 兄弟!」

「あぁ!爆発の規模も申し分なさそうだ!!」

「行けるのか!!?」

「あぁ 行ける!!」


マシラとジョウジョウの話を聞いていると、どうやらあの積乱雲であっているようである。
マシラは渦の軌道まで連れて行ってくれるようで、ガキン、と錨鎖をメリー号の手すりにかけマシラ号に引っ張られ大渦を進む。


「渦の軌道に連れていく!!!」

「そしたら!?どうしたらいいの!!?」

「流れに乗れ!!逆らわずに中心まで行きゃなる様になる!!!」

「この大渦の!!?」


マシラの言葉にナミは顔を青くし、大渦を見る。
大渦を見れば見るほどそれは人が抗えるような小さなものではなく…まさに軌道に乗れば助からないという言葉がしっくりくるほどの大きな渦だった。
それを流れに乗れと言われて『はいそうですか』と言えるほどナミはルフィ達のような鉄の心を持っていない。


「飲み込まれるなんて聞いてないわよォ!!!」

「大丈夫だ!!!ナミさんとアスカちゃんとロビンちゃんはおれが守る!!」

「こんな大渦初めて見たわ…」

「私は一回あったかなァ…ここまで大きくなかった気がするけど…」

「あら、どこで?」

「んー…ルフィとね、初めて海に出た日かな?あの時は航海知識のない私とルフィの二人だけだったし、船じゃなくてボートだったし、荷物なんてタル一つだけだったんだよ?あの時ほど死ぬかもって思った事なかったもん」

「それは…よく、生きてたわね…」

「ほんと、私も思うよ…もう絶対に死んでもルフィと海に出るもんかって思ったね」

「お、おいおい!!ロビンもアスカも…!!なんでお前らこんな状況で冷静に会話できるんだよォ!!!…ッやめだぁ!!やめやめ!!引き返そう!帰らせてくれェ!!」

「観念しろウソップ…手遅れだ一人すでにノッちまってる」

「行くぞ〜〜〜!!!"空島"〜〜!!!」


大渦を前にそれぞれ各自感想述べる。
ロビンとアスカは何故かほのぼのと会話をしており、ロビンとアスカの会話にウソップはギャアギャア叫んでいるがツッコミを入れる余裕はあった。
叫び出すウソップにゾロが指さす先にはすでに空島しか頭にないルフィがいた。

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