(123 / 293) ラビットガール (123)

「何かついてきたぞ!!!」

「いやあああ!!!」

「ウソップを食う気か!」


ウソップを餌だと勘違いし、食べようと釣れたのは2匹の魚のようなもの。
ウソップは大物を見事に釣り上げたのだ。
本人にしたら嬉しくもないだろうその得物をルフィとサンジとゾロが倒そうと動く。


「…ったく、そうビビる程のもんでもねぇだろ……」


主に悲鳴を上げているのはナミとチョッパーだった。
三人のビビり屋仲間であるウソップはすでに気を失いかけて悲鳴を上げる余裕はない。
ゾロは二人を横目で見た後そう溜息をつき刀を抜くが、ゾロが刀でタコの足を切りつけたその瞬間――そのタコの足が破裂した。


「はぁ!!!?」


流石にそれには驚きが隠せないゾロだったが、その驚く隙を突き襲い掛かろうとするタコをゾロはなんとか気を持ち直し倒した。


「さて妙な生物だぜ?こりゃ…魚類かどうかも疑わしい…」

「風船みてぇだな、あのタコは…」

「一応生物だろ?動いてたし…」

「でも斬って破裂する生き物っている?それも破裂しても生きてるんだよ?」

「雲の中に生物がいるなんて…」

「やはりここは"雲"というより"海"と考えた方がよさそうね」

「ギャアアアアアア!!!!」

「うるっっせぇな!今度は何だウソップ!!!」


海は海とはいえ、目の前に広がるのは雲。
でもウソップを餌に釣り上げた生物は紛れもなく海の生き物。
斬って破裂したのは驚きだが、それでも生きてはいるし、見た目も海の生き物にそっくりだった。
アスカも興味があるのかサンジ達が倒した巨大な魚をつんつんと突っついていた。
すると突如ウソップが叫びだす。


「ズボンの中に…!!なんかいた……」

「厄日ね…」


ウソップの服の中にいたのは平べったい魚だった。
ウソップは『空島こわい空島こわい』と呟きながら倒れこみ、ロビンが同情めいた声で呟いた。


「これが"空魚"じゃない?…ノーランドの日誌にあった"奇妙な魚"…おそらく海底のないこの"空の海"に対して生き残るためにいろんな形で進化を遂げたんだと思うわ」

「風船になったり平たくなったりとか?」

「えぇ、より軽くなる為ね…地上の海の水より浮力が弱いのよ ここは…」

「鱗が羽毛みたいだし…"肉食"っぽい口も変…!!」


ウソップの服の中にいた魚を持って見てみれば、ノーランドの日記に書いてあった通りの"奇妙な魚"そのものだった。
平たい魚は海にもいるが、鱗が羽毛のような魚はいない。
ロビンはその魚を空魚ではないかと予想する。


「おい!!アスカ!!これうんめーーぞ!!」

「うまいって何が……ってそれ食べたの!?」

「おう!サンジに作ってもらったんだ!」


アスカもロビン達の話を聞いていて内心『やっぱり空島はあったんだ』と嬉しく思った。
そこでアスカはまた疑問に思う。
なぜ、空島があることを喜んでいるのか、である。
アスカは空島の事は別段興味もなかったはずなのだ。
自分よりもルフィの方が空島への執着は強くて、自分はそんな幼馴染に渋々ついていくだけ…そう思っていた。
しかし案外アスカは空島を楽しみにしていたのかもしれない。
アスカは後ろからその幼馴染に声をかけられ、うまいと言われて何がうまいのだろうと思いながら幼馴染に振り返る。
そこには勿論幼馴染のルフィがいたのだが、その手にはお皿とお魚の料理が乗っていた。
それはあのロビンが持っていた魚だった。
ルフィはロビンからその魚を貰い、さっそくサンジに料理してもらったらしい。
それに驚くもサンジの手にかかればあの奇妙な魚は美味しそうな料理に代わり、アスカは『お前も食うか?』という幼馴染に甘え、一口貰う。


「うん、美味い」

「だろ〜!」


ルフィがフォークをアスカに向け、アスカがそのフォークに刺さっている魚をぱくりと口に含ませる。
すると口の中で広がるうま味にアスカは目を丸くした。
『もう一口』、と言ってアスカは口を開ける。
口を開けるアスカにルフィはもう一度食べさせていると…外を双眼鏡で見ていたチョッパーの手から双眼鏡が音を立てて落ちる。
その音に全員チョッパーの方へ目をやれば、チョッパーは顔をこれでもかと青くさせているのが見えた。


「チョッパー、船か?船がいるのか!?」

「いや…うん、いたんだけど…船はもういなくて!!!」

「何だよ」

「どうしたの?チョッパー」


外で何かを見たであろうチョッパーの怯えように一同首を傾げた。
チョッパーは慌てたようにアスカ達に振り返る。


「そこから牛が四角く雲を走ってこっちに来るから…!大変だ〜〜〜〜!!!」

「わかんねェ!落ち着け!!!」


何を見たかは分からないが、それを見たのはチョッパーだけ。
だからまずは落ち着かせる必要があるとアスカは思い、ガタガタ震えるチョッパーの体を抱き上げる。


「落ち着いて話して、大丈夫だから…ね?」

「う、うん…それが…」


なぜかパニックになっているチョッパーの背を撫でて落ち着かせるアスカだったが、チョッパーが何か言いそうになったそのとき…


「人だ!!人が来る!!雲の上を走ってるぞ!!」


サンジが謎の男を発見し、こちらに向かってくるのを伝える。
男は船に乗り込もうと飛び上がる。


「おい!止まれ!何の用だ!!!」

「排除する…」


謎の男にアスカ達は騒然となった。
主な戦力であるルフィ・サンジ・ゾロが前に出て戦闘態勢に入り、自称非戦闘員であるナミ達は慌てて後ろに下がる。
男が何者で、どうして襲ってこようとしているのかは不明だがどうやら戦闘は避けられないようで、戸惑いが強かった戦闘員である三人も覚悟を決めた。


「…やる気らしい」

「上等だ」

「何だ何だ?」


1人相手に主力である三人が出れば安心だとアスカは見守る体勢に入るが、三人は手も足も出せず男に襲われてしまった。


「え!!?ちょっとどうしたの!!?3人共っ!!!」

「ギャーギャー!!」

「ルフィ!!?」


あの三人が手も足も出せない事に目を丸くするが、男は空中に飛びあがりバズーカを船に向ける。
三人が倒されアスカはチョッパーを下ろして構えた。
三人が倒された今すぐに戦闘ができるのは、自分か、ロビンのみとなっている。
アスカは慌てるナミ達を後ろにウサギの耳としっぽを出して能力を使おうとした。
しかし…


「そこまでだァ!!」

「「「!」」」


アスカが"下僕ウサギ"を出そうとしたその時、また新たな人物が現れる。
その人物は空から鎧を身に纏った老人だった。
老人は鳥に乗ったまま男を雲に落とす。


「何!?今度はだれ!!?」

「我輩は"空の騎士"!!!」


変な模様がある鳥を連れた男にアスカ達は守られたのだった。

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